営業担当者と一度も話さずに、商品やサービスを選んでいる。B2B(企業間取引)の購買現場で、こうした「非対面化」が急速に進んでいる。Gartnerが2026年3月に発表した調査によると、B2Bバイヤーの67%が「営業担当者と直接やり取りしない購買体験」を好むと回答した。これは2025年の前回調査における61%から、さらに上昇した数字だ。
営業を介さない購買はどこまで進んでいるか
Gartnerの調査(2025年8月〜9月、646人のB2Bバイヤーを対象)では、67%が営業担当者を介さない購買体験を望むと回答し、45%が直近の購買でAIを利用したと答えている。一方で興味深いのは、バイヤーの69%が「AIが出した提案の裏付けを取るために」最終的には営業担当者のもとへ戻ってくるという結果だ。つまり、非対面化が進んでいるのは情報収集や候補の絞り込みといった購買の初期段階であり、最終判断の場面では人による確認が依然として求められている。
データが分散している企業ほど後れを取る
非対面化が進むほど、Webサイトの閲覧履歴、資料のダウンロード、問い合わせフォームの入力など、顧客の行動データが複数の場所に散らばって蓄積されるようになる。2026年の複数の業界調査でも、AIを業務に活用している企業の割合が9割を超える一方、自社のデータ基盤がAI活用に「十分」だと答えた企業は44%にとどまるという結果が出ている。裏を返せば、半数を超える企業が、AIを使いこなす前提となるデータの整備が追いついていないと自己評価しているということだ。
この「データが十分に整っていない」状態のまま非対面型の購買行動を放置すると、どの顧客が今どの段階にいるのかを把握できず、機会損失につながりやすい。バイヤーが営業と話す前にほとんどの意思決定を終えているとすれば、企業側はWebサイトや資料といった非対面の接点そのものを、購買プロセスの中心として設計し直す必要がある。
中小企業にとっての実務的な意味
中小企業の場合、Webサイトの閲覧データ、問い合わせフォームの内容、名刺交換のデータなどが別々のツールに保存されたまま、横断的に見られていないケースが多い。まず着手しやすいのは、こうした顧客接点のデータをどこに何が蓄積されているかを洗い出すことだ。すべてを一元化するシステムを一度に導入する必要はなく、Webサイトの行動データと問い合わせ履歴を最低限つなげるところから始めれば、営業担当者と話す前の見込み客が何に関心を持っているかが見えるようになる。
また、Webサイト自体の役割も見直したい。営業担当者と話す前に購買判断の大部分が固まるのであれば、Webサイトに載っている情報の量と質が、そのまま受注率に影響する。価格や導入事例、よくある質問への回答が不足していると、バイヤーは営業に確認する前に候補から外れてしまう可能性がある。
まとめ
B2B購買における非対面化は、Gartnerの調査で67%という高い水準に達しており、今後も進む見通しだ。一方で、AI活用の前提となる顧客データの整備は多くの企業で追いついていない。営業担当者に頼らず情報収集を終えるバイヤーが増えている以上、Webサイトや資料といった非対面の接点そのものを、購買を左右する主戦場として整えていく発想が求められる。
