MENU

夫にイライラする毎日がつらい妻へ 自分を責めずに気持ちを整える考え方と伝え方

夫にイライラする毎日がつらい妻へ 自分を責めずに気持ちを整える考え方と伝え方

朝、顔も洗わずに出かけていく背中を見て、胸の奥がざわつく。

脱いだ靴下がまたソファの横に落ちていて、拾いながらため息が出る。

夫の言動に毎日イライラしてしまい、そんな自分にも嫌気がさしている。

この記事は、そういう毎日を送っている妻の方に向けて書いています。

最初に、夫へのイライラがどこから来ているのかを、気持ちの側から整理します。

次に、爆発せずにその場をやり過ごす工夫と、言いたいことを相手に届く形で伝える方法を、具体的な言い回しと一緒に見ていきます。

最後に、イライラの陰に暴力や支配が隠れていないかを確かめる目安と、公的な相談の窓口も載せています。

読み終えたときに、自分を責める時間が少し減り、明日の夫への一言が1つ決まっている。

そこをこの記事のゴールにしています。

目次

「私がモラハラをしているのかも」というQ&Aサイトの相談

先日、Q&Aサイトでこのような切実な悩みを拝見しました。

4つの「言ったこと」と「やめたこと」

投稿者は、乳児を育てているお母さんでした。

夫にイライラしすぎて、自分のほうがモラハラをしているのではないかと不安になっている、という相談です。

挙げられていたのは、次のような出来事でした。

夫が毎朝、顔を洗わずに仕事へ行き、休日は歯も磨かない。

不潔なのは生理的に受けつけないと伝えた。

トイレを汚したまま出てくるので、汚したらそのつど自分で掃除してほしいと頼んだ。

いびきがひどく、寝不足のなかで眠れないため、別の部屋で寝てもらっている。

夫は育児に関わりたがっているけれど、教えるのも面倒で、言ってもうまくできないので、子どものことは全部自分でやっている。

そのうえで、「求めることばかりで、私の我慢が足りないのでしょうか」「どうしたらイラつかずに飲み込めますか」と結ばれていました。

回答者たちの見立ては分かれていた

回答はいくつか寄せられていて、見立ては少しずつ違っていました。

洗顔やトイレの話は、ごく普通のお願いでモラハラにはあたらない、という声が多くありました。

一方で、子どものことを全部自分で抱えている点は問題で、簡単なことから夫にも参加してもらったほうがいい、という指摘もありました。

ある回答者は、指摘することと、心ない言葉を浴びせることは別物だと書いていました。

言うべきことは言ってよい、ただ感情的にならずに、どうしてほしいかを示したほうがいい、という意見です。

投稿者の補足に込められた疲れ

投稿者はその後、補足を書いていました。

何度も何度も伝えて、ようやく洗顔とトイレ掃除はしてくれるようになった、年単位で時間がかかった、という内容です。

この一文に、毎日の小さな積み重ねがどれだけ重かったかが表れています。

夫にイライラするのは、あなたの心が狭いからではない

こうした相談を読むと、イライラしている妻の多くが、怒りと同じくらい強く自分を責めていることが分かります。

「こんなことで怒る私が小さいのでは」と思いながら、それでもイライラが止まらない。

この二重の苦しさが、毎日の疲れをいっそう重くしています。

いちばん長く一緒にいる相手だから、小さなことが積もる

夫は、職場の人や友だちと比べて、圧倒的に長い時間を同じ空間で過ごす相手です。

外の人なら一度きりで流せることも、毎日くり返されると、少しずつ積もっていきます。

靴下ひとつ、返事ひとつは小さな出来事でも、それが何百回目なのかで、受け止める重さはまったく変わります。

夫からすれば「たったそれだけで」と見えることでも、あなたの中では何百回分の重さになっている。

イライラの大きさが出来事の大きさと釣り合わないのは、そのためです。

家事と育児にかかる時間には、今も大きな差がある

総務省が5年ごとに行っている「社会生活基本調査」の令和3年の結果によると、6歳未満の子どもがいる夫婦と子どもの世帯で、家事関連時間は夫が1日あたり1時間54分、妻が7時間28分でした。

同じ調査で、夫の家事関連時間は5年前より増えています。

それでも、1日の中で家のことにかかる時間には、まだ大きな差が残っています。

この差が埋まらないまま毎日が続けば、疲れているのに休めない側にイライラがたまるのは、自然なことです。

責める気持ちが、もう一段の疲れを生む

イライラそのものより、イライラする自分を責める時間のほうが、心を削っていることがあります。

「また怒ってしまった」「子どもの前で嫌な顔をした」と、夜になって思い返す。

イライラは、あなたの中で何かが限界に近づいているという知らせです。

責めるより先に、何が限界に近いのかを確かめるほうが、ずっと早く楽になれます。

今のあなたの状態 心の中で起きていること まず試したいこと
小さなことで毎日イライラする 同じ出来事が何百回も積もっている 一番こたえている場面を1つだけ選ぶ
怒ったあとに自分を責める 怒りと罪悪感が交互にきている 責める前に、その日の疲れ具合を振り返る
何度言っても変わらないと感じる 伝え方と受け取り方がずれている 頼み方を1つだけ変えてみる
家のことを全部ひとりで抱えている 任せる手間より自分でやる早さを選んでいる 小さな仕事を1つだけ手放す
夫の言動が怖いと感じることがある イライラとは別の問題が隠れている可能性がある この記事の後半の目安と窓口を確かめる

表のどの行に近いかを1つ決めておくと、この先の話を自分に当てはめやすくなります。

夫へのイライラを、4つの正体に分けてみる

イライラは、ひとかたまりの感情に見えて、中身はいくつかの気持ちが混ざっています。

どれが混ざっているかによって、効く手当てが変わります。

ここでは、よく見られる4つの正体に分けて見ていきます。

正体1 「これくらいはしてくれるはず」という期待とのずれ

脱いだ服は洗濯かごに入れるもの、使った食器は流しに運ぶもの。

自分の中では当たり前になっている基準があり、夫がそこに届かないとき、イライラが生まれます。

基準そのものが間違っているわけではありません。

ただ、育った家や一人暮らしの長さによって、当たり前の基準は人ごとにかなり違います。

夫の側は、そもそもそれが「やるべきこと」の一覧に入っていないことがあります。

期待とのずれから来るイライラは、基準を言葉にして共有するだけで小さくなることがあります。

正体2 寝不足と体の疲れ

同じ出来事でも、よく眠れた朝と、夜中に何度も起きた朝とでは、受け止め方がまったく違います。

Q&Aサイトの投稿者も、乳児がいて常に寝不足だと書いていました。

体が疲れきっていると、心の余白がなくなり、ふだんなら流せることにも反応してしまいます。

イライラが強い日ほど、まず自分の睡眠と食事を疑ってみてください。

これは気の持ちようの話とは違い、体の仕組みの話です。

正体3 「私ばかり」という不公平感

家事や育児の負担が偏っていると、夫のささいな一言や態度が、不公平の象徴のように見えてきます。

ソファで携帯を見ている姿そのものより、「私は座る暇もないのに」という比較が、イライラの火種になっています。

この場合、夫の態度だけを直してもらっても、根っこの不公平感は残ります。

負担の分け方そのものを見直す必要があります。

正体4 分かってもらえない寂しさ

「疲れた」と言ったのに、「じゃあ休めば」で終わってしまった。

話を聞いてほしかったのに、すぐに解決策を返された。

こうした場面で生まれるのは、怒りに見えて、実は寂しさです。

自分の大変さを、いちばん近くにいる人に分かってもらえない。

その寂しさが、行き場をなくしてイライラの形で出てくることがあります。

イライラの正体 よく出る場面 効きやすい手当て
期待とのずれ 片づけ、身支度、時間の守り方 自分の基準を言葉にして共有する
寝不足と疲れ 朝の支度、夕方から寝かしつけまで 睡眠と休む時間を先に確保する
不公平感 夫がくつろいでいるのを見たとき 家事と育児の分け方を見直す
分かってもらえない寂しさ 気持ちを話したのに流されたとき 解決よりも「聞いてほしい」と先に伝える

1つの場面に、2つ以上の正体が重なっていることもよくあります。

よくあるイライラの場面と、その裏にある気持ち

ここからは、夫へのイライラがよく生まれる場面ごとに、その裏側にある気持ちを見ていきます。

場面を言葉にしておくと、自分が何に一番こたえているのかが見えやすくなります。

家事を「手伝う」感覚でいる

「言ってくれれば手伝うのに」という言葉に、イライラした経験がある方は少なくないはずです。

この言葉の裏には、家事は妻の仕事で、自分はそれを手伝う側だという前提があります。

言われたことはやるけれど、何をやるかを考えるのは妻のまま。

この「考える役」が偏っていることが、疲れの大きな原因になっています。

育児に関わりたいのに、任せられない

Q&Aサイトの投稿者は、夫が育児に関わりたがっているのに、教えるのが面倒で任せられないと書いていました。

これは、多くの家庭で起きているすれ違いです。

自分でやったほうが早くて確実なので、つい全部引き受けてしまう。

その結果、夫はいつまでも慣れず、妻の負担はいつまでも減らない、という循環ができあがります。

生活の習慣や身だしなみ

洗顔、歯みがき、トイレの使い方、脱いだものの置き場所。

身だしなみや生活習慣は、毎日目に入るぶん、イライラが積もりやすい場面です。

ここには「不潔なのは受けつけない」という、体の感覚に近い拒否感が混ざることがあります。

体の感覚から来る嫌悪は、理屈で飲み込もうとしても消えにくいものです。

我慢で乗り切るより、具体的なお願いとして伝えたほうが、結果的に早く変わります。

言葉や態度が引っかかる

生返事、ため息、上から目線の一言、スマホを見たままの相づち。

言葉や態度へのイライラは、「大事にされていない」という感覚とつながっています。

夫にそのつもりがなくても、受け取る側には、自分の存在を軽く扱われたように響きます。

休日の過ごし方とお金の使い方

休日に一日じゅうゲームをしている、自分の趣味にはお金を使うのに家のものは渋る。

時間とお金の使い方には、その人が何を優先しているかが表れます。

自分や子どもが後回しにされているように見えると、イライラは一気に強くなります。

場面 裏にある気持ち 伝えたいこと
家事を「手伝う」と言われる 考える役まで私に押しつけないでほしい 何をやるかを自分で気づいてほしい
育児を任せられない 失敗されると結局私の手間が増える 慣れるまで一緒にやってほしい
身だしなみや習慣 生理的に受けつけない 具体的にこれだけは守ってほしい
生返事や上から目線 大事にされていない気がする 話すときはこちらを見てほしい
休日とお金の使い方 私と子どもが後回しにされている 家族の時間と予算を一緒に決めたい

右の列の「伝えたいこと」は、後半で扱う伝え方の材料になります。

自分にあてはまる行があれば、その言葉を覚えておいてください。

イライラしたときに、ついやってしまうこと

イライラしているとき、多くの人が似たような行動をとってしまいます。

どれもその場では自然な反応ですが、続けるうちに、夫婦の間のすれ違いを深くしていきます。

自分にあてはまるものがないか、責めずに眺めてみてください。

察してほしいと、黙って待つ

「見れば分かるでしょう」「言わなくても気づいてほしい」。

そう思って黙って待っていても、多くの場合、夫は気づきません。

気づかない夫に、さらにイライラが募る。

察してもらうことを待つ時間が長いほど、こちらの怒りは大きくなり、相手はそれに気づかないままです。

ため息や態度で伝えようとする

大きなため息をつく、わざと音を立てて片づける、返事をしない。

言葉にしない代わりに、態度で不満を伝えようとすることがあります。

態度は、何が不満なのかが伝わりにくく、相手には「機嫌が悪い」としか届きません。

その結果、夫は理由の分からない不機嫌を避けようとして、さらに距離を取るようになります。

過去の不満まで、まとめてぶつける

我慢を重ねた末に、ある日いっきに爆発する。

そのとき、今日の出来事だけでなく、何か月も前の出来事まで一緒に出てきてしまいます。

言われた側は、どれに答えればいいのか分からず、守りに入るか、黙りこむかのどちらかになりがちです。

「いつも」「なんで」で責める

「いつもそうだよね」「なんでできないの」。

この2つの言葉は、相手の行動よりも、相手そのものを責める響きを持っています。

言われた側は、行動を直すより先に、自分を守ろうとします。

伝えたいのは行動の話なのに、人格の話として受け取られてしまうのです。

全部を自分で引き受けてしまう

頼むのが面倒、教えるより自分でやるほうが早い。

そうやって全部を引き受けると、その場は早く片づきます。

ただ、夫は家のことに慣れる機会を失い、こちらの疲れはいつまでも減りません。

Q&Aサイトの回答者が「これは問題あり」と指摘していたのも、この点でした。

自分さえ我慢すればと、飲み込み続ける

言っても変わらないなら、自分が我慢すればいい。

そう決めて飲み込み続けると、表面上は穏やかでも、心の中ではイライラが積もり続けます。

飲み込んだ不満は消えず、別の形で出てきます。

子どもに強く当たってしまう、体調を崩す、ある日突然「もう無理」と思う、といった形です。

Q&Aサイトの回答の中にも、母親の怒りの矛先が、やがて子どもの自分に向いたという体験が書かれていました。

ついやってしまうこと その場で起きること 続けた先に起きやすいこと
察してほしいと黙って待つ 夫は気づかないまま 怒りだけが大きくなる
ため息や態度で伝える 不機嫌だけが伝わる 夫が距離を取るようになる
過去の不満をまとめてぶつける 夫が黙るか言い返す 話し合い自体を避けるようになる
「いつも」「なんで」で責める 夫が自分を守ろうとする 行動は変わらず関係だけが冷える
全部を自分で引き受ける その場は早く片づく 疲れが減らず不公平感が強まる
飲み込み続ける 表面上は穏やかに見える 子どもや体に不満が出てくる

どれか1つに気づけただけでも、次に同じ場面が来たときの動き方が変わります。

イライラが爆発しそうなときの、その場の工夫

伝え方を変えるのは、気持ちが落ち着いてからで十分です。

まずは、イライラが頂点に達しそうなその瞬間を、どうやり過ごすかを考えます。

いったん、その場を離れる

イライラが強くなってきたら、言葉を返す前に、その場から物理的に離れてみてください。

トイレに行く、ベランダに出る、洗濯物を取りこみに行く。

数分でも距離を取ると、口から出かかっていた言葉を、別の形に変える余裕が生まれます。

自分の体の状態を確かめる

その場を離れたら、自分の体に目を向けます。

お腹がすいていないか、ゆうべは何時間眠れたか、肩や首がこわばっていないか。

空腹や寝不足が原因だと分かれば、夫への言葉を後回しにして、先に体のほうを整えるという選択ができます。

頭の中の言葉を、紙に書き出す

言いたいことが頭の中でぐるぐる回るときは、紙やスマホのメモに書き出してみてください。

人に見せるものではないので、きれいな言葉でなくてかまいません。

書き出すと、本当に腹が立っていることと、ついでに腹が立っていることが分かれてきます。

本当に伝えたいことは、たいてい1つか2つに絞られます。

その日のうちに片づけようとしない

イライラした出来事を、その日のうちに解決しようとすると、どうしても感情的なやりとりになりがちです。

「この話は、子どもが寝てから」「週末に」と、話す時間を先に決めておくと、その場では言葉を飲み込みやすくなります。

捨てるわけでもなく、話す時間を後ろにずらしただけだと分かっていれば、我慢の重さはずっと軽くなります。

その場の工夫 やること 得られること
その場を離れる 数分だけ別の部屋に行く 言葉を選び直す余裕ができる
体の状態を確かめる 空腹と睡眠を振り返る 原因が体にあるときに気づける
紙に書き出す 言いたいことを全部メモする 本当に伝えたいことが絞れる
話す時間を決める 「この話は週末に」と区切る その場の我慢が軽くなる

この中で、一番やりやすそうなものを1つだけ選んで、次のイライラの場面で試してみてください。

言っていいことと、言い方を分けて考える

Q&Aサイトの投稿者がいちばん気にしていたのは、「求めることばかりの私はモラハラなのでは」という点でした。

ここは、言う中身と、言い方を分けて考えると整理しやすくなります。

伝えること自体は、わがままにあたらない

清潔にしてほしい、トイレを汚したら掃除してほしい、眠れないから部屋を分けたい。

こうしたお願いは、一緒に暮らすうえでの、ごく当たり前の調整です。

困っていることを伝えるのは、相手を責めることとは違います。

伝えずに我慢し続けるほうが、長い目で見ると二人の関係を傷つけます。

気をつけたいのは、中身よりも言い方

一方で、同じお願いでも、言い方によって相手への届き方は大きく変わります。

人格を否定する言葉、相手を見下す言い方、人前で恥をかかせるような言い方は、内容が正しくても相手を深く傷つけます。

自分の言い方が気になったときは、「行動の話をしているか、人の話をしているか」を確かめてみてください。

「トイレを汚したら拭いてほしい」は行動の話です。

「だらしない人」は人の話です。

行動の話にとどまっていれば、それは指摘であって、相手を傷つけるための言葉とは別物です。

「私」を主語にして伝える

お願いをするときは、「あなたは」で始めるより、「私は」で始めるほうが、相手は受け取りやすくなります。

「あなたはいつも片づけない」は、相手への評価に聞こえます。

「脱いだ服がそのままだと、私は朝の支度が遅れて焦ってしまう」は、自分の困りごとの説明です。

主語を変えるだけで、相手は責められているという感覚を持ちにくくなります。

1回に1つ、具体的な行動で頼む

頼みごとは、1回につき1つに絞ります。

あれもこれもと並べると、相手はどれから手をつければいいか分からなくなります。

頼み方も、「ちゃんとして」「気をつけて」のような抽象的な言葉より、具体的な行動のほうが伝わります。

「朝、家を出る前に顔を洗ってほしい」「使ったお皿は流しに運んで水につけておいてほしい」というように、見て分かる行動にしておきます。

話す時間を選ぶ

疲れて帰ってきた直後や、出かける直前は、どちらにも余裕がありません。

子どもが寝たあとや、休日の朝食のあとなど、二人とも少し落ち着いている時間を選びます。

「話したいことがあるんだけど、今いい?」と、ひと声かけてから始めるだけでも、相手の構え方が変わります。

できたときは、ひとこと返す

頼んだことをやってくれたら、「ありがとう、助かった」とひとこと返してください。

当たり前のことに礼を言うのは悔しい、と感じる方もいると思います。

ただ、気づいてもらえた行動は続きやすく、気づかれなかった行動は消えやすいものです。

お礼の言葉は、自分の頼みごとを家の中に定着させるための手段でもあります。

そう考えると、少し言いやすくなります。

ついやってしまう言い方 言い換えの例 変わるところ
なんでいつも片づけないの 脱いだ服は洗濯かごに入れてくれると助かる 責める言葉が、頼みごとに変わる
ちゃんとしてよ 朝、家を出る前に顔を洗ってほしい 何をすればいいかがはっきりする
どうせやらないでしょ 今日の夕方、お風呂を洗ってもらえる? 相手が動きやすくなる
少しは気を使ってよ 疲れているから、今夜は話を聞いてほしい 自分の状態が伝わる
言わなくても分かるでしょ 私はこうしてもらえるとうれしい 察してもらう前提がなくなる

全部を一度に変える必要はありません。

いちばん口にしやすい1行から始めてみてください。

家事と育児を、見える形にして分け直す

不公平感からくるイライラには、言い方の工夫だけでは限界があります。

負担の分け方そのものを見直す段階です。

名前のない家事を書き出す

ゴミの日を覚えておく、トイレットペーパーの残りを確かめる、子どもの持ち物をそろえる。

こうした名前のない家事は、やっている本人にしか見えません。

紙に、家の中の仕事を思いつくだけ書き出してみてください。

夫に見せると、「こんなにあったのか」と驚かれることが少なくありません。

見えていなかったものは、分けようがないのです。

任せる仕事は、最初から最後まで任せる

書き出した仕事の中から、夫に任せるものを選びます。

このとき、作業の一部だけでなく、気づくところから終わりまでをまとめて任せます。

たとえばゴミ出しなら、袋をまとめるところから、新しい袋をかけるところまでです。

一部だけを任せると、結局「言われたらやる」状態に戻り、考える役はこちらに残ります。

教える手間は、先に払う

育児を任せられない理由として、教えるのが面倒、という声はよく聞かれます。

たしかに最初の数回は、自分でやるより時間がかかります。

ただ、教える手間は一度払えば、そのあとずっと楽になります。

おむつ替え、お風呂、寝かしつけのどれか1つから始めて、うまくいかなくても口を出しすぎずに見守ります。

やり方が自分と違っても、子どもが安全なら、それは夫のやり方として認めていい部分です。

時間の差を、責める材料にしない

先に紹介した調査のように、家事や育児にかかる時間には、今も夫婦の間で差があることが多いものです。

この数字を夫に突きつけて責めるより、「わが家ではどうしたいか」を話す材料として使うほうが、話が前に進みます。

自分のための時間と、話せる相手を持つ

イライラを小さくするには、夫を変える工夫と同じくらい、自分を回復させる工夫が欠かせません。

ひとりになれる時間を、予定に入れる

週に一度、1時間だけでも、子どもと家のことから離れる時間を作ります。

カフェで本を読む、散歩をする、ただ眠る。

この時間を夫に頼むこと自体が、家のことを分け合う第一歩にもなります。

夫以外に、話せる相手を持つ

夫へのイライラを、夫本人にしか話せない状態は苦しいものです。

友人、きょうだい、職場の同僚など、夫婦の外に気持ちを話せる相手を1人持っておくと、気持ちの逃げ道ができます。

話すだけで、自分が何にこだわっていたのかに気づくこともあります。

夫婦の会話そのものが減ってしまっている場合は、夫婦の会話がない毎日を責めずに戻すための記事も参考になるはずです。

市区町村の相談窓口や、専門家を頼る

市区町村には、子育てや家庭の悩みを相談できる窓口があります。

夫婦の問題を専門に扱うカウンセラーに話を聞いてもらうという方法もあります。

「この程度で相談していいのか」と迷う必要はありません。

相談の窓口は、深刻になる前に使うためにもあります。

イライラの陰に、暴力や支配が隠れていないか

ここまでは、夫婦のすれ違いから生まれるイライラを前提に話してきました。

ただ、イライラの裏側に、別の問題が隠れていることもあります。

夫の言動に、怖さや息苦しさを感じることがあるなら、この節を読んでみてください。

暴力には、心を傷つけるものも含まれる

内閣府男女共同参画局が令和5年度に行った「男女間における暴力に関する調査」では、結婚したことのある女性のうち27.5%が、配偶者から何らかの被害を受けたことがあると答えています。

ここでいう被害には、なぐる、けるといった身体への暴行だけでなく、人格を否定する暴言や、行き先や交友関係を細かく監視する、長い期間無視するといった「心理的攻撃」も含まれています。

同じ調査で、心理的攻撃の被害経験がある女性は19.9%でした。

生活費を渡さない、外で働くことを妨げるといった「経済的圧迫」も、被害の1つとして数えられています。

夫婦げんかと、相談を考えたいサインの違い

意見がぶつかって言い合いになるのは、どの夫婦にもあることです。

ただ、次のような状態が続いているときは、ひとりで抱えずに相談することを考えてください。

ふつうの夫婦げんかに近い状態 相談を考えたいサイン
言い合いになっても、あとで話し合える 言い返すと、もっとひどいことを言われる
意見が違っても、相手の考えを聞ける 自分の考えを言うこと自体が怖い
お金のことを二人で話し合える 生活費を渡してもらえない、使い道を細かく監視される
友人や実家と自由に連絡できる 誰と会うか、誰と連絡するかを制限される
腹が立っても、物や体には向かわない 物を投げる、壁をたたく、体を押されることがある
気分の波があっても、理由は分かる 機嫌をうかがって暮らすのが当たり前になっている

右の列にあてはまるものがあっても、それだけで相手を決めつける必要はありません。

ただ、「私が怒らせたから」「私にも悪いところがある」と自分を責めて片づけてしまうのは、避けてほしいところです。

「相談するほどのことではない」と思ってしまう

同じ調査では、配偶者から被害を受けた人のうち、女性の36.3%がどこ(だれ)にも相談しなかったと答えています。

相談しなかった理由で最も多かったのは、「相談するほどのことではないと思ったから」でした。

「自分にも悪いところがあると思ったから」という答えも、上位に並んでいます。

自分のことを、自分で小さく見積もってしまう。

これは、毎日を何とか回している人ほど陥りやすい考え方です。

自分の言動が気になるときも、話してみてよい

Q&Aサイトの投稿者のように、「イライラしすぎて、自分のほうが相手を傷つけているのでは」と不安になる方もいます。

その不安を持てること自体が、相手を思いやる気持ちの表れです。

自分の言い方を見直したいときも、カウンセラーや公的な窓口に話してみてかまいません。

公的な相談の窓口

ひとりで判断がつかないときは、次のような公的な窓口があります。

窓口 内容 つながり方
DV相談+(内閣府) 専門の相談員が対応。電話は24時間受付で、チャットや相談箱からも相談できる 電話 0120-279-889
DV相談ナビ(内閣府) お近くの配偶者暴力相談支援センターにつながる 電話 #8008
配偶者暴力相談支援センター 都道府県や市区町村に置かれた公的な相談機関。相談、安全の確保、自立の支援などを行う 内閣府男女共同参画局の一覧から探せる
警察 身の危険が迫っているとき 110番

DV相談+は、「これってDVなのかな」と迷う段階での相談も受けつけています。

まずは話を聞いてもらうつもりで使ってみてください。

よくある質問

Q1. 夫にイライラするのは、私の心が狭いからですか

心の広さの問題とは限りません。

寝不足や疲れ、家事や育児の負担の偏りがあると、誰でもイライラしやすくなります。

まずは自分の体の状態と、負担の分け方を確かめてみてください。

Q2. 何度言っても変わらない夫には、どうすればいいですか

頼む内容を1つに絞り、具体的な行動の形で伝えてみてください。

Q&Aサイトの投稿者のように、変わるまでに長い時間がかかることもあります。

それでもまったく変わらず、話し合いにも応じてもらえない場合は、夫婦の外の相談先を頼ることも考えてください。

Q3. イライラして、子どもに当たってしまいそうになります

その場を離れる、深呼吸をする、ひとりになれる時間を作るといった工夫で、まずは自分を休ませてください。

子育ての悩みは、市区町村の子育ての相談窓口でも受けつけています。

ひとりで抱えこまず、早めに誰かに話すことが、子どもを守ることにもつながります。

Q4. 夫のことを嫌いになってしまいそうで不安です

イライラが続いていると、相手のよいところが見えにくくなります。

嫌いになりそうな自分を責める必要はありません。

いったん距離を取って休む時間を作り、気持ちが落ち着いてから、これからのことを考えても遅くはありません。

Q5. 夫の言動が怖いと感じることがあります

怖さを感じる時点で、ひとりで抱えるべき問題の範囲を超えている可能性があります。

DV相談+や、お住まいの地域の配偶者暴力相談支援センターに、まずは話を聞いてもらってください。

身の危険を感じるときは、迷わず110番に連絡してください。

まとめ

夫にイライラしてしまうのは、あなたの心が狭いからではありません。

いちばん長く一緒にいる相手だからこそ、小さな出来事が積もり、寝不足や負担の偏りがそれをいっそう重くしています。

イライラの正体を、期待とのずれ、疲れ、不公平感、寂しさに分けてみると、効く手当てが見えてきます。

その場では離れて体を整え、伝えるときは「私」を主語に、1回に1つの具体的な行動で頼む。

家のことは書き出して見える形にし、任せる仕事は最初から最後まで任せる。

そして、夫の言動に怖さを感じるときは、ためらわずに公的な窓口を頼ってください。

今日からできること

最後に、今日からできることを表にまとめます。

やること やり方 期待できること
一番こたえる場面を選ぶ イライラした場面を1つだけ書き出す 何から手をつけるかが決まる
体の状態を確かめる ゆうべ眠れた時間と、今日食べたものを振り返る 原因が疲れにあるときに気づける
頼みごとを1つ決める 「私」を主語にした一文を考えておく 次に話すときに慌てずに済む
名前のない家事を書き出す 家の中の仕事を紙に並べる 負担の偏りを夫と共有できる
話せる相手を思い浮かべる 夫婦の外で話せる人を1人書き出す ひとりで抱えこまずに済む
窓口を控えておく DV相談+や#8008をメモしておく いざというときに迷わずに済む

今夜、夫に頼みたいことを1つだけ、「私」を主語にして言ってみてください。

それが届いたら、次の1つに進めばいいのです。

夫へのイライラと向き合いたいときに

気持ちの整え方や、夫婦での話し合い方は、本で考え方の型を知っておくと、自分の家庭に当てはめやすくなります。気になるものから探してみてください。

※当サイトのリンクにはアフィリエイトを使用しています

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次