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兄弟の仲が悪いのはおかしくない 介護と相続でこじれる前の距離の取り方

兄弟の仲が悪いのはおかしくない 介護と相続でこじれる前の距離の取り方

実家に集まる日が近づくと、気が重くなる。

兄や姉、弟や妹と同じ部屋にいるだけで、胸のあたりがざわつく。

子どものころからそりが合わなかった人もいれば、大人になってから急に関係が冷えた人もいます。

ふだんは離れて暮らしているので、なんとかやり過ごせてきた。

ところが、親が年を取り、入院や葬儀、介護や相続の話が出てくると、避けてきた相手と向き合わざるを得なくなります。

この記事は、大人になった兄弟姉妹との仲の悪さに悩んでいる方に向けて書いています。

前半では、大人の兄弟がこじれる理由と、無理に仲直りしないための距離の取り方を整理します。

後半では、親の介護と相続という、こじれやすい2つの場面で何が起きるのか、公的な制度や窓口を使ってどう乗り切るのかをまとめました。

最後に、わが子の兄弟げんかに悩んでいる親御さんに向けた話と、気持ちがつらいときの相談先も載せています。

兄弟と仲良くなることは、この記事のゴールにしていません。

仲が悪いままでも、親のことと自分の暮らしを守れる形を作ること。

そこを目指して、順番に見ていきます。

目次

「父の葬儀で、自分だけ蚊帳の外だった」というQ&Aサイトの相談

先日、Q&Aサイトでこのような切実な悩みを拝見しました。

告別式で、弟とも妹とも口をきかなかった

投稿者は3人きょうだいの長女で、下に弟と妹がいます。

お父様が亡くなって1週間ほどたち、告別式を終えてようやく一段落したところでした。

弟と妹はそれなりに会話をして、仲良くしている様子だったそうです。

一方で投稿者は、まるで空気のように扱われ、2人とひとことも話さないまま式を終えました。

実家にいたころから、ずっと同じ構図だった

投稿者によると、この「自分だけ外れている」状態は、実家で暮らしていたころから続いていたものでした。

大人になって離れて暮らすうちは、気にしないでいられたのだと思います。

ところが父親の葬儀で、その構図をあらためて目の前に突きつけられました。

気がかりは、これからの母の介護

相談の中心は、残されたお母様のことでした。

いまは元気でも、この先介護が必要になったとき、口もきかない弟や妹とどう向き合えばいいのか。

介護や冠婚葬祭が絡むと、親戚付き合いも増えるのだろうか。

「仲良しごっこも気持ち悪いけど、自分だけ蚊帳の外というのも居心地が悪い」と、揺れる気持ちが率直につづられていました。

回答は「できる範囲で、気楽に」

寄せられた回答は、無理に輪へ入ろうとしなくていい、という趣旨のものでした。

蚊帳の外であるなら、自分のできる範囲で親御さんと付き合い、介護にも関わっていけばいい。

3人いると、きょうだいでも1人は外れた形になりやすいので、気楽に考えましょう、という言葉もありました。

この相談には、大人の兄弟の不仲に共通する手がかりがいくつも入っています。

子どものころからの関係が、大人になっても形を変えて残っていること。

そして、親の死や老いをきっかけに、避けていた関係と向き合わされることです。

大人になってから兄弟の仲が悪くなるのは、めずらしいことではない

兄弟姉妹は仲が良くて当たり前、という考え方は根強くあります。

そのぶん、仲が悪い人ほど「自分の家はおかしいのではないか」と一人で抱えがちです。

兄弟の仲を測った公的な統計は見当たらない

「兄弟の仲が悪い人はどれくらいの割合いるのか」と気になる方もいると思います。

ただ、公的機関が兄弟姉妹の仲の良し悪しを全国規模で調べた統計は、調べたかぎり見当たりませんでした。

ネット上にはさまざまな数字が出回っていますが、出どころがはっきりしないものも多いため、この記事では割合を載せていません。

数字がないからといって、悩んでいるのがあなた一人というわけではありません。

Q&Aサイトには、兄弟の不仲や相続でのもめごとについての相談が、年代を問わず何年にもわたって投稿され続けています。

親が元気なうちは、問題が表に出にくい

大人になった兄弟は、ふだんは別々の家庭で暮らしています。

顔を合わせるのは盆や正月くらいで、それも親が間に入ってくれるので、ぶつからずに済みます。

関係がこじれていても、親が元気なうちは「会わなければ済む話」でいられるのです。

ところが、親が倒れたり亡くなったりすると、兄弟だけで決めなければならないことが一気に増えます。

不仲が表に出てくるのは、多くの場合このタイミングです。

大人の兄弟がこじれる、よくある理由

大人の兄弟の仲が悪くなる理由は、家ごとに違います。

それでも、相談の中身を読み比べていくと、いくつかの型が見えてきます。

親からの扱いの差が、大人になっても残っている

子どものころに、親がどちらかをひいきしていた。

できのいい兄といつも比べられていた。

こうした扱いの差は、本人が大人になってからも、心の中の古い傷として残ります。

親の介護や相続の場面では、「また自分ばかり損をする」という感覚としてよみがえりやすくなります。

暮らしの差が開いて、話がかみ合わなくなる

結婚したかどうか、子どもがいるかどうか、収入や住んでいる場所。

大人になると、兄弟の暮らしぶりには大きな差が出てきます。

同じ親の話をしていても、置かれている立場が違うので、相手の言葉がとげのように聞こえることがあります。

配偶者や、その家族の考えが加わる

兄弟それぞれが結婚すると、話し合いの場に配偶者の考えも入ってきます。

本人同士なら飲み込めたことも、配偶者が間に立つことで、引くに引けなくなる場合があります。

仲が悪い兄弟と、無理に仲直りしなくていい

兄弟の仲が悪いことに悩む人ほど、「いつかは仲直りしなければ」と自分を追い込みがちです。

けれど、長い年月をかけてできたこじれは、話し合い1回でほどけるものではありません。

目標を「仲良くなる」から「用件が通る」に変える

親のことで兄弟と連絡を取るとき、目指すところを少し下げてみてください。

仲良くなる必要はなく、必要な用件が相手に伝わり、決めるべきことが決まれば十分です。

目標を下げると、相手の冷たい返事にいちいち傷つかずに済むようになります。

「仲良しごっこ」も「蚊帳の外」も、どちらも選ばなくていい

冒頭の相談者は、仲良しごっこも気持ち悪いけれど、蚊帳の外も居心地が悪いと書いていました。

この2つのあいだには、「必要なときだけ、礼儀正しく関わる」という立ち位置があります。

職場で、気の合わない同僚とも仕事の話はするのと同じ感覚です。

あいさつと用件だけはきちんとして、それ以上は踏み込まない。

そう決めておくと、冠婚葬祭の場でも身の置き場がはっきりします。

仲が悪い兄弟との、ちょうどいい距離の取り方

ここからは、距離の取り方を具体的に見ていきます。

どれも、相手を変えようとせず、自分の側で決められることです。

連絡は用件だけにし、文字で残す

親のことで連絡するときは、電話よりも、メールやメッセージなど文字で残る方法が向いています。

言った言わないのもめごとを防げるうえ、感情的なやりとりになりにくいからです。

「母の通院の付き添いを、来月から月1回お願いできますか」のように、用件と頼みたいことを1つずつ書きます。

過去の不満は、同じ文面に混ぜないようにしましょう。

親を伝言役にしない

兄弟と直接話すのがつらいと、親を通して用件を伝えたくなります。

けれど、親に伝言を頼むと、親は板ばさみになり、話も途中で形を変えてしまいがちです。

年を取った親にとって、子ども同士の間に立つのは大きな負担になります。

どうしても直接話せないときは、後で触れる地域包括支援センターなど、第三者に入ってもらう方法を考えます。

会う場面を、あらかじめ限っておく

法事や正月など、顔を合わせる場面は避けられないこともあります。

その場合は、滞在する時間を先に決めておくと、気持ちが楽になります。

「昼の食事が終わったら帰る」と決めて、配偶者や子どもにも伝えておけば、長居して言い争いになるのを防げます。

自分の家族の暮らしを、いちばんに置く

兄弟の問題に巻き込まれるうちに、自分の配偶者や子どもとの時間が削られていく人がいます。

兄弟とのもめごとは、あなたの暮らし全体のごく一部にすぎません。

いまの家族の暮らしを先に守ると決めておくと、兄弟の言動に振り回されにくくなります。

関係を断つかどうかは、急いで決めない

ひどい言葉を投げつけられると、もう縁を切りたいと思うのは自然なことです。

ただ、親が存命のうちは、介護や相続でどうしても連絡が必要になる場面が残ります。

完全に断つのか、最低限の連絡だけは残すのかは、気持ちが落ち着いてから決めても遅くありません。

言われてつらかった言葉は、書き出して手放す

兄弟から言われた言葉が、何年たっても頭の中で繰り返し再生されることがあります。

そういうときは、紙やスマホのメモに、言われた言葉と、そのとき感じたことをそのまま書き出してみてください。

書き出すと、頭の中だけで回っていた考えを、少し離れたところから眺められるようになります。

相手に見せるためのものではないので、きれいな言葉で書く必要はありません。

「自分が悪いのかもしれない」と思い詰めない

兄弟と不仲になると、自分の性格に問題があるのではないかと責めてしまう人がいます。

関係は2人以上でつくるものなので、こじれた原因を1人で背負う必要はありません。

関係の状態 目安となる距離 連絡の方法
会えば話せるが、気が重い 年に数回、短い時間だけ会う 電話やメッセージで用件だけ
話すと必ず言い争いになる 冠婚葬祭のときだけ顔を合わせる 文字で残る連絡に限る
無視される、相手にされない 必要な用件だけ伝え、返事を待たない 文字で残し、記録を取っておく
暴言や脅しがある 直接のやりとりを避ける 第三者や公的な窓口を間に入れる

表の距離は、あくまで目安です。

自分の心と体が持つ範囲を、いちばんの基準にしてください。

頼れる相手を、兄弟の外に作っておく

兄弟に頼れないと、親のことも自分の悩みも、一人で背負い込みやすくなります。

人に頼ることそのものが苦手な方は、人に頼れないのはなぜ 迷惑をかけたくない人が抱え込みをやめる頼み方も参考になるはずです。

友人、配偶者、職場の人、地域の専門職など、兄弟以外の頼り先を少しずつ増やしておきましょう。

親の介護で、兄弟の仲がこじれる理由

冒頭の相談者がいちばん心配していたのも、お母様の介護でした。

介護は、兄弟の不仲がもっとも表に出やすい場面の1つです。

介護の負担は、特定の人に偏りやすい

厚生労働省が2022年に行った「国民生活基礎調査」によると、介護が必要な人から見た主な介護者は、「同居」の家族が45.9%でした。

同居の主な介護者の続柄は、「配偶者」が22.9%で最も多く、次いで「子」が16.2%となっています。

一方、「別居の家族等」は11.8%、「事業者」は15.7%でした。

主な介護者 割合
同居の家族(合計) 45.9%
うち、配偶者 22.9%
うち、子 16.2%
別居の家族等 11.8%
事業者 15.7%

出典は、厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」です。

割合は、介護が必要な人から見た「主な介護者」全体を100としたものです。

つまり、介護は親と一緒に住んでいる人、あるいは近くに住んでいる人に寄りやすいのです。

兄弟の誰か1人が実家の近くに住んでいると、その人に負担が集まり、遠くに住む兄弟とのあいだに不満がたまっていきます。

「やっている側」と「口だけ出す側」に分かれる

近くで世話をしている側は、遠くの兄弟が何もしてくれないと感じます。

遠くに住む側は、たまに帰省したときに親の様子を見て、介護のやり方に口を出したくなります。

どちらにも言い分はありますが、話し合う前に感情がぶつかってしまうと、そのまま溝になります。

親のお金の扱いで、疑いが生まれる

親の通帳を預かって、支払いを代わりにしている兄弟がいると、ほかの兄弟は「勝手に使っているのでは」と疑いがちです。

預かる側も、疑われるくらいなら手を引きたいと感じます。

親のお金を誰がどう管理するかは、こじれる前に決めておきたい点です。

仲が悪くても、親の介護を回すための工夫

兄弟の仲が悪くても、親の介護は待ってくれません。

仲の良し悪しとは切り離して、仕組みで回す方法を考えましょう。

役割を「近く」「遠く」で分ける

全員が同じように世話をする必要はありません。

近くに住む人は見守りや通院の付き添い、遠くに住む人は手続きや費用の一部、のように役割を分けると、不公平感が小さくなります。

住んでいる場所 引き受けやすい役割 連絡の仕方
親と同居、または近く 日々の見守り、通院の付き添い 様子を月1回、文字で共有する
車で行ける距離 月に数回の訪問、買い物の手伝い 訪問した日と内容を記録する
遠方 役所や介護サービスの手続き、費用の分担 電話やオンラインで相談に加わる
関わりたくない、関われない 費用の一部の負担や、判断を任せることへの同意 決まったことだけ受け取る

地域包括支援センターに、最初の相談をする

親の介護が気になり始めたら、親が住んでいる地域の「地域包括支援センター」に相談できます。

地域包括支援センターは、高齢者の暮らしを地域で支えるために市区町村が設けている窓口で、介護や福祉の相談を受け付けています。

兄弟同士で話がまとまらないときも、専門職を交えて話すと、感情的なやりとりになりにくくなります。

仕事を辞めずに済む制度を知っておく

介護を担う兄弟が、仕事を辞めるかどうかで追い詰められることもあります。

育児・介護休業法では、介護休業を対象家族1人につき通算93日まで、3回を上限に分けて取れると定めています。

ほかに、介護休暇を1年度に5日(対象家族が2人以上なら10日)まで取ることもできます。

使える制度があると知っておくだけでも、1人で抱え込む前に職場へ相談しやすくなります。

離れて暮らす親の見守りに、道具を使う

遠くに住む兄弟が「何もしていない」と言われないためにも、見守りの道具を使う方法があります。

見守りカメラや服薬を知らせる機器など、離れて暮らす親を支える道具については、エイジテックとは 離れて暮らす親の見守りと介護の負担を軽くする道具の選び方で詳しくまとめています。

話し合いは、親の希望から始める

兄弟で介護の方針を話すとき、誰が損をするかという話から入ると、すぐに言い争いになります。

最初に確かめたいのは、親自身がどこで、どう暮らしたいと思っているかです。

自宅で暮らし続けたいのか、施設も考えているのか。

親の希望を真ん中に置くと、兄弟の意見が分かれても、立ち返る場所ができます。

決まったことは、全員に同じ文面で伝える

話し合いで決まったことは、兄弟全員に同じ文面で送っておきます。

一部の兄弟にだけ伝わっていると、「聞いていない」という不満が新しい火種になるからです。

介護の記録をつけておく

通院に付き添った日、立て替えたお金、ケアマネジャーとのやりとりなどは、日付とあわせて記録しておきましょう。

兄弟に状況を伝えるときの材料になるうえ、後で相続の話し合いになったときにも役に立ちます。

相続で、兄弟の仲が決定的にこじれる理由

親が亡くなったあと、遺産をどう分けるかは兄弟姉妹で話し合って決めることになります。

もともと仲が悪い兄弟にとって、これは最も避けたい話し合いの1つです。

遺産の多い少ないに関係なく、もめる

相続でもめるのは、財産が多い家だけと思われがちです。

実際には、実家の土地と建物しか目立った財産がない家でも、分け方がまとまらないことはよくあります。

家は簡単に分けられないので、誰が住むのか、売るのか、という話で意見が割れやすいのです。

「介護した分」をどう考えるかで割れる

親の介護を担ってきた兄弟は、そのぶん多くもらって当然だと考えがちです。

ほかの兄弟は、法律で決まった割合で分けるべきだと主張します。

前の章で触れた介護の負担の偏りが、ここで不満として噴き出します。

生前の援助の差が、蒸し返される

家を建てるときに親からお金を出してもらった、学費を多く出してもらった。

こうした生前の援助の差は、相続の場面で「不公平だ」と持ち出されやすくなります。

話し合いがまとまらないときに使える、公的な手続き

兄弟同士で話し合ってもまとまらないときは、家庭裁判所の手続きを使う道があります。

ここでは、裁判所や法務省が公表している情報をもとに、主な手続きを整理します。

家庭裁判所の「遺産分割調停」

裁判所によると、遺産の分け方について相続人のあいだで話し合いがつかない場合は、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることができます。

調停では、当事者双方から事情を聴いたり、必要に応じて資料を出してもらったりしながら、解決を目指して話し合いを進めます。

申し立てる先は、相手方のうちの1人の住所地を受け持つ家庭裁判所か、当事者が合意で決めた家庭裁判所です。

費用は、亡くなった方1人につき収入印紙1,200円分と、連絡用の郵便切手です(郵便料は裁判所ごとに異なります)。

調停でもまとまらなければ「審判」に移る

調停で合意できなかった場合は、自動的に審判の手続きに移ります。

審判では、裁判官が遺産の種類や性質、そのほかの一切の事情を考えたうえで、分け方を決めます。

顔を合わせて話すのがつらい兄弟にとって、第三者が間に入る調停は、感情的なぶつかり合いを避ける方法の1つになります。

介護の貢献を主張する「寄与分」

民法には、亡くなった方の療養看護などによって、財産の維持や増加に特別の貢献をした相続人の取り分を考える「寄与分」という仕組みがあります。

ただし、家族として通常期待される程度の世話は、特別の貢献とは扱われにくいとされています。

前の章で勧めた介護の記録は、自分の貢献を説明するときの材料になります。

相続人でない親族の介護も、請求できるようになった

法務省によると、2019年7月1日に施行された改正相続法で、相続人でない親族が無償で療養看護をした場合に、相続人に対して金銭を請求できる制度ができました。

たとえば、長男の妻が義理の親を介護してきた場合などが想定されています。

関わりたくないなら「相続放棄」という選択も

兄弟と一切関わりたくない場合や、借金のほうが多い場合は、相続放棄という手続きもあります。

裁判所によると、相続放棄は自分のために相続が始まったことを知ったときから3か月以内に、亡くなった方の最後の住所地の家庭裁判所へ申し立てる必要があります。

費用は、申し立てる人1人につき収入印紙800円分と郵便切手です。

放棄すると最初から相続人でなかったことになるので、プラスの財産も受け取れなくなる点に注意してください。

場面 使える手続き 申し立てる先
遺産の分け方で話がつかない 遺産分割調停(不成立なら審判) 相手方の住所地などの家庭裁判所
介護で特別に貢献した相続人 寄与分の主張(調停の中でも話し合える) 遺産分割の手続きの中で
相続人でない親族が介護した 特別の寄与の請求 相続人との協議、まとまらなければ家庭裁判所
相続そのものから離れたい 相続放棄(知ったときから3か月以内) 最後の住所地の家庭裁判所
不動産を相続した 相続登記(知った日から3年以内) 不動産の所在地を受け持つ法務局

放っておけない「相続登記」と「10年」の期限

法務省によると、2024年4月1日から相続登記の申請が義務になりました。

不動産を相続した人は、取得を知った日から3年以内に登記を申請しなければならず、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になります。

また、2023年4月から、相続が始まってから10年を過ぎると、原則として法定相続分を基準に分ける仕組みに変わりました。

兄弟の仲が悪いからと話し合いを先延ばしにしすぎると、介護の貢献を主張する機会を失うおそれがあります。

親が元気なうちに、遺言を残してもらう

兄弟がもめることが目に見えているなら、親が元気なうちに遺言を残してもらうのも1つの方法です。

法務局では、自分で書いた遺言書を預かる「自筆証書遺言書保管制度」を2020年7月10日から行っています。

この制度で預けた遺言書は、家庭裁判所での検認が要らないとされています。

法律の相談先は、まず公的な窓口へ

手続きの進め方が分からないときは、国が設けた法テラスのサポートダイヤル(0570-078374)で、問題に合った相談窓口や制度の案内を受けられます。

受付は平日の9時から21時、土曜の9時から17時です。

家庭裁判所の窓口でも、調停などの手続きの方法について案内を受けられます。

わが子の兄弟げんかに悩む親御さんへ

ここまでは、大人になった兄弟の不仲を扱ってきました。

一方で、「兄弟の仲が悪い」と検索する人の中には、自分の子ども同士のけんかに悩む親御さんもいます。

大人の兄弟の不仲には、子どものころの扱いの差が残っていることが多いと前に書きました。

だからこそ、子育て中のいまできることがあります。

兄弟げんかそのものは、成長の一部

きょうだいが毎日のようにけんかをしていると、親は心配になります。

けれど、けんかを通して、子どもは自分の気持ちを言葉にしたり、相手と折り合いをつけたりすることを覚えていきます。

けんかをゼロにすることを目指さなくて大丈夫です。

ただし、たたく、物を投げるなど、けがにつながる行動が出たときは、すぐに間に入って止めましょう。

比べる言葉を減らし、1人ずつと過ごす時間を作る

「お兄ちゃんはできたのに」「妹を見習いなさい」という言葉は、言った本人が思う以上に、子どもの心に残ります。

比べる言葉を減らし、それぞれの子のよいところを、その子だけに伝えるようにしてみてください。

1人ずつと過ごす短い時間を作るのも効果があります。

上の子だけを連れて買い物に行く、寝る前の5分だけ1人ずつ話を聞く、といった小さなことで構いません。

仲裁では、どちらが悪いかを急いで決めない

けんかの仲裁で、親がすぐに「お兄ちゃんだから我慢しなさい」と決めてしまうと、上の子に不満がたまります。

それぞれの言い分を順番に聞き、気持ちを受け止めてから、どうすればよかったかを一緒に考えます。

無理に謝らせるより、気持ちが落ち着く時間を取ったほうが、関係が戻りやすいこともあります。

子育ての悩みが深いときは、お住まいの市区町村の子育て相談の窓口で話を聞いてもらうこともできます。

気持ちがつらいときの相談先

兄弟とのもめごとが長引くと、眠れない、食欲がない、何をしても楽しめないといった状態になることがあります。

一人で抱え込まずに、公的な相談窓口を頼ってください。

働く人の「こころの耳電話相談」

厚生労働省の「こころの耳」には、働く人とその家族が無料で使える電話相談があります。

電話番号は0120-565-455で、受付は平日の17時から22時、土曜と日曜の10時から16時です(祝日と年末年始を除く)。

「まもろうよ こころ」

厚生労働省の「まもろうよ こころ」では、電話やSNSで相談できる窓口がまとめて紹介されています。

気持ちがつらくて誰かに話を聞いてほしいときは、ここから自分に合った窓口を探せます。

法律のことは法テラス、介護のことは地域包括支援センター

相続の手続きで困ったときは法テラスのサポートダイヤル、親の介護で困ったときは地域包括支援センターが、最初の相談先になります。

どちらも、どこに相談すればいいか分からない段階で連絡して構いません。

よくある質問

Q1. 兄弟と仲が悪いのは、親の育て方のせいですか

親の接し方が影響することはありますが、それだけで決まるものではありません。

性格の相性や、大人になってからの暮らしの違いなど、さまざまな理由が重なっています。

Q2. 兄弟の仲が悪い人の割合は、どれくらいですか

公的機関が兄弟の仲の良し悪しを全国規模で調べた統計は、調べたかぎり見当たりませんでした。

出どころのはっきりしない数字に、自分の家を当てはめる必要はありません。

Q3. 兄弟と絶縁しても、相続には関係しますか

縁を切ったつもりでも、法律上の相続人であることは変わりません。

親が亡くなれば、遺産の分け方の話し合いには、原則として相続人全員が加わる必要があります。

Q4. 仲が悪い兄弟と、介護の話をどう切り出せばいいですか

親の希望と、いま困っていることを、文字で短く伝えるところから始めます。

まとまらないときは、地域包括支援センターなどの第三者に入ってもらいましょう。

Q5. 大人になってから、兄弟と仲直りできることはありますか

年を重ねて、お互いの立場が分かるようになり、関係がやわらぐ人もいます。

ただ、仲直りを目標にしなくても、必要な用件が通る関係を保てれば十分です。

まとめ

大人になった兄弟の仲が悪いのは、めずらしいことでも、あなた一人のせいでもありません。

親が元気なうちは隠れていた不仲も、介護や相続の場面で表に出やすくなります。

無理に仲直りを目指すより、用件だけを文字で伝え、会う場面を限るなど、ちょうどいい距離を自分で決めておくことが大切です。

介護は役割を分けて地域包括支援センターを頼り、相続で話がつかなければ家庭裁判所の遺産分割調停という公的な手続きがあります。

気持ちがつらいときは、一人で抱えずに相談窓口を使ってください。

今日からできること

最後に、今日からできることを表にまとめます。

やること やり方 期待できること
関わり方の目標を決める 「用件が通れば十分」と紙に書く 相手の態度に傷つきにくくなる
連絡の方法を決める 兄弟への連絡はメッセージで残す 言った言わないを防げる
親の希望を聞いておく 暮らし方や財産のことを、元気なうちに聞く 話し合いの軸ができる
介護の記録を始める 付き添った日と立て替えたお金をメモする 状況の共有と、後の説明に使える
相談先を控える 地域包括支援センターと法テラスの番号を保存する いざというときに迷わない
自分の家族の時間を守る 兄弟の話をしない日を週に1日つくる 振り回されにくくなる

次に兄弟へ連絡するときは、用件を1つだけ書いた短いメッセージを送ってみてください。

それだけでも、こじれた関係との付き合い方は少し変わります。

兄弟や家族との付き合い方を考えたいときに

家族との距離の取り方や、親の介護と相続の進め方は、本で全体像をつかんでおくと、自分の家に当てはめやすくなります。気になるものから探してみてください。

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