同い年の同僚が昇進した話を聞いて、おめでとうと笑顔で言った。
その帰り道、胸の奥がずっと重かった。
自分には何もないように思えて、夜になっても考えが止まらない。
劣等感が強い自分が嫌で、そんな自分に気づくたびに、さらに落ち込む。
この記事は、劣等感の強さに苦しんでいる方に向けて書きました。
あわせて、劣等感の強い人との付き合い方に悩んでいる方にも読んでもらえるようにしています。
最初に、答えの大きな順番だけお伝えします。
劣等感が強いことは、性格の欠陥とは限りません。理想とする姿が高く、現実との差を細かく見られる人ほど、強く感じやすいと説明されることがあります。
だから、劣等感をゼロにしようとすると、かえってしんどくなります。
目指しやすいのは、劣等感に飲まれる時間を短くして、動ける場面を増やすことです。
記事では、次の順で書いていきます。
- 劣等感が強い人に見られやすい特徴
- 劣等感とプライドの高さが結びつく理由
- 苦しさを和らげる、小さな方法
- 劣等感の強い人と付き合うときの距離の取り方
- つらさが続くときに頼れる、公的な相談窓口
ここで書く心理の説明は、ひとつの考え方の紹介です。
人によって当てはまり方は違います。診断のように決めつけず、自分の状況に合うところだけ持ち帰ってください。
Q&Aサイトで見かけた「劣等感が強くてプライドも高い自分が嫌」という相談
先日、Q&Aサイトでこのような切実な悩みを拝見しました。
投稿したのは、劣等感が強いために、プライドが高くなってしまうと感じている方です。
周りと比べてはいけないと分かっているのに、比べてしまう。
自分より仕事ができる人や、才能のある人を見ると、強い劣等感に襲われる。
同い年なのに評価されている人がいて、自分には秀でたものがない、と思ってしまう。
その一方で、自分より下だと感じる人を見ると、気持ちが楽になるそうです。
そして、そんな自分の性格が嫌になり、また劣等感にかられる。
投稿者は、この繰り返しから抜けたいと書いていました。
読んでいて、胸が詰まりました。
この方の悩みは、特別なものではありません。
人と比べて落ち込むことも、下を見て安心してしまうことも、多くの人が経験します。
問題は、その気持ちが出てくることそのものより、出てきたあとに自分を責めて、苦しさが二重になっていることです。
この質問には、完璧主義すぎないか、過去に人と比べられて傷ついた経験がないか、といった回答が寄せられていました。
超えられない部分があるなら、別のところで自分の強みを見つけてはどうか、という意見もありました。
どれも、投稿者を思っての言葉だと感じます。
ただ、苦しいときに、すぐ実行できる助言ばかりとは限りません。
この記事では、実行しやすい順に、小さな方法へ分けて書いていきます。
そもそも劣等感とは何か
劣等感とは、自分が人より劣っていると感じる気持ちのことです。
能力、容姿、学歴、収入、家庭環境など、きっかけはさまざまです。
多くの人は、一度は感じたことがあります。
心理学の分野では、劣等感という言葉を広めたのは、精神科医のアドラーだと紹介されることがあります。
アドラー心理学という考え方では、劣等感は人が成長するための原動力にもなる、と説明されます。
ただし、これは数ある心理学の考え方のひとつです。誰にでも同じように当てはまる定説ではありません。
大切なのは、劣等感そのものを悪者にしないことです。
感じること自体は、自然な心の動きです。
苦しくなるのは、その気持ちが強すぎて、日常の判断や人間関係に影響し続けるときです。
劣等感が強い状態とは
劣等感が強い状態には、いくつかの目安があります。
人と会ったあと、必ず自分と比べて落ち込む。
褒められても、素直に受け取れない。
何かを始める前から、どうせ自分には無理だと感じる。
こうした状態が続くと、行動の幅が少しずつ狭まっていきます。
次の章で、劣等感が強い人に見られやすい特徴を、もう少し具体的に見ていきます。
劣等感と自己肯定感の違い
劣等感と自己肯定感は、別の言葉です。
劣等感は、人と比べたときの「自分が劣っている」という感覚です。
自己肯定感は、自分をそのまま受け入れられる感覚だと説明されます。
自己肯定感が高くても、特定の場面では劣等感を感じることがあります。
反対に、劣等感が強くても、すべてを否定しているとは限りません。
この2つを分けて考えると、「自分はダメな人間だ」と全体を否定する癖に、気づきやすくなります。
劣等感が悪いわけではない理由
劣等感があるから、人は学び、工夫し、成長しようとします。
仕事で悔しい思いをして、勉強を始めた人は多いはずです。
ただ、劣等感が強すぎると、成長に向かうエネルギーより、自分を責めるエネルギーのほうが大きくなります。
そのバランスが崩れているときが、苦しさの正体であることが少なくありません。
劣等感が強い人に見られやすい特徴
劣等感の強さは、外から見えにくいものです。
笑顔で明るく振る舞っていても、内側ではずっと比べ続けている人もいます。
以下は、劣等感が強い人に見られやすいと言われる特徴です。当てはまる数で何かが決まるわけではないので、自分を知る手がかりとして読んでください。
| 特徴 | 具体的な場面 |
|---|---|
| すぐ人と比べる | 友人の近況を聞くと、自分の現状と並べてしまう |
| 褒め言葉を受け取れない | 「すごいね」と言われても、お世辞だと思って流す |
| 自分を先に下げる | 「私なんて全然です」と、会話の最初に言ってしまう |
| 他人の成功が苦しい | 祝いたいのに、心のどこかで胸がざわつく |
| 失敗を引きずる | 小さなミスを、何日も思い返す |
| 完璧を求める | 100点でなければ、0点と同じに感じる |
| 挑戦を避ける | 負けるのが怖くて、勝負の場から離れる |
比べる相手がいつも自分より上にいる
劣等感が強い人は、比べる相手を無意識に選んでいる場合があります。
自分より優れている部分だけを見つけて、その人と比べる。
そうすると、勝てる場面がほとんどなくなります。
職場にも、地元の友人にも、SNSの向こうにも、自分より上の人は必ずいるからです。
相手の見えている部分は、全体のほんの一部です。
それでも、自分の内側の悩みと、他人の外側の成果を比べてしまいます。
褒められても安心できない
褒め言葉が心に入らないのも、よくある特徴です。
「本当は違う」「相手が気を遣っているだけ」と、頭の中で打ち消してしまいます。
その結果、周りが認めていても、本人だけが認められていないと感じ続けます。
この状態は、周りから見ると謙虚に映ることがあります。
けれど本人の中では、安心の置き場がありません。
失敗や批判に強く反応する
失敗したときや、指摘を受けたときの反応も強くなりがちです。
内容そのものより、「やっぱり自分はダメだ」という意味づけが大きくなるためです。
仕事のミスを指摘されただけなのに、人格を否定されたように感じる。
すると、次に同じ場面が来るのが怖くなります。
その怖さが、挑戦を避ける行動につながることもあります。
一見、強気に見える人もいる
劣等感の強さは、弱々しい態度だけに表れるわけではありません。
自慢が多い、他人を批判する、負けを認めない。そうした強気な態度の裏に、劣等感があると説明されることもあります。
アドラー心理学という考え方では、これを優越性の追求と呼び、劣等感を隠すための補償の一つとして説明します。
ただし、強気な人がみな劣等感を抱えているとは限りません。
外から見て決めつけるのは避けたほうが安全です。
この点は、付き合い方の章でもう一度触れます。
劣等感が強くなる背景
劣等感の強さには、はっきりした一つの原因があるとは言えません。
育った環境、これまでの経験、今いる環境が重なって、感じ方が作られていくと考えられています。
ここでは、よく挙げられる背景を紹介します。自分に当てはまるかどうかは、決めつけずに眺めてください。
幼いころに比べられた経験
兄弟や同級生と比べられて育つと、「人と比べて評価されるもの」という前提が心に残りやすいと言われます。
テストの点数、運動の成績、容姿の評価。
大人になっても、無意識に同じ物差しで自分を測ってしまうことがあります。
比べられた経験が悪かったと責める必要はありません。
物差しは、あとから付け替えることができます。
失敗や否定を強く経験した
受験、就職、人間関係などで、うまくいかなかった経験が深く残ることもあります。
そのときに受けた否定の言葉が、今も心の中で再生されている場合もあります。
過去の経験は変えられません。
それでも、その経験をどう意味づけるかは、少しずつ変えていけます。
周りの環境が優秀に見える
進学や就職で、周りの水準が一気に上がる場面があります。
それまで上位にいた人でも、環境が変わると、下の位置になることがあります。
自分の力が落ちたわけではありません。比べる集団が変わっただけです。
けれど、感情はそう割り切れないものです。
SNSで他人の成功が目に入り続ける
現代は、他人の成功や楽しそうな日常が、毎日スマートフォンに流れてきます。
投稿されるのは、人生の中のよい場面だけです。
それが分かっていても、見るたびに比べる気持ちが刺激されます。
比べやすい環境にいること自体が、劣等感を強める一因になり得ます。
同じように、人と比べてしまう気持ちは、別の記事でも詳しく書いています。
関連する悩みとして、つい人と比べてしまう気持ちの扱い方も参考にしてください。
劣等感が強い人はなぜプライドが高く見えるのか
劣等感とプライドの高さは、正反対のようで、同じ人の中に同居することがあります。
Q&Aサイトの投稿者も、劣等感が強いからプライドが高い、と自分で書いていました。
この組み合わせは、珍しくありません。
心理学の説明では、自分の価値が揺らぎやすい人ほど、それを守ろうとする気持ちが強くなる、と言われることがあります。
プライドは、傷つきやすい自分を守る盾のような役割を持つ場合がある、という見方です。
もちろん、すべての人に当てはまるわけではありません。ひとつの考え方として読んでください。
プライドが高くなる3つの流れ
劣等感とプライドの関係には、いくつかのパターンがあると言われます。
| 流れ | 内側で起きていること | 外から見える姿 |
|---|---|---|
| 守る | 負けを認めると自分が崩れる気がする | 謝れない、助けを求めない |
| 取り繕う | 弱い部分を見られたくない | 知ったかぶり、強がり |
| 上に立つ | 自分が上だと確認して安心したい | 自慢、人を下に見る発言 |
どの流れも、根っこには「このままの自分では足りない」という感覚があります。
下の人を見ると気が楽になる
Q&Aサイトの投稿者は、自分より下だと感じる人を見ると気持ちが楽になる、と正直に書いていました。
これは、勇気のいる告白です。
比べて落ち込む気持ちを少し和らげるために、心が自動的に動く場合があります。
自分が悪い人間だから起きるとは限りません。
ただ、この方法には、長続きしない弱点があります。
安心できるのは、下に見える相手がいる間だけだからです。
さらに、あとから「あんなふうに思った自分は嫌な人間だ」と、自己嫌悪が追いかけてきます。
その自己嫌悪がまた劣等感を強め、次の比べる行動を呼ぶという循環に入りやすくなります。
完璧でなければ価値がないという思い込み
劣等感が強い人は、完璧主義の傾向を持つことが多いと言われます。
100点でなければ意味がない。人より劣るなら、やる価値がない。
この考えがあると、挑戦するたびに、自分の価値が試されるような気持ちになります。
結果として、挑戦を避けるか、取り組んでも自分を責め続けることになります。
そのため、プライドが高く見える一方で、中身はとても繊細だったりします。
高いプライドと健全な自尊心の違い
プライドという言葉には、2つの意味が混ざっています。
ひとつは、傷つかないように守る、防御としてのプライドです。
もうひとつは、自分の仕事や生き方を大事にする、誇りとしてのプライドです。
防御としてのプライドは、人からの意見を受け入れにくくします。
誇りとしてのプライドは、間違いを認めながらも、自分の価値を保てるものです。
苦しさにつながりやすいのは、前者の側です。
後者を育てていくことが、劣等感の扱いを楽にします。
劣等感の強さをチェックしてみる
次の質問に、いくつ当てはまるかを数えてみてください。数は目安であり、診断ではありません。
- 人と会ったあと、自分と比べて落ち込むことが多い
- 褒められても、本当は違うと思ってしまう
- 失敗すると、人格まで否定された気持ちになる
- 挑戦する前に、どうせ無理だとあきらめる
- 負けを認めたり、謝ったりするのが苦手
- 他人の成功を、素直に喜べない自分が嫌になる
当てはまる数が多いほど、劣等感が日常に影響している可能性があります。
ただし、数が多くても、あなたに問題があるわけではありません。
苦しさの度合いを知って、対処の優先順位を決めるための材料です。
劣等感を強める、よくある逆効果の対処
苦しさから逃れようとして、かえって劣等感を強めてしまう方法があります。
悪気なくやっていることが多いので、責めずに確認していきます。
無理に自信満々に振る舞う
自信がないのを隠そうとして、堂々と振る舞おうとする人がいます。
短期的にはうまくいくこともありますが、「本当の自分はこうではない」という感覚が残ります。
演じ続けることは、エネルギーを消耗します。
疲れが溜まると、ふとした場面で反動が出ます。
努力で埋めようとして、限界まで頑張る
劣等感を努力で埋めようとする人も少なくありません。
成長のために頑張ること自体は、良い面もあります。
ただ、頑張る理由が「劣っている自分を消すため」だけだと、どこまでいっても終わりがありません。
達成しても、次の劣った部分が目に入るからです。
比べる相手をひたすら避ける
比べて落ち込む相手と、距離を置くのは有効な場合もあります。
けれど、会う人すべてを避けると、人間関係が狭くなります。
孤立が進むと、自分の価値を確かめる機会も減ってしまいます。
距離を置くのは、相手を選んで調整する程度が現実的です。
他人を批判して、自分を保つ
他人の欠点を指摘したり、悪口を言ったりして、相対的に自分を上げようとする方法もあります。
その場では気が晴れても、周りとの関係が悪くなりやすいのが難点です。
さらに、自分も同じ目で見られているのではと不安が増える場合もあります。
マウントを取る人の心理を扱った記事では、この点を相手の側から整理しています。マウントを取る人の心理と受け流し方も、あわせて読んでみてください。
劣等感の苦しさを和らげる方法
劣等感を消すことは目標にしません。
目指すのは、劣等感が出てきても、それに振り回される時間を短くすることです。
ここからは、今日から試せる小さな方法を、実行しやすい順に書きます。
全部やる必要はありません。ひとつだけ選んで、一週間続けてみてください。
方法1 劣等感が出た場面を、メモに書き出す
まずは、気持ちが動いたときに、短くメモを取ります。
書くのは、次の3つだけです。
- いつ、誰を見て、劣等感が出たか
- そのとき、頭の中でどんな言葉が流れたか
- 体はどう感じたか(胸が重い、息が浅いなど)
頭の中のもやもやは、言葉にすると輪郭がはっきりします。
数日続けると、「この人」「この話題」で出やすい、という傾向が見えてきます。
傾向が分かれば、事前に心構えができます。
方法2 比べる軸を、自分で決める
劣等感は、比べる軸が曖昧なまま、全体を比べることで強くなります。
「あの人は仕事もできて、人柄もよくて、見た目もいい」と丸ごと比べると、勝てる場所が見えなくなります。
そこで、比べる軸を一つに絞ります。
たとえば、営業成績だけ、資料作りの速さだけ、と一点にします。
一点に絞ると、同じ人でも、自分が勝てる軸と負ける軸が出てきます。
差があるのは特定の軸だけだ、と見られるようになります。
方法3 比べる相手を、過去の自分に替える
人と比べると苦しい。そう感じたら、比べる相手を一年前の自分に替えてみます。
一年前にできなかったことが、今できていることはありませんか。
小さなことで構いません。新しい仕事の名前を覚えた、苦手な電話に出られるようになった、といった内容です。
書き出して、見える場所に置いておくと、落ち込んだときの助けになります。
他人との差は縮まらなくても、自分の歩みは確かに残っています。
方法4 頭に浮かぶ言葉を、事実と評価に分ける
「自分はダメだ」という言葉は、評価です。事実とは別のものです。
事実だけを取り出すと、「今日の会議で、質問に答えられなかった」になります。
事実と評価を分けると、問題が小さくなります。
質問に答えられなかったことは、次の準備で対処できます。
ダメな人間だという評価は、準備では変えられません。
評価が出たら、事実の欄に書き直す癖をつけてみてください。
方法5 下を見て安心した自分に、気づくだけにする
下を見て安心してしまったとき、自分を責めないでください。
「いま、下を見て安心したな」と、気づくだけで十分です。
気づいた時点で、その考えと距離ができます。
責めると、自己嫌悪がまた劣等感を呼びます。
観察するだけにとどめるのが、循環を切る第一歩です。
方法6 SNSとの距離を、時間で決める
SNSは、比べる材料が最も多く並ぶ場所です。
見る時間を、朝と夜に10分ずつなど、あらかじめ決めてしまいます。
見ていて苦しくなる相手は、ミュートしても構いません。
自分の画面を整える行為で、相手との関係は切れません。
やめるのが難しいなら、通知だけでも切ってみてください。
方法7 小さな「できた」を毎日一つ残す
劣等感が強い人は、できていないことの記憶が強く残りやすい傾向があります。
反対に、できたことは、すぐに忘れてしまいます。
寝る前に、今日できたことを一つだけ書きます。
「起きて出勤した」「連絡の返信ができた」といった、ごく小さなことで構いません。
続けると、自分を評価する物差しが少しずつ変わっていきます。
方法8 劣等感を、行動の材料に変える
劣等感を感じた相手に、学べる点はないかと見てみます。
アドラー心理学という考え方には、劣等感を成長の力に変える、という見方があります。
ただし、これは余裕のあるときに試す方法です。苦しいときに無理に使う必要はありません。
学べる点が見つかったら、真似できそうな部分を一つだけ取り入れます。
一つで十分です。全部を目指すと、また苦しくなります。
方法9 信頼できる人に、話してみる
劣等感は、一人で抱えるほど大きくなりやすい感情です。
信頼できる友人や家族に、「最近、人と比べて落ち込むことが多くて」とだけ話してみます。
解決策をもらえなくても、聞いてもらえるだけで楽になることがあります。
話す相手に迷うときは、あとで書く相談窓口も使えます。
場面別に見る、劣等感との向き合い方
劣等感が出やすい場面ごとに、ひとつだけ工夫を書きます。
| 場面 | 出やすい気持ち | 試せる工夫 |
|---|---|---|
| 職場 | 同期や後輩との比較 | 比べる軸を一点に絞る |
| 友人関係 | 近況報告で差を感じる | 会う頻度を自分で調整する |
| 恋愛 | 相手と釣り合わない気がする | 相手の言葉をそのまま受け取る練習をする |
| 家族 | きょうだいと比べられた記憶 | 今の自分を基準に話す |
| SNS | 他人の成功が目に入り続ける | 見る時間を決める |
職場で劣等感が出たとき
職場では、評価や昇進が見えやすく、比べる材料がそろっています。
同期が先に昇進した日は、落ち込んで当然です。
その日は、気持ちの整理を優先して、判断を急がないでください。
落ち着いてから、相手の進め方で参考にできる点を一つだけ探します。
恋愛や結婚で劣等感が出たとき
相手の収入や学歴、見た目が自分より上に感じると、釣り合っていない気がして不安になります。
恋愛や結婚は、お互いの関係を作る場で、勝ち負けを競う場所ではありません。
不安を一人で抱えず、相手に正直に伝えるほうが、関係は安定しやすくなります。
その伝え方も、責める形にしないことがコツです。「私は、自分に自信が持てなくなることがある」と、自分の気持ちとして話します。
劣等感の強い人との付き合い方
ここからは、身近に劣等感の強い人がいて、対応に悩んでいる方に向けて書きます。
強い劣等感を持つ人は、ときに攻撃的な言い方や、自慢、否定的な発言として現れることがあります。
受け取る側が疲れてしまう場面も多いはずです。
最初に押さえておきたいのは、相手の劣等感を、あなたが解決する必要はないという点です。
まず、相手を決めつけない
自慢が多い人や、批判的な人を見て、「この人は劣等感が強いのだろう」と思う場面があります。
その見立てが当たっていることもあれば、外れていることもあります。
本人にしか分からない部分なので、断定して扱うのは避けます。
決めつけた態度は、相手に伝わります。
「理由はどうあれ、自分はこの言動をどう受け止めるか」と、自分の側に視点を置くと、対応が決めやすくなります。
距離の取り方の基本
| 関係 | 基本の対応 |
|---|---|
| 職場の同僚 | 業務に必要な会話に絞り、感情の話には深入りしない |
| 友人 | 会う頻度を減らし、自分が楽な時間だけ会う |
| 恋人・パートナー | 気持ちを聞く時間を決め、責める形にしない |
| 家族 | 全部を背負わず、役割の範囲を決める |
相手を変えようとせず、自分の関わり方を調整します。
相手を否定しない受け止め方
劣等感の強い人は、否定に敏感です。
「そんなことない」と強く否定すると、分かってもらえなかったと感じることがあります。
まずは、「そう感じているんだね」と、気持ちを受け止める一言から始めます。
賛成するかどうかとは別に、気持ちがあることは認められます。
ただし、毎回の愚痴に付き合い続ける必要はありません。
聞く時間に区切りをつけて構いません。
自慢や批判をされたとき
相手が自慢や批判を続けるときは、感情に反応しすぎないようにします。
「そうなんですね」と短く受けて、話題を変えます。
反論すると、争いが長引くことがあります。
職場なら、日付と発言を簡単に記録しておくと、あとで必要になったときに役立ちます。
同じような悩みは、マウントを取る人の心理と受け流し方でも詳しく書いています。
巻き込まれすぎないために
劣等感の強い人の気持ちに寄り添うほど、こちらが消耗することがあります。
優しい人ほど、相手の苦しさを背負い込みがちです。
自分の心身に不調が出ているなら、距離を取る合図です。
相手を見捨てることにはなりません。長く関係を続けるために、自分を守る判断です。
家族や身近な人が劣等感に苦しんでいるとき
身近な人の苦しさを知りたくて、この記事を開いた方もいるでしょう。
その場合は、「気にしすぎ」「考えすぎ」という言葉は控えてください。
本人は頭で分かっていて、それでも苦しいのです。
できる手助けは、話を最後まで聞くことと、本人が決めたことを急かさず待つことです。
そのうえで、相談窓口の存在を、さりげなく伝えておくのも助けになります。
つらさが続くときの相談先
ここまで読んで、「自分で試せる範囲を超えている」と感じた方もいるかもしれません。
劣等感のために、眠れない、食べられない、仕事や学校に行けない、外に出られない。
そうした状態が続くときは、一人で何とかしようとしないでください。
専門家に話すことは、特別な人だけが使う手段ではありません。
以下は、2026年10月22日に、公式のページを開いて内容を確かめた窓口です。
働く人の「こころの耳」
厚生労働省が運営する、働く人のメンタルヘルスのポータルサイトです。
電話、SNS、メールの3つの方法で相談できます。こころの悩みや人間関係の悩みも、相談の対象に含まれています。
電話相談の番号は0120-565-455(フリーダイヤル)です。
受付時間は、平日が17時から22時(受付は21時50分まで)、土曜日と日曜日が10時から16時(受付は15時50分まで)です。祝日、振替休日、年末年始は除かれます。
SNS相談はLINEで受け付けていて、友だち登録をしてから、相談画面を開きます。受付は平日21時30分まで、土曜日と日曜日は15時30分までです。
メール相談は、専用フォームから24時間受け付けています。公式のページによると、受理したメールには1週間以内に回答するとされていますが、混み具合によってはもっとかかる場合があります。
対象は、働く方とそのご家族、企業の人事労務担当者です。
発信者番号を非通知にしていると、電話はつながりません。番号の前に「186」をつけてかけ直す必要があります。
また、公式のページには、病名の診断や治療方法の提示など、医療行為にあたる内容には対応できないと書かれています。
診断や治療が必要かどうかは、医療機関で相談してください。
医療機関
こころの耳には、全国の医療機関を探せるページもあります。
眠れない、気分の落ち込みが続く、不安で動けない、といった状態があるときは、心療内科や精神科を使えます。
初めてで不安なときは、予約の電話で「劣等感がつらくて、一度相談したい」とそのまま伝えて大丈夫です。
気持ちがとてもつらいとき
「消えてしまいたい」「生きているのがつらい」と感じることがあるなら、すぐに話せる窓口があります。
厚生労働省の「まもろうよ こころ」のページには、次のような窓口が載っています。
- 自殺対策の電話相談(0120-061-338、フリーダイヤル、毎日24時間)
- いのちの電話(0120-783-556、フリーダイヤル、毎日16時から21時。毎月10日は午前8時から翌日午前8時まで)
- よりそいホットライン(0120-279-338、フリーダイヤル、24時間対応)
電話が苦手な方のために、SNSやチャットで相談できる窓口も、同じページにまとまっています。
受付時間や対応は窓口ごとに違うので、利用する前に、公式のページで最新の案内を確認してください。
もし、いま自分の身に危険を感じるときは、迷わず119番や110番へ連絡してください。
よくある質問
Q1. 劣等感が強いのは、生まれつきの性格でしょうか
生まれつきだけで決まるとは言えません。
育った環境や経験、今の環境が重なって、感じ方が作られると考えられています。
感じ方は、練習で少しずつ変わっていきます。
Q2. 劣等感をなくすことはできますか
完全になくなることは少ないと考えるほうが現実的です。
なくすことを目標にすると、感じるたびに失敗した気持ちになります。
出てきても飲まれない時間を増やすことを、目標にしてみてください。
Q3. 劣等感が強いと、プライドも高くなるのですか
そうなる人もいますが、全員ではありません。
劣等感が強いと、自分を守ろうとする気持ちが強く出て、プライドが高く見える場合があります。
反対に、自分を低く見せることで身を守る人もいます。
Q4. 劣等感が強い人は、病気でしょうか
劣等感が強いこと自体は、病気とは言えません。
ただし、生活に支障が出るほどつらいときは、医療機関で相談してください。
診断は専門家が行うものです。自分で決めつけなくて大丈夫です。
Q5. 劣等感の強い人と、どう付き合えばよいですか
相手を変えようとせず、自分の関わり方を調整するのが基本です。
気持ちは受け止めても、愚痴や攻撃的な言動に付き合い続ける必要はありません。
自分の心身に不調が出ているなら、距離を取る合図です。
確かめた出典
この記事で引用した公的な情報は、次のページで、2026年10月22日に内容を確かめました。
- 厚生労働省「こころの耳」働く人の「こころの耳電話相談」
- 厚生労働省「こころの耳」働く人の「こころの耳SNS相談」
- 厚生労働省「こころの耳」働く人の「こころの耳メール相談」
- 厚生労働省「まもろうよ こころ」
ほかの悩みについては、こちらの記事も参考にしてください。
まとめ
劣等感が強いことは、欠陥とは限りません。理想が高く、現実との差を細かく見られる人ほど、強く感じやすいと説明されます。
プライドの高さは、傷つきやすい自分を守ろうとする心の動きとして出ることがあります。
消そうとせず、出てきても飲まれない時間を増やしていきます。
メモに書く、比べる軸を一点に絞る、過去の自分と比べる、できたことを一つ残す。今日から使える方法は、小さなものばかりです。
劣等感の強い人と付き合うときは、相手を変えようとせず、自分の関わり方を調整してください。
そして、眠れない、食べられない、生活に支障が出るといったつらさが続くなら、こころの耳や医療機関に相談してください。
劣等感を抱えながら、ここまで読んだあなたは、すでに自分と向き合っています。
劣等感に振り回されそうなときのために
気持ちの整え方や考え方は、本で知っておくと自分の状況に当てはめやすくなります。気になるものから探してみてください。
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