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一人暮らしが寂しい夜を越えるために 時間帯と時期で分けて考える心の整え方

一人暮らしが寂しい夜を越えるために 時間帯と時期で分けて考える心の整え方

玄関の鍵を開けると、部屋の中は朝出たときのまま静まり返っている。

電気をつけても、「おかえり」と言ってくれる人はいない。

進学や就職、転勤で一人暮らしを始めた人の多くが、この瞬間にふっと胸が冷える感覚を味わいます。

昼間は平気なのに、夜になると急に心細くなる。

休日の夕方、窓の外が暗くなっていくのを見ているだけで、涙が出そうになる。

この記事は、そんな寂しさを抱えて毎晩を過ごしている方に向けて書いています。

前半では、寂しさがなぜ夜や休日に強くなるのか、そしていつごろ波が来やすいのかを整理します。

後半では、帰宅直後、寝る前、日曜の夕方といった時間帯ごとの過ごし方と、実家に戻るかどうかを決める目安、つらさが続くときの相談先をまとめました。

寂しさをゼロにすることは、この記事のゴールにしていません。

寂しさが来ても「ああ、いつものあれだ」と受け流せるようになること。

そこを目指して、順番に見ていきます。

目次

「2週間たって急に寂しくなった」というQ&Aサイトの相談

先日、Q&Aサイトでこのような切実な悩みを拝見しました。

社会人4年目、初めての一人暮らし

投稿者は、26歳で社会人4年目の女性でした。

周りに一人暮らしをしている友人が増え、一度は経験しておきたいと考えて、秋に実家を出たそうです。

新しい部屋は職場まで乗り換えなしで近く、通勤時間がぐっと短くなることも決め手になりました。

最初は楽しかったのに、2週間で一変した

引っ越してすぐのころは、家具を選んだり、部屋をどう整えるか考えたりして、毎日がそれなりに楽しかった。

通販で頼んだものが毎日のように届き、寂しさを感じる暇もなかった。

ところが2週間を過ぎたころから、寂しくてたまらなくなったといいます。

実家では、父と犬の散歩に出かけ、母とは夜のリビングで映画を見ながらたくさん話していました。

けんかも多く、そのときは面倒だと思っていたのに、離れてみて初めて恵まれていたと気づいた、と書かれていました。

「こんな思いをして何をしているんだろう」

通勤は短くなったはずなのに、帰りに買い物をして家事をすると、自由な時間は思ったほど増えなかった。

家賃や光熱費、食費は出ていくのに、寂しい思いをしている。

母親との電話で泣いてしまい、「戻ってきてもいいよ」と言われたことも打ち明けていました。

それでも、契約を途中でやめれば違約金がかかり、家電もそろえたばかりです。

「一人暮らしの最初は、こう思うのが普通なのでしょうか」という問いで、相談は結ばれていました。

回答に並んだのは、厳しい声と、やさしい工夫

寄せられた回答には、自分で選んだことなのだから責任を持って続けるべきだ、という厳しめの意見がありました。

一方で、音楽やラジオで部屋の無音をなくす、湯船にゆっくりつかるなど、五感を満たす工夫を勧める声もありました。

投稿者は最終的に、月に何度か実家に帰りながら、ひとまず半年続けてみると決めたそうです。

この相談には、一人暮らしの寂しさをめぐる大事な手がかりがいくつも入っています。

最初は平気で、少したってから来ること。

夜と、家に帰った直後に強くなること。

そして「この年でこんなに寂しいなんて恥ずかしい」と、自分を責めてしまうことです。

一人暮らしで寂しくなるのは、珍しいことではない

まず確かめておきたいのは、寂しさを感じているのはあなただけではない、という事実です。

国の調査で見える「同居人がいない人」の孤独感

内閣府の孤独・孤立対策推進室は、毎年「人々のつながりに関する基礎調査」を行っています。

全国の16歳以上から無作為に選んだ2万人に調査票を送るもので、令和6年の調査は同年12月1日を調査期日とし、有効回答は10,876件でした。

この調査によると、孤独感が「しばしばある・常にある」と答えた人は、全体で4.3%でした。

これを同居人の有無で分けると、同居人がいる人では3.5%、同居人がいない人では9.0%と、2倍以上の差があります。

さらに、同居人がいない20歳代では、この割合が12.7%まで上がります。

一人暮らしを始めたばかりの若い世代ほど、強い孤独感を抱えやすいことが、数字にもはっきり出ています。

「一人暮らし」は孤独感のきっかけとして2番目に多い

同じ調査では、今の孤独感に影響したと思う出来事も尋ねています。

孤独感がある人が挙げた出来事のうち、最も多かったのは「家族との死別」で24.6%でした。

その次に多かったのが「一人暮らし」で、18.8%です。

「転校・転職・離職・退職」が14.7%、「転居」が8.8%と続きます。

進学や就職、転勤で一人暮らしを始めた人は、このうちのいくつかを同時に経験していることになります。

調査で見えたこと 数字
孤独感が「しばしばある・常にある」人(全体) 4.3%
同じく、同居人がいる人 3.5%
同じく、同居人がいない人 9.0%
同じく、同居人がいない20歳代 12.7%
孤独感のきっかけに「一人暮らし」を挙げた人 18.8%
孤独感のきっかけに「転居」を挙げた人 8.8%

出典は、内閣府孤独・孤立対策推進室「人々のつながりに関する基礎調査(令和6年)」です(調査期日は令和6年12月1日、結果の公表は令和7年4月25日)。

表の下3行は、孤独感が「しばしばある・常にある」「時々ある」「たまにある」と答えた人のうち、その出来事を挙げた人の割合です。

年齢は、寂しさを感じてはいけない理由にならない

相談者は「26歳にもなって恥ずかしい」と何度も書いていました。

けれども上の数字を見る限り、20歳代と30歳代は、むしろ孤独感が強く出やすい年代です。

年齢を重ねたから寂しさに強くなる、という決まりはありません。

寂しいと感じるのは、それだけ家族や人とのつながりを大事にしてきた証拠でもあります。

寂しさが夜と休日に強くなる理由

昼間は仕事や授業があって、周りに人がいます。

寂しさが顔を出すのは、その人の気配がすっと消えたときです。

帰宅した瞬間の「無音」がこたえる

実家にいたころは、玄関を開ければテレビの音や台所の物音、家族の話し声が聞こえていました。

意識していなかったその音が、一人暮らしでは丸ごとなくなります。

人は、音の有無で「ここに誰かがいる」と感じ取っています。

部屋の静けさは、それだけで「自分は一人だ」という事実を突きつけてきます。

1日の会話が、ほとんどなくなる

職場や学校で話はしていても、それは用件のやりとりが中心です。

実家では、夕食のときに「今日こんなことがあってさ」と、どうでもいい話をこぼす相手がいました。

この「どうでもいい話」をする場が消えると、出来事が自分の中に溜まったまま夜を迎えることになります。

話して流すはずだった小さな感情が、寝る前にまとめて押し寄せてくるのです。

休日は、予定がないと誰とも話さずに終わる

平日は少なくとも、職場や学校で人と顔を合わせます。

ところが予定のない休日は、朝起きてから夜寝るまで、一言も声を出さずに過ごすこともあります。

内閣府の同じ調査では、同居していない家族や友人と直接会って話すことが「全くない」と答えた人が9.3%いました。

一人暮らしで休日に予定がない状態は、この「誰とも会わない時間」が週に1日か2日、まるごと生まれることを意味します。

夕暮れと夜は、気持ちが沈みやすい時間帯

日が落ちるころになると、なぜか気持ちが沈むという人は少なくありません。

外が暗くなり、街の音も少しずつ静かになっていきます。

疲れが出て考えごとが増える時間でもあるので、昼間なら気にしないことまで重く感じます。

特に日曜の夕方は、休みが終わる寂しさと明日からの不安が重なり、一週間で一番つらい時間だと感じる人もいます。

寂しさが来やすい時間帯を並べてみる

寂しさは一日中ずっと同じ強さで続くわけでもありません。

多くの場合、決まった時間帯に波のようにやって来ます。

時間帯 起きやすいこと 寂しさが強まる理由
帰宅直後 部屋に入った瞬間に胸が冷える 無音と暗さで一人を実感する
夕食どき 食べながら話す相手がいない 一日の出来事を話す場がない
寝る前 考えごとが止まらず眠れない 疲れと静けさで気持ちが沈む
夜中に目が覚めたとき 急に不安になり涙が出る 頭が働かず悪い想像が広がる
休日の朝 起きても予定がなく布団から出られない 誰とも話さない一日が見えてしまう
日曜の夕方 理由もなく涙が出そうになる 休みの終わりと週明けの不安が重なる

あなたがつらいのは、どの時間帯でしょうか。

ここがはっきりすると、後で紹介する対処を、その時間に合わせて置くことができます。

寂しさの波は「少したってから」やって来る

相談者は、引っ越して2週間ほどは平気だったと書いていました。

これは決して珍しい流れではありません。

最初の数週間は、やることが寂しさを隠してくれる

引っ越した直後は、家具を選ぶ、手続きをする、近所のお店を探すと、やることが山ほどあります。

毎日荷物が届き、部屋が少しずつ自分の場所になっていく感覚もあります。

この時期は、新しい生活への期待が寂しさを上回っています。

やることが落ち着くと、生活の「穴」が見えてくる

部屋が整い、手続きも終わって生活が回り始めると、ふと時間が空くようになります。

その空いた時間に、実家にあった会話や物音がないことに気づくのです。

相談者が2週間で寂しくなったのは、ちょうどこの切り替わりの時期に当たります。

時期ごとに、寂しさの出方は変わる

もちろん個人差は大きいのですが、一人暮らしの寂しさは、おおむね次のような流れで出たり引いたりします。

時期 よくある状態 心がけたいこと
最初の1〜2週間 準備に追われて寂しさを感じにくい 張り切りすぎず、睡眠を削らない
2週間〜2か月 生活が落ち着き、急に寂しさが来る 「来る時期だ」と知っておき、自分を責めない
帰省の直後 実家の温かさを思い出してつらくなる 戻った日の夜の予定を先に決めておく
季節の変わり目 日が短くなり、夕方から気分が沈む 明るいうちに外へ出る時間を作る
半年〜1年 自分なりの過ごし方ができてくる 新しい人とのつながりを少しずつ増やす

この表を見てほしいのは、今のつらさがずっと同じ強さで続くわけでもないと知ってもらうためです。

いちばん苦しいのは、一人暮らしを始めて数週間から数か月の、生活の穴が見えてきた時期です。

帰省のあとに、寂しさがぶり返すのも自然なこと

Q&Aサイトでは、帰省から一人暮らしの部屋に戻る前日に涙が止まらない、という大学生の相談も見かけました。

何度行き来しても、戻るときの寂しさには慣れない、と書かれていました。

実家の温かさに触れた直後は、一人の部屋との落差がいちばん大きく感じられます。

戻った日の夜は寂しくて当たり前だと、先に知っておくだけでも、気持ちの落ち方は少し違ってきます。

進学・就職・転勤で、寂しさの形も少し違う

同じ一人暮らしでも、始めたきっかけによって、つらさの中身は少しずつ変わります。

進学で家を出た学生は、親と離れるのが人生で初めてという人も多く、生活全体の心細さが寂しさにつながりやすいです。

就職で家を出た人は、仕事に慣れない疲れと、家に帰っても誰もいない寂しさが一度に来ます。

転勤で知らない土地に来た人は、職場以外に知り合いがいないことがつらさの中心になりやすく、休日の過ごし方に困りがちです。

自分がどれに当たるかを知っておくと、手を打つ場所が見えてきます。

寂しさを紛らわそうとして、かえってつらくなる過ごし方

寂しいとき、人はなんとかして気を紛らわせようとします。

その工夫がうまく働くこともあれば、翌日の自分をさらに追い詰めることもあります。

夜中までスマホを眺め続ける

寂しい夜に、ついスマホを手に取って動画や投稿を眺め続けてしまう人は多いはずです。

画面の向こうには人の気配があり、一時的には寂しさが薄れます。

ただ、内閣府の「人々のつながりに関する基礎調査(令和6年)」で、スマートフォンの画面を見る時間別に孤独感を見ると、気になる差が出ています。

孤独感が「しばしばある・常にある」と答えた人は、画面を見る時間が1時間未満の人では3.6%でしたが、8時間以上の人では13.3%でした。

この数字だけで、スマホが孤独の原因だと言い切ることはできません。

それでも、寝る前に友人の楽しそうな投稿を見て、自分だけ取り残されたように感じた経験がある人は少なくないでしょう。

夜中までの長い画面時間は、睡眠も削ります。

寝不足の翌日は気持ちが沈みやすく、その夜の寂しさがまた強くなる、という悪い循環に入りがちです。

お酒で寂しさを流そうとする

寂しさを忘れたくて、一人で飲む量が増えていくこともあります。

飲んでいる間は気が楽になっても、酔いがさめた後の静けさは、かえって重く感じられます。

お酒は眠りも浅くするので、夜中に目が覚めて不安になる回数が増えることもあります。

寂しさを紛らわす手段がお酒だけになっていたら、一度立ち止まって量を見直したいところです。

寂しさを埋めるために、急いで人とつながる

寂しさが強い時期には、とにかく誰かと話したくなります。

その勢いで、よく知らない相手と夜中に長時間やりとりをしたり、すぐに会う約束をしたりすると、思わぬトラブルに巻き込まれることがあります。

相手に気持ちを預けすぎて、返事が来ないたびに落ち込むようになると、寂しさはむしろ大きくなります。

人とのつながりを増やすことは大切ですが、相手を選ぶ時間だけは惜しまないでください。

週末のたびに実家へ帰る

実家が近い人ほど、寂しくなると帰りたくなります。

帰ること自体は悪いことではありません。

ただ、毎週末のように帰っていると、一人の部屋で過ごす時間に慣れる機会がなかなか来ません。

先ほど見たとおり、帰省のあとは寂しさがぶり返しやすいので、帰るたびに日曜の夜がつらくなる、という繰り返しにもなりやすいです。

帰る回数を決めておき、それ以外の週末は一人の部屋で過ごす練習をする、という形にすると、少しずつ部屋が自分の場所になっていきます。

休日を布団の中で過ごしてしまう

予定のない休日に、起きる気力がわかず、気づけば夕方まで布団の中にいた。

そんな日は、夕方になってから「今日も何もしなかった」という気持ちが押し寄せます。

日の光を浴びないまま夜を迎えると、生活のリズムも崩れやすくなります。

寂しさを感じる日ほど、外に出る用事を1つだけでも作っておくと、夕方の気分の落ち方が変わってきます。

「この年で寂しいなんて」と自分を責める

相談者が繰り返し書いていたのが、この自分を責める気持ちでした。

寂しさそのものよりも、寂しがっている自分を情けなく思う気持ちのほうが、人を消耗させます。

寂しいと感じたら、まずは「寂しいんだな」と、そのまま認めてあげてください。

認めた気持ちは、少しずつ静まっていきます。

つい選んでしまう過ごし方と、置き換えの例

ここまでの過ごし方を、少し手を加えた形に置き換えると、次のようになります。

つい選んでしまう過ごし方 起きやすいこと 置き換えの例
夜中までスマホを眺める 寝不足になり、翌日の気分が沈む 寝る30分前にスマホを充電器に置いて離れる
一人で飲む量が増える 夜中に目が覚めて不安になる 飲まない日を週に何日か決めておく
急いで知らない人とつながる 相手に振り回されて落ち込む 職場や学校、地域など顔の見える場から広げる
毎週末に実家へ帰る 戻るたびに寂しさがぶり返す 帰る週と帰らない週を交互にする
休日を布団の中で過ごす 夕方に気分が大きく沈む 午前中に外へ出る用事を1つ入れる
寂しい自分を責める 気持ちが余計に消耗する 「寂しい」とメモに書いて認める

どれも、今の過ごし方を全部やめる必要はありません。

いちばんつらい時間帯に効いていそうなものから、1つだけ手を加えてみてください。

寂しさと、気分の落ち込みを見分ける

一人暮らしの寂しさの多くは、時間とともに少しずつ和らいでいきます。

ただ、中には寂しさをきっかけに、心の不調が始まっている場合もあります。

寂しさは、人と話すと軽くなる

普通の寂しさであれば、友人と電話したり、職場で雑談したりすると、その場では気持ちが軽くなります。

楽しいことをしている間は、寂しさを忘れていられます。

何をしても楽しくない状態が続くなら、注意が必要

一方で、好きだったことにも興味がわかない、人と話しても気持ちが晴れない、という状態が続くときは、寂しさの範囲を超えているかもしれません。

眠れない、または寝すぎてしまう日が続く、食欲が大きく変わる、仕事や授業に行けない日が出てくる、といった変化も目安になります。

気づくこと 寂しさの範囲のことが多い 早めに相談したい状態
人と話したあと 気持ちが少し軽くなる 話しても何も感じない
好きなこと やっている間は楽しめる 興味そのものがわかない
睡眠 寝つきが悪い日がある 眠れない日や寝すぎる日が2週間以上続く
食事 一人だと手を抜きがち 食欲がほとんどない、または止まらない
仕事や授業 行けば普段どおりこなせる 行けない日が出てくる
気持ち 寂しいが先のことも考えられる 消えてしまいたいと考えることがある

右側の列に当てはまるものが続いているときは、一人で乗り切ろうとせず、後で紹介する相談窓口や医療機関を頼ってください。

時間帯ごとに「寂しさの受け皿」を置いておく

寂しさが来やすい時間帯が分かったら、その時間に合わせて、あらかじめ受け皿を置いておきます。

寂しくなってから慌てて何かを探すより、決めておいた行動に流れるほうが、ずっと楽に過ごせます。

帰宅直後は、部屋に音と明かりを用意しておく

玄関を開けた瞬間の無音と暗さが、いちばん胸にこたえるという人は多いはずです。

照明のタイマーを使って、帰る時間に部屋の明かりがつくようにしておくと、それだけで迎えられる感覚が生まれます。

帰ったらすぐにラジオや好きな音楽を流すのも効果があります。

人の話し声が聞こえるラジオは、テレビより気軽に「誰かがいる」感じを部屋に満たしてくれます。

夕食は、誰かと同じ時間を過ごすつもりで

一人の夕食は、つい立ったまま済ませたり、スマホを見ながら流し込んだりしがちです。

週に何回かでいいので、温かい汁物を1品作り、テーブルに座って食べてみてください。

家族や友人と、同じ時間に夕食をとりながら短く電話する約束をするのもひとつの方法です。

話すことがなくても、「今日なに食べた?」と聞き合うだけで、一人の食卓の静けさは和らぎます。

寝る前は、考えごとを紙に預ける

布団に入ってからの考えごとは、昼間よりずっと悲観的になりがちです。

寝る前に5分だけ、頭に浮かんだことをノートに書き出してみてください。

寂しかったこと、不安なこと、今日少しうれしかったことを、きれいにまとめずにそのまま書きます。

紙に出した気持ちは、頭の中でぐるぐる回り続けることが少なくなります。

スマホは寝る30分前には充電器に置き、手の届かない場所で眠るようにすると、夜中に画面を開く回数も減ります。

夜中に目が覚めたら、無理に考えない

夜中に目が覚めて不安になったときは、その場で答えを出そうとしないでください。

夜中の頭は疲れていて、物ごとを実際より悪く見積もります。

「今考えても仕方がない、朝に考えよう」と声に出して、水を一口飲み、もう一度横になります。

眠れなくても、目を閉じて体を休めているだけで、体はある程度回復します。

休日の朝は、外に出る用事を1つ作る

予定のない休日こそ、午前中に外へ出る小さな用事を入れておきます。

パン屋で朝食を買う、近くの公園を一周する、図書館で本を借りるなど、短い時間で済むもので構いません。

外に出ると日の光を浴びることができ、人の気配にも触れられます。

午前中に一度外へ出ておくと、夕方に気分が大きく沈むのを防ぎやすくなります。

日曜の夕方は、予定を先に決めておく

一週間でいちばんつらいと感じる人が多いのが、日曜の夕方です。

この時間帯にだけ、あらかじめ小さな予定を入れておきます。

銭湯に行く、少し遠いスーパーまで歩く、好きな番組を見ながら翌週の作り置きをするなど、体を動かすものがおすすめです。

家族や友人との電話を日曜の夕方に決めておくのも、寂しさの山を越える助けになります。

時間帯ごとの過ごし方をまとめる

時間帯 置いておく受け皿 ねらい
帰宅直後 照明のタイマーとラジオ 無音と暗さをなくす
夕食どき 温かい汁物と短い電話 一人の食卓の静けさを和らげる
寝る前 5分の書き出しとスマホを離す習慣 考えごとを頭から出して眠る
夜中に目が覚めたとき 「朝に考える」と声に出す 悪い想像を広げない
休日の朝 外に出る用事を1つ 日の光と人の気配に触れる
日曜の夕方 体を動かす予定や電話 一週間でいちばんつらい山を越える

全部をいっぺんに始める必要はありません。

自分がいちばんつらい時間帯の受け皿から、1つだけ置いてみてください。

人とのつながりを、少しずつ増やしていく

時間帯ごとの工夫で寂しさの波は小さくできますが、根っこの部分を支えるのは、やはり人とのつながりです。

「頼れる人がいる」だけで、孤独感は大きく変わる

内閣府の「人々のつながりに関する基礎調査(令和6年)」では、頼れる人の有無と孤独感の関係も示されています。

孤独感が「しばしばある・常にある」と答えた人は、頼れる人がいる人では2.9%でしたが、頼れる人がいない人では21.5%でした。

不安や悩みの相談相手でも、いる人は2.7%、いない人は21.2%と、同じような差が出ています。

毎日会える相手がいなくても、困ったときに連絡できる人がいるかどうかで、心の支えは大きく変わります。

実家や地元の友人とは、連絡の「型」を決める

家族や地元の友人とのつながりは、一人暮らしを始めてからも大事な支えです。

ただ、寂しくなるたびに長電話をしていると、相手の都合と合わずに落ち込むこともあります。

「日曜の夜に10分だけ話す」「写真を1枚送り合う」など、無理のない型を決めておくと長続きします。

新しい土地では、顔なじみを作ることから始める

転勤や進学で知らない土地に来た人は、いきなり友人を作ろうとすると疲れてしまいます。

まずは、同じ店に何度か通って、店員さんと軽くあいさつを交わすくらいから始めてみてください。

名前も知らない相手でも、「いつもの人」がいる場所があると、その街が少しずつ自分の街になっていきます。

習いごとや地域の活動に、週1回だけ顔を出す

同じ曜日の同じ時間に、同じ顔ぶれと会う場所があると、つながりは自然に育ちます。

運動の教室や料理教室、自治体が開く講座、図書館の読書会など、続けやすいものを1つ選びます。

自治体の広報誌やホームページには、住民向けの講座やボランティアの募集が載っていることが多いので、一度目を通してみてください。

職場や学校の人と、用事以外の話を1つする

職場の同僚や学校の同級生とは、毎日顔を合わせています。

昼食のときに「この辺りでおいしいお店、知ってますか」と聞いてみる。

それだけで、用件のやりとりだけだった関係に、少し温度が生まれます。

つながりの種類 始め方 続けるコツ
家族 連絡する曜日と時間を決める 長電話より短く回数を保つ
地元の友人 写真を1枚送る 返事を急かさない
近所の店 同じ店に通ってあいさつする 曜日や時間を固定する
習いごとや講座 週1回の場を1つ選ぶ 休んでも次回また行く
職場や学校 用事以外の話を1つする 相手のことを1つ覚えておく
相談窓口 連絡先を控えておく つらいときは迷わず使う

実家に戻るか、続けるかを決めるときの目安

寂しさが強いと、「もう実家に戻ったほうがいいのでは」と考える夜もあるはずです。

戻ることは負けではありませんし、続けることだけが正解でもありません。

決める時期を、先に区切っておく

相談者は最終的に、月に何度か実家に帰りながら、ひとまず半年続けてみると決めていました。

この「期限を区切る」というやり方は、迷っている人にとって心強い方法です。

寂しさのいちばん強い時期は、一人暮らしを始めて数週間から数か月に集中しやすいので、その山を越えてから判断すると、気持ちに振り回されにくくなります。

期限までは、続けるかどうかを毎晩考え直さない、と自分に約束しておきます。

戻るかどうかを考えるときの見方

期限が来たら、次のような点を落ち着いて見直してみてください。

見るところ 続けてもよさそうなとき 戻ることも考えたいとき
寂しさの強さ 波はあるが、始めたころより軽い 期限を過ぎても毎晩つらい
心と体の調子 眠れて食べられている 不眠や食欲の変化が続いている
一人暮らしを始めた理由 理由が今も自分にとって大事 理由がもう当てはまらない
生活の負担 家事や支払いが回っている 負担で仕事や学業に支障が出ている
人とのつながり 新しい顔なじみが少しずつできた 誰とも話さない日が増えている
自分の気持ち 一人の時間に少し慣れてきた 戻ったほうが前向きに過ごせると感じる

右側に当てはまるものが多いなら、実家に戻ることを前向きに考えてよい時期です。

戻ると決めたら、契約と費用を確かめる

賃貸契約を途中でやめるときは、解約を何か月前に伝えるか、短期で解約した場合に違約金がかかるかを、契約書で確かめておきます。

相談者のように、1年未満で解約すると違約金が発生する契約もあります。

時期を少しずらすだけで負担が軽くなる場合もあるので、決める前に管理会社や大家さんに確認しておくと安心です。

戻っても、経験は無駄にならない

一人暮らしをやめて実家に戻ったとしても、その経験が無駄になるわけではありません。

家族と過ごす時間のありがたさや、自分が何を大事にしているかに気づけたことは、次に家を出るときの大きな支えになります。

相談者も、一人暮らしを始めたからこそ家族の大切さに気づけた、と書いていました。

つらさが続くときの相談先

寂しさが心の不調につながっていると感じたら、一人で抱えこまず、早めに外の力を借りてください。

公的な相談窓口を控えておく

厚生労働省は、心の不調や悩みの相談先をまとめたサイト「まもろうよ こころ」を開いています。

電話や文字でやりとりできる相談先が紹介されていて、自分に合った方法を選べます。

都道府県や政令指定都市につながる「こころの健康相談統一ダイヤル」も、このサイトで案内されています。

お住まいの市区町村の保健所や保健センターでも、心の健康についての相談を受け付けています。

学生や社会人なら、身近な窓口も使える

大学や専門学校の学生であれば、学内の学生相談室や保健管理センターで話を聞いてもらえます。

社会人であれば、職場の産業医や保健師、会社が用意している相談窓口を使える場合があります。

眠れない、食べられないといった体の変化があるときは、心療内科や精神科などの医療機関の受診も考えてください。

よくある質問

Q1. 一人暮らしの寂しさは、どのくらいで慣れますか

慣れるまでの期間には大きな個人差があり、何か月と言い切ることはできません。

始めて数週間から数か月がいちばんつらく、自分なりの過ごし方ができてくると、波は少しずつ小さくなっていくことが多いです。

半年ほどを目安に期限を区切り、それまでは自分を責めずに過ごしてみてください。

Q2. 寂しくて夜に泣いてしまうのは、おかしいですか

おかしなことではありません。

寂しさで涙が出るのは、それだけ家族や人とのつながりを大事にしてきたからです。

ただ、泣く日が何週間も続く、眠れない日が増えているといった場合は、相談窓口や医療機関に話してみてください。

Q3. 実家に頻繁に帰るのは、よくないですか

帰ること自体は悪いことではありません。

ただ、毎週のように帰っていると、戻るたびに寂しさがぶり返しやすくなります。

帰る週と帰らない週を決めるなど、回数に区切りをつけると、一人の部屋にも少しずつ慣れていけます。

Q4. ペットを飼えば寂しくなくなりますか

動物と暮らすことで、部屋に気配が生まれ、気持ちが和らぐ人はいます。

ただ、ペットは命を預かることなので、寂しさを埋める目的だけで急いで決めるのは避けたいところです。

住まいの規約で飼えるか、仕事や学業の忙しさの中で世話を続けられるかを、落ち着いて確かめてから考えてください。

Q5. 友達が少なくて、休日に誰とも話しません

休日に誰とも話さない日が続くと、寂しさは強くなりやすいです。

いきなり友達を作ろうとせず、同じ店に通って顔なじみを作る、週1回の講座に顔を出すなど、小さな接点から始めてみてください。

家族や地元の友人と、決まった曜日に短い電話をする習慣も、休日の支えになります。

まとめ

一人暮らしで寂しくなるのは、決して珍しいことではありません。

内閣府の調査でも、同居人がいない人は、いる人の2倍以上の割合で強い孤独感を抱えていました。

寂しさは、帰宅直後や寝る前、日曜の夕方といった決まった時間帯に、波のようにやって来ます。

時期で見ると、生活が落ち着き始める数週間から数か月がいちばんつらくなりやすいです。

だからこそ、つらい時間帯に受け皿を置き、人とのつながりを少しずつ増やしていく。

続けるか戻るかは期限を区切って判断し、心と体の不調が続くときは迷わず相談先を頼る。

寂しさを感じる自分を責めずに、今夜の過ごし方を1つだけ変えるところから始めてみてください。

今日からできること

最後に、今日からできることを表にまとめます。

やること やり方 期待できること
つらい時間帯を知る 寂しくなった時間をメモに残す 手を打つ場所がはっきりする
帰宅直後の受け皿を置く 照明のタイマーとラジオを用意する 無音と暗さがこたえにくくなる
寝る前に書き出す 5分だけノートに気持ちを書く 考えごとが減って眠りやすくなる
日曜の夕方に予定を入れる 銭湯や散歩、短い電話を決める 一週間でいちばんつらい山を越えやすい
期限を決める 続けるか考え直す日を手帳に書く 毎晩迷わずに済む
相談先を控える 「まもろうよ こころ」を保存しておく いざというときに迷わない

今夜は、寂しくなった時間を1つだけメモに書いてみてください。

その時間が分かれば、明日の夜には受け皿を1つ置くことができます。

一人の時間との付き合い方を考えたいときに

寂しさとの向き合い方や、一人の暮らしを整えるコツは、本で考え方の型を知っておくと、自分の毎日に当てはめやすくなります。気になるものから探してみてください。

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