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急に人と話すのが怖くなった社会人へ 仕事の会話がつらい原因と立て直し方

急に人と話すのが怖くなった社会人へ 仕事の会話がつらい原因と立て直し方

朝礼の当番が近づくと、前の晩から胸のあたりが重くなる。

上司に呼ばれただけで、頭の中が真っ白になる。

雑談の輪に入れず、給湯室に人がいるとわかると、時間をずらしてしまう。

学生のころは普通に話せていたのに、ここ最近になって急に、人と話すのが怖いと感じるようになった。

この記事は、そんな変化に戸惑っている社会人の方に向けて書いています。

もともと人見知りで、昔から初対面が苦手だった方の話とは少し違います。

以前は平気だった会話が、ある時期を境にこわくなった。

とくに仕事の雑談や電話、会議での発言がつらい。

この記事では、そちら側の悩みに軸を置いて整理していきます。

前半では、なぜ急に怖くなるのかを、仕事のストレスや体の状態とあわせて見ていきます。

後半では、雑談、電話、会議といった場面ごとの乗り切り方と、医療機関や相談窓口を頼る目安をまとめました。

怖さを今日すぐに消すことは、この記事のゴールにしていません。

怖さがあっても仕事の会話をこなせる日を少しずつ増やすことを目指して、順番に見ていきます。

目次

「社会人2年目で急に話すのが怖くなった」というQ&Aサイトの相談

先日、Q&Aサイトでこのような切実な悩みを拝見しました。

大学時代はスピーチも平気だった

投稿者は、社会人になって2年目の方でした。

もともと緊張しやすい性格ではあったものの、大学時代は人前でスピーチをすることに、それほど恐怖心はなかったそうです。

発表の場があっても、どうにかこなせていた。

本人の中では、話すことが特別に苦手だという意識はなかったように読めました。

朝礼の一言スピーチで声が震える

ところが働き始めて2年目に入ったころから、人前に出ることや人と話すことが、急に怖くなったといいます。

朝礼の当番で一言スピーチをするとき、声が震えて、呼吸が苦しくなってしまう。

上司と話すときには頭が真っ白になり、自分が何を言いたいのか分からなくなってしまう。

相談には、そうした場面が具体的に書かれていました。

「うつ病なのかもしれない」と思っても、病院に行く勇気が出ない

投稿者は、もしかしたらストレスが原因でうつ病になっているのではないか、とも考えていました。

それでも、精神科に行く勇気が出ない。

どうすればこの怖さを治せるのか、という問いで相談は結ばれていました。

回答に並んだ声

寄せられた回答には、ゆっくり息を吐いてみて、少しでも楽になる方法を1つずつ増やしていけばいい、という声がありました。

いきなりスピーチを目標にせず、隣の席の人との何気ない会話から練習する、という提案もありました。

うまく見せようとせず、一番伝えるべきことだけが伝わればいいと考えてみては、という助言も寄せられていました。

呼吸の浅さや姿勢を疑い、内科などで体の病気がないか確かめておくとよい、という意見もありました。

この相談には、急に人と話すのが怖くなった人が抱えやすいポイントがいくつも入っています。

以前はできていたから、なおさら自分を責めてしまうこと。

場面によって怖さの強さが違うこと。

そして、病院に行くほどなのか自分では判断がつかず、ひとりで抱え込んでしまうことです。

仕事の人間関係で悩む人は、決して少なくない

まず確かめておきたいのは、仕事の中での人との関わりにしんどさを感じている人は、あなた以外にもたくさんいるという事実です。

働く人の8割以上が強いストレスを抱えている

厚生労働省は、働く人の心の健康について「労働安全衛生調査(実態調査)」を行っています。

令和5年の調査によると、現在の仕事や職業生活に関することで、強い不安や悩み、ストレスとなっている事柄がある労働者の割合は82.7%でした。

正社員に限ると、この割合は86.1%まで上がります。

職場で何かしらの重さを抱えながら働いているのは、ごく普通のことだと分かります。

ストレスの中身の3割近くは「対人関係」

同じ調査では、ストレスの内容も尋ねています(主なもの3つ以内)。

最も多かったのは「仕事の失敗、責任の発生等」で39.7%、次が「仕事の量」で39.4%でした。

その次に多かったのが「対人関係(セクハラ・パワハラを含む。)」で、29.6%です。

人とのやりとりそのものが重荷になっている人が、およそ3割いることになります。

調査で見えたこと 数字
仕事や職業生活に強いストレスとなる事柄がある労働者 82.7%
同じく、正社員 86.1%
ストレスの内容「仕事の失敗、責任の発生等」 39.7%
ストレスの内容「仕事の量」 39.4%
ストレスの内容「対人関係(セクハラ・パワハラを含む。)」 29.6%
ストレスを相談できる人がいる労働者 94.9%
そのうち、実際に相談したことがある労働者 73.0%

出典は、厚生労働省「令和5年 労働安全衛生調査(実態調査)結果の概況」です。

ストレスの内容の3行は、ストレスとなっている事柄がある労働者を100とした割合です。

「失敗」と「責任」は、話すことへの怖さとつながりやすい

上の表で目を向けておきたいのは、いちばん多い悩みが「仕事の失敗、責任の発生等」だという点です。

社会人2年目は、新人として大目に見てもらえた時期が終わり、任される仕事と責任が一気に増えるころです。

報告ひとつ、電話ひとつにも「間違えたらどうしよう」という重みがのしかかります。

話すことそのものより、話した結果として評価されることが怖くなっている。

急に人と話すのが怖くなった人の中には、こうした変化を背負っている方が少なくありません。

相談できる人がいても、実際に話せている人は限られる

表の最後の2行も見ておきます。

ストレスを相談できる人がいる労働者は94.9%でしたが、そのうち実際に相談したことがあるのは73.0%でした。

相談相手がいても、口に出せないまま抱えている人が一定数いることが読み取れます。

人と話すのが怖いときは、なおさら相談のハードルが上がります。

だからこそ、この記事の後半では、対面で話さなくても使える相談の手段もあわせて紹介していきます。

以前は平気だったのに、急に怖くなるのはなぜか

昔は話せていたのに、という感覚は、裏を返せば、話す力そのものが消えたわけではないことを示しています。

変わったのは、話す場面に向き合うときの心と体の状態です。

ここでは、急に怖くなる背景としてよく見られるものを順に挙げていきます。

小さなストレスが積み重なって、ある日あふれる

はっきりしたきっかけが思い当たらないのに、ある朝から急に怖くなった、という話はよく聞きます。

実際には、急に始まったように見えて、その前に小さな負担がたまり続けていることが多いものです。

慣れない業務、締め切り、言い方のきつい取引先、ミスへの注意。

一つひとつは耐えられる重さでも、休む間もなく続くと、ある日ふっと受け止めきれなくなります。

コップに少しずつ水を注いでいて、最後の一滴であふれる様子を思い浮かべると近いかもしれません。

立場や環境が変わって、求められる会話が変わった

異動や昇格、転職、在宅勤務から出社への切り替え。

働く環境が変わると、求められる会話の種類もがらりと変わります。

学生時代の会話は、気の合う友人との雑談が中心でした。

仕事では、目上の人への報告、初対面のお客様との電話、会議で根拠を添えて意見を述べることなど、評価がつきまとう会話が一気に増えます。

慣れない種類の会話に囲まれれば、疲れやすくなるのは自然な反応です。

一度のつらい体験が、場面ごと怖くさせる

朝礼で言葉に詰まって笑われた、電話で強く怒られた、会議で発言を否定された。

そうした体験が一度あるだけで、同じ場面に近づくたびに体がこわばることがあります。

脳は危なかった場面を覚えておき、似た状況が来ると早めに警報を鳴らそうとするからです。

本人は「たかがあれくらいで」と思っていても、体のほうは先回りして身構えてしまいます。

疲れや睡眠不足で、心の余裕が削られている

残業が続いて睡眠が足りない時期は、ふだんなら流せる一言にも過敏になります。

疲れているときほど、相手の表情を悪い方向に読み取りやすくなるものです。

人と話すのが怖いと感じ始めた時期と、忙しさのピークが重なっていないか、一度ふり返ってみてください。

体の不調が隠れていることもある

国立精神・神経医療研究センターの「こころの情報サイト」では、動悸や呼吸困難があるときには、まず内科の診察を受けるよう勧めています。

同じページによると、甲状腺機能亢進症や不整脈、貧血によって不安が生じることもあるそうです。

相談者への回答にも、呼吸や体の状態を疑ってみるよう勧める声がありました。

声の震えや息苦しさが強い方は、心の問題だと決めつけず、体のチェックも選択肢に入れておくと安心です。

また同じページでは、カフェインの取り過ぎで不安が悪化することも少なくないとして、場合によっては少しずつ減らしてみるよう勧めています。

眠気覚ましのコーヒーや栄養ドリンクが増えている方は、量を見直してみる価値があります。

急に怖くなった背景 よくある様子 まず見直したいこと
小さなストレスの積み重ね きっかけが思い当たらない ここ数か月の負担を書き出す
立場や環境の変化 異動や昇格のあとから始まった 慣れない会話の種類を把握する
一度のつらい体験 特定の場面だけ強く怖い その場面と似た状況を整理する
疲れと睡眠不足 忙しい時期と重なっている 睡眠時間と残業を確認する
体の不調 動悸や息苦しさが強い 内科で体の状態を確かめる
カフェインの取り過ぎ コーヒーや栄養ドリンクが増えた 量を少しずつ減らしてみる

避けるほど怖さが育ってしまう仕組み

ここで知っておきたいのが、怖い場面を避け続けると、怖さがかえって強くなりやすいという仕組みです。

不安は最初の数分がいちばん強い

先ほどの「こころの情報サイト」には、不安は最初の5分間くらいがもっとも強く、その後はだんだん横ばいになったり軽くなったりする、と書かれています。

ところが、不安を避けることに全力を注いでいると、この自然な回復を体験できないとも説明しています。

電話が鳴ったときにいちばん怖いのは、受話器を取る直前とその直後です。

話し始めて数分たつと、意外と落ち着いていることに気づく方もいるはずです。

避けると、その場はほっとする

雑談の輪を避けて自席に戻ると、その瞬間は確かに楽になります。

電話を同僚に取ってもらえば、胸の苦しさはすっと引いていきます。

この「ほっとした感覚」が、脳にとってはご褒美のように働きます。

すると次も同じように避けたくなり、避ける場面がじわじわ増えていきます。

避ける場面が増えると、自信が減っていく

避け続けていると、「自分は話せない人間だ」という思い込みが固まっていきます。

話す機会が減るので、うまくいった経験も積み上がりません。

その結果、以前は平気だった場面まで怖く感じるようになる。

人と話すのが怖い状態が長引く人の多くは、この流れに入り込んでいます。

段階 起きていること 抜け出す手がかり
怖い場面が来る 体がこわばり、頭が真っ白になる 最初の数分がいちばん強いと知っておく
避ける その場はほっとする 全部避けず、短い会話だけ残す
次も避けたくなる 避ける場面が増える 避けた場面をメモして把握する
自信が減る 「自分は話せない」と思い込む 小さくできたことを記録する

この流れを断ち切るために、いきなり苦手な場面へ飛び込む必要はありません。

全部を避けるのをやめて、短く小さな会話だけでも残しておく。

それだけでも、怖さが育つ勢いはゆるやかになります。

場面別に見る、仕事の会話を乗り切る工夫

人と話すのが怖いといっても、どの場面がつらいかは人によって違います。

雑談は平気でも電話がだめな人もいれば、1対1なら話せるのに会議になると声が出ない人もいます。

自分がつらい場面を絞り込むと、手の打ち方が見えてきます。

雑談がつらいとき

仕事の話なら答えられるのに、休憩中のちょっとした雑談になると固まってしまう。

雑談は答えが決まっていないぶん、何を話せばいいか分からず、不安が強くなりやすい場面です。

ここでは、気の利いたことを言おうとする目標を手放してください。

雑談で求められているのは、面白い話よりも「あなたの話を聞いています」という合図です。

相づちを打つ、相手の言葉を少し繰り返す、天気や昼ごはんのような身近な話題に一言添える。

それだけで、雑談としては十分に成り立ちます。

輪に加わるのがつらい日は、最初の一言だけ交わして、自然に自席へ戻ってもかまいません。

電話が怖いとき

職場の電話は、相手の顔が見えず、周りの人にも自分の声を聞かれる、二重に緊張しやすい場面です。

かける電話なら、話す順番をメモに書いてから受話器を取りましょう。

名乗り、用件、確認したいこと、締めのあいさつの順に、短い言葉で書いておくだけで十分です。

受ける電話では、聞き取れなかったときの決まり文句を用意しておくと安心です。

「恐れ入ります、もう一度お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか」と言えるだけで、頭が真っ白になったときの逃げ道になります。

その場で答えられない質問は、「確認して折り返します」で一度切ってかまいません。

会議や朝礼で発言するとき

相談者が苦しんでいた朝礼の一言スピーチは、注目と評価が一度に集まる場面です。

話す内容は前日に決めておき、最初の一文だけは声に出して練習しておきましょう。

最初の一文が出てしまえば、あとは意外と続くことが多いものです。

うまく話そうとするより、伝えたい要点を1つに絞るほうが、聞き手にとっても分かりやすくなります。

声が震えたら、「緊張しています」と一言添えてしまうのも1つの手です。

自分から言ってしまうと、隠そうとする力が抜けて、かえって落ち着くことがあります。

上司と1対1で話すとき

上司と向き合うと頭が真っ白になる方は、話す前に「結論」と「聞きたいこと」を紙に書いて持っていきましょう。

書いたものを見ながら話すのは、失礼なことではありません。

むしろ要点が整理されていて分かりやすい、と受け取られることのほうが多いはずです。

報告が苦手なら、口頭の前に短いチャットやメールで要点を送っておき、「詳しくはお時間のあるときに」と添えるやり方もあります。

オンライン会議で話すとき

画面越しの会議は、自分の顔が映り続けるぶん、人目を強く意識しやすくなります。

自分の映像を非表示にできる設定があれば、それを使うだけでも緊張がやわらぐことがあります。

発言のタイミングがつかめないときは、チャット欄に意見を書いておき、司会に拾ってもらう方法も使えます。

場面 つらくなりやすい理由 すぐに試せる工夫
雑談 答えが決まっていない 相づちと一言だけで十分と考える
電話をかける 相手の顔が見えない 話す順番をメモにしてから受話器を取る
電話を受ける 周りに声を聞かれる 聞き返しと折り返しの決まり文句を用意する
会議や朝礼 注目と評価が集まる 最初の一文だけ声に出して練習する
上司と1対1 頭が真っ白になりやすい 結論と聞きたいことを紙に書いて持参する
オンライン会議 自分の顔が映り続ける 自分の映像を隠し、チャットも使う

やりがちだけれど、かえってつらくなる対処

怖さを何とかしようとして、逆効果の対処をしてしまうこともあります。

無理に明るくふるまう

怖さを悟られないように、いつも以上に明るくふるまう人がいます。

短い時間ならそれで乗り切れても、毎日続けると、帰宅したときにどっと疲れが出ます。

演じる力を使い果たすと、翌日の会話がさらに怖くなってしまいます。

完璧な受け答えを準備しすぎる

想定問答を何十通りも用意して、すべてに完璧に答えようとするのも、負担が大きいやり方です。

準備したものと違う流れになったとたん、かえって頭が真っ白になりやすくなります。

準備は要点を1つか2つに絞り、あとは「その場で考えてもいい」と自分に許可を出しておくほうが楽になります。

全部ひとりで抱え込む

人と話すのが怖いことを、誰にも言わずに抱え続ける人は少なくありません。

ひとりで抱えていると、「自分だけがおかしいのでは」という思いが強まっていきます。

信頼できる同僚に一言打ち明けるだけでも、電話を少し代わってもらえたり、会議で話を振ってもらえたりと、助けが得やすくなります。

お酒で気持ちをまぎらわせる

飲み会の前にお酒の力を借りる、眠れない夜に飲む量が増える、といった対処も気をつけたいところです。

一時的に気分が軽くなっても、翌日の体調が崩れれば、会話への怖さはかえって増してしまいます。

やりがちな対処 その場の効果 続けたときの影響 代わりにできること
無理に明るくふるまう 怖さを隠せる 疲れがたまる 疲れた日は口数を減らしてよいと決める
完璧に準備しすぎる 安心感がある 想定外の流れに弱くなる 要点を1つか2つに絞る
ひとりで抱え込む 誰にも知られない 孤立感が強まる 信頼できる1人にだけ打ち明ける
お酒でまぎらわす 一時的に楽になる 翌日の体調が崩れる 眠れない日は早めに横になる

社交不安症やうつ病との関係をどう考えるか

相談者のように、「これは病気なのだろうか」と気になっている方も多いと思います。

ここでは、公的機関が示している説明を紹介しながら、受診を考える目安を整理します。

この記事で病名を判断することはできません。

あくまで、専門家に相談するかどうかを考える材料として読んでください。

社交不安症について公的機関が示している説明

国立精神・神経医療研究センターの「こころの情報サイト」では、社交不安症を、人前に出たり、特に話をしたり、注目され評価されたりする状況に強い不安を感じ、そうした状況を避けるようになるもの、と説明しています。

恥ずかしい、悪く思われている、などと悪い方向に考えてしまうことが多いとも書かれています。

一方で、親しい人の前では不安が生じないこともあるそうです。

家族や古い友人とは普通に話せるのに、職場の会話だけが怖い、という状態とも重なる部分があります。

「不安」と「受診したほうがいい不安」の境目

同じサイトは、不安を感じること自体は病気でないと書いています。

適切な不安があるからこそ対策ができ、大きな失敗を避けられる、という説明です。

そのうえで、大人の場合はこれまでの半年間をふり返り、次のような状態に当てはまるなら専門家に相談してほしいと呼びかけています。

過去の自分より明らかに不安が増えて、自信を失っている。

不安を避けるために、特定の人や状況を避けることにこだわっている。

生活や行動に影響が出ている。

人と話すのが怖いせいで、電話に出られない日が続いている、会議を休みたくなる、仕事を辞めることまで考えている。

そうした状態が続いているなら、相談してよい段階にあると考えてください。

うつ病のサインもあわせて確かめる

相談者は、ストレスからうつ病になったのではないかとも心配していました。

「こころの情報サイト」では、一日中気分が落ち込んでいる、何をしても楽しめないといった気持ちの症状とともに、眠れない、食欲がない、疲れやすいといった体の症状が現れ、日常生活に大きな支障が出ている場合、うつ病の可能性があるとしています。

また、うつ病になると、ものの見方や考え方が否定的になるとも書かれています。

同じページには、日本では100人に約6人が生涯のうちにうつ病を経験しているという調査結果も紹介されています。

人と話すのが怖いという変化に、気分の落ち込みや眠れなさが重なっている場合は、早めに相談することをおすすめします。

確かめたいこと 当てはまるときの目安
半年前の自分と比べて、不安が明らかに増えている 専門家への相談を考える
怖い場面を避けることで頭がいっぱいになっている 専門家への相談を考える
仕事や生活に影響が出ている 専門家への相談を考える
気分の落ち込みや、何をしても楽しめない状態が続く 早めに相談する
眠れない、食欲がない、疲れやすい 早めに相談する
動悸や息苦しさが強い まず内科で体の状態を確かめる

表は、国立精神・神経医療研究センター「こころの情報サイト」の不安症とうつ病のページをもとに、受診を考える目安としてまとめたものです。

どんな治療があるのか

不安症については、不安を強めてしまう考え方や行動を少しずつ見直していく認知行動療法があると紹介されています。

同じサイトによると、薬と同じかそれ以上の効果があることが知られており、多くは保険適用になっているそうです。

薬物療法では、うつ病の薬の一種が多くの不安症に有効だと分かっている、と説明されています。

どの方法が合うかは人によって違うため、医師と相談しながら決めていくことになります。

「病院に行ったらすぐ薬を出されるのでは」と心配な方も、治療の選び方は相談の場で話し合える、と知っておくと少し気が楽になるかもしれません。

相談先と、職場への伝え方

病院に行く勇気がすぐには出ない方も、相談できる場所は医療機関だけではありません。

どこに相談すればいいか

「こころの情報サイト」は、うつ病かなと思ったら自己判断をせず、精神科や心療内科、精神科のクリニックなどに相談するよう勧めています。

内科のかかりつけ医に相談したり、保健所や精神保健福祉センターの相談窓口を使ったりすることもできる、とも書かれています。

働く人向けには、厚生労働省の「こころの耳」という情報サイトがあります。

ここでは、5分でできる職場のストレスセルフチェックのほか、働く人の電話相談、メール相談、SNS相談を無料で受け付けています。

電話相談は0120-565-455で、受付は平日17時から22時、土日は10時から16時です(祝日、振替休日、年末年始を除く)。

メール相談は24時間受け付けていて、1週間以内に返信が届く仕組みです。

人と話すのが怖いときは、声を出さずに使える相談手段から始めるのも1つの方法です。

もし、つらさが強くて今すぐ誰かに気持ちを聞いてほしいときは、厚生労働省の「まもろうよ こころ」というページに、電話やSNSで話を聞いてくれる窓口がまとめられています。

相談先 向いている人 特徴
精神科、心療内科 生活や仕事に影響が出ている 診断と治療を相談できる
内科のかかりつけ医 動悸や息苦しさが強い 体の病気がないか確かめられる
精神保健福祉センター、保健所 病院に行くか迷っている 公的な相談窓口として話を聞いてもらえる
こころの耳 働く人で、まず誰かに相談したい 電話、メール、SNSで相談できる
産業医や社内の相談窓口 職場での配慮を考えたい 働き方の調整につなげやすい
まもろうよ こころ 今すぐ気持ちを聞いてほしい 電話やSNSの窓口がまとまっている

職場に伝えるかどうか

人と話すのが怖いことを職場に伝えるかどうかは、本人が決めてよいことです。

伝える場合は、全員に打ち明ける必要はありません。

直属の上司か、信頼できる先輩1人に、「最近、電話対応で強く緊張してしまうので、しばらくは取り次ぎ中心にさせてほしい」のように、困っている場面と頼みたいことを具体的に伝えると、相手も動きやすくなります。

会社に産業医や相談窓口がある場合は、そちらを通して働き方の調整を相談することもできます。

怖さと付き合いながら、会話を少しずつ取り戻す

受診するかどうかとは別に、日々の中でできる立て直しもあります。

ポイントは、いちばん怖い場面から挑むのをやめて、低い段から順に上っていくことです。

呼吸を整えて、最初の数分をやり過ごす

「こころの情報サイト」では、呼吸法は多くの場合、不安の軽減に役立つとしています。

呼吸に使う筋肉をストレッチでほぐしてから、ゆっくり息を吐く練習をする方法が紹介されていて、ストレッチを1日1回、呼吸法を1回5分、1日3セット習慣にすることが勧められています。

相談者への回答にも、ゆっくり息を吐いて肩の力を抜いてみる、という声がありました。

電話を取る前や、会議で発言する直前に、細く長く息を吐いてから話し始めてみてください。

怖さの小さい順に、会話を並べてみる

紙に、仕事で避けている会話を思いつくだけ書き出します。

そのうえで、怖さを10点満点で点数にして、点の低い順に並べ替えてみましょう。

いきなり8点の朝礼スピーチに挑む必要はありません。

まずは2点か3点の会話を、1日1回だけ試すところから始めます。

段階 試す会話の例 怖さの目安
1 同僚に「おはようございます」と目を見て言う 2点
2 隣の席の人に、仕事の小さな質問を1つする 3点
3 雑談の輪で、相づちを1回だけ打つ 4点
4 メモを見ながら、社内の内線を1本かける 5点
5 外部からの電話を1本だけ受ける 6点
6 会議で、用意した意見を1つだけ言う 7点
7 朝礼の一言スピーチをする 8点

点数や並び順は人によって違うので、自分の感覚で作り直してください。

1つの段で怖さが少し下がってきたら、次の段に進みます。

途中で怖さが戻る日があっても、1段下がってやり直せば大丈夫です。

できたことを記録して、自分の目で確かめる

人と話すのが怖いときは、うまくいかなかった場面ばかりが記憶に残ります。

その日できた会話を、ひと言ずつ手帳やスマートフォンのメモに残しておきましょう。

「内線を1本かけられた」「雑談で1回笑えた」くらいの小さなことで十分です。

1週間分を読み返すと、思っていたより話せていた自分に気づけることがあります。

休む日をつくることも、立て直しの一部

怖さと向き合う練習は、心のエネルギーを使います。

疲れがたまっている週は、練習を休んで、睡眠と食事を整えることを優先してください。

休むことは後退ではありません。

元気が戻れば、次の段に進む力も自然と湧いてきます。

よくある質問

Q1. 急に人と話すのが怖くなったのは、性格のせいですか?

性格だけで説明できるとは限りません。

この記事で見てきたように、仕事のストレスの積み重ね、立場や環境の変化、つらい体験、疲れや体の不調など、いくつもの要因が重なって起きることがあります。

以前は話せていたのなら、話す力そのものは残っています。

Q2. 社交不安症かどうか、自分で判断できますか?

自分で判断することはおすすめしません。

公的な情報では、過去の自分より明らかに不安が増えている、怖い場面を避けることにこだわっている、生活に影響が出ているといった状態が続くなら、専門家に相談するよう勧められています。

迷ったら、精神保健福祉センターや「こころの耳」の相談窓口で話を聞いてもらうところから始められます。

Q3. 病院に行く勇気が出ません。どうすればいいですか?

いきなり精神科に行くのが難しければ、内科のかかりつけ医に相談する方法もあります。

対面がつらい場合は、「こころの耳」のメール相談やSNS相談のように、文字で相談できる窓口から始めてみてください。

予約の電話が怖い方は、ネット予約ができる医療機関を探すのも1つの手です。

Q4. 職場の電話がどうしても怖いときは、どうしたらいいですか?

話す順番をメモにしてから受話器を取る、聞き返しと折り返しの決まり文句を用意しておく、といった準備で負担は軽くなります。

それでもつらい場合は、信頼できる上司や先輩に相談し、しばらく取り次ぎ中心にしてもらうなど、役割の調整をお願いすることも考えてください。

Q5. このまま治らなかったらと不安です。

不安症には認知行動療法などの治療法があり、薬と同じかそれ以上の効果があることが知られていると、公的な情報サイトでも紹介されています。

ひとりで抱え込まず、相談先を頼ることで、立て直しの道筋はつけやすくなります。

まとめ

以前は平気だったのに、急に人と話すのが怖くなる。

その背景には、仕事の責任の重さや環境の変化、疲れ、体の不調などが隠れていることがあります。

厚生労働省の調査でも、働く人の8割以上が強いストレスを抱え、およそ3割が対人関係をその内容に挙げていました。

怖い場面を全部避けると、怖さはかえって育っていきます。

場面ごとに小さな工夫を用意し、怖さの小さい会話から1つずつ取り戻していきましょう。

不安が増えて生活に影響が出ている、気分の落ち込みや眠れなさが続く、といったときは、迷わず医療機関や相談窓口を頼ってください。

今日からできること

最後に、今日からできることを表にまとめます。

やること やり方 期待できること
つらい場面を書き出す 避けている会話を紙に並べる どこから手をつけるか見えてくる
怖さに点数をつける 10点満点で点数をつけて並べ替える 低い段から始められる
呼吸を整える 話す前に細く長く息を吐く 最初の数分をやり過ごしやすくなる
電話のメモを用意する 名乗りと用件と締めを書いておく 頭が真っ白になっても戻れる
できたことを記録する その日の会話をひと言ずつメモする 話せている自分に気づける
相談先を控える 「こころの耳」の電話番号を保存する つらいときに迷わず連絡できる

今日は、仕事で避けている会話を紙に1つだけ書いてみてください。

それに点数をつけるところから、立て直しは始まります。

人と話す怖さとの付き合い方を知りたいときに

緊張や不安との付き合い方、職場での会話のコツは、本で考え方の型を知っておくと、自分の毎日に当てはめやすくなります。気になるものから探してみてください。

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