第1章 はじめに:「ビザ」と「在留資格」、言葉の整理をしよう
日本に入国したり、日本で生活したりする外国人の話になると、「ビザ」と「在留資格」という言葉がよく出てきます。[1] でも、実はこの二つ、日本の法律ではちゃんと区別されている、違うものだって知っていましたか? 役割も、担当している役所も違うんです。
この記事は、2025年の最新情報をもとに、日本の「ビザ(査証)」と「在留資格」の違いを、専門的な話もなるべく分かりやすく解説することを目指しています。それぞれの意味や目的、担当する役所、有効な期間、役割、そして二つの関係、特に「在留資格認定証明書(COE)」っていう大事な書類についても説明します。さらに、最近変わった、またはこれから変わる予定のルールについても触れていきます。
この違いをちゃんと理解しておくことは、単に言葉を知るだけじゃなく、日本への入国や滞在の手続きをスムーズに進めたり、ルールを守ってトラブルを避けたりするために、とっても大切なんです。
第2章 日本の「ビザ(査証)」:日本に入るための「推薦状」
2.1 ビザって何? なんのためにあるの?
日本の「ビザ(査証)」というのは、外国にある日本の大使館や総領事館(日本の出張所みたいなところ)が、外国の人のパスポートに発行してくれるものです。「このパスポートは本物だし、この人がビザに書かれた目的で日本に入るのは、今のところ問題なさそうだね」ということを示す、一種の「推薦状」みたいなものだと考えてください。[4]
大事なポイントは、ビザがあれば必ず日本に入れるわけじゃない、ということ。[6] 最終的に日本に入国できるかどうかは、日本の空港や港にいる入国審査官という人が決めます。[6] だから、ビザを持っていても、審査の結果「ダメです」って言われる可能性もあるんです。[6] ビザの主な目的は、外国の人が日本に来る前に、「この人は日本に入っても大丈夫かな?」ということを事前にチェックして、日本の安全を守ることなんです。[5]
2.2 ビザはどこで発行されるの?
ビザを発行するのは、日本の外務省という役所の仕事で、具体的には外国にある日本の大使館や総領事館が担当しています。[2] この後説明する「在留資格」は法務省という別の役所の担当なので、ここが大きな違いです。外国とのやりとりに関わることなので、外務省が担当しているんですね。[7]
2.3 ビザの役割と有効期間
ビザは、日本の空港や港で「日本に入れてください」というお願い(上陸許可申請)をするために必要なものです。[4] ビザには有効期間があって、その期間内に日本に来て、入国の申請をしなくちゃいけません。このビザの有効期間と、日本に入ってから滞在できる期間は全く別物なので注意してくださいね。[8]
基本的には、一度日本に入国するために使うと、そのビザの役割は終わりです。[8] でも、何回も使える「数次ビザ(マルチビザ)」という特別なビザもあります。[10] ビザの有効期間は、原則として延ばすことはできません。[8]
2.4 ビザにはどんな種類があるの?(ざっくり紹介)
ビザには、日本に来る目的や滞在する期間によって、いくつかの種類があります。
- 短期滞在ビザ: 観光、親戚や友達を訪ねる、会議に出る、短い期間の商談など、日本に90日以内で滞在して、お金をもらう仕事をしない場合に使うビザです。[5] よく「観光ビザ」って言われるけど、正式には短期滞在ビザの一種。[11] 日本は多くの国のパスポートを持っている人なら、短い期間の滞在ならビザがなくても入れる(ビザ免除)ようにしています。[6] でも、ビザがいらなくても、働くためとか、長く住むためなら、ちゃんとビザを取らないといけません。[6]
- 就労・長期滞在ビザ: 日本で働く(お金をもらう活動をする)場合や、90日を超えて長く滞在する場合に必要なビザです。[5] これを取るには、普通、まず日本国内で「在留資格認定証明書(COE)」っていう書類をもらってから、自分の国の日本大使館などでビザを申請します。[5] どんな仕事をするか、何をしに日本に来るかによって、たくさんの種類があります(例:エンジニアとして働く、大学に留学する、家族と住む、など)。
- その他のビザ: 日本で病気の治療を受けるための「医療滞在ビザ」や、外交官などが使う特別なビザ、若者が文化交流やアルバイトをしながら滞在できる「ワーキング・ホリデービザ」などもあります。[5]
2.5 ビザの発行数データについて
外務省は、どの国の人に、どの日本大使館・総領事館で、どれくらいビザを発行したか、という数を発表しています。[15] でも、これはあくまで「発行したビザの数」なので、ビザがいらない国からの旅行者や、ビザをもらっても日本に来なかった人は含まれていません。だから、実際に日本に出入りした人の数(これは法務省が出しています)とは違う数字になります。[15]
ポイント: ビザは外国にある日本の大使館・総領事館(外務省)が発行する「入国推薦状」。これだけでは入国は保証されない。有効期間内に入国申請が必要。短期滞在と、仕事や長期滞在では種類が違う。
第3章 在留資格(ざいりゅうしかく):日本にいるための「許可証」
3.1 在留資格って何? なんのためにあるの?
「在留資格」というのは、外国の人が日本の空港や港で入国を許可されて日本に入った後、日本に住んだり、何か活動したりするための法的な「許可証」のことです。[1] 日本の「出入国管理及び難民認定法」(入管法)という法律で決められています。
在留資格の目的は、外国の人が日本でどんな活動をしていいのか、そしてどれくらいの期間日本にいられるのか(在留期間)を、はっきり決めることです。[4] ビザが入国のための「推薦状」だったのに対して、在留資格は日本国内で生活するための「許可証」であり、日本での暮らしのルールブックみたいなものですね。[3]
3.2 在留資格はどこの役所が担当?
在留資格に関することは、法務省という役所が担当していて、具体的にはその下にある出入国在留管理庁(しゅつにゅうこくざいりゅうかんりちょう、略して「入管(にゅうかん)」)と、全国にある地方の入管事務所が手続きをしています。[2] 日本国内のルールに関わることなので、法務省が担当しているんですね。[7]
3.3 在留資格の役割と「在留カード」
在留資格の種類によって、日本でできる活動が決まっています。例えば、「技術・人文知識・国際業務」という在留資格を持っている人は、エンジニアや通訳、デザイナー、会社の先生、マーケティングなどの専門的な仕事はできますが、単純作業の仕事は基本的にはできません。[17] 「留学」の在留資格なら、大学などで勉強するのが主な活動です。[17]
決められた活動以外のこと、特にお金をもらう活動をすることは、原則禁止されています。[4] でも、「留学」や「家族滞在」の人は、事前に「資格外活動許可」という特別な許可をもらえば、決められた範囲(例えば週28時間まで)でアルバイトをすることができます。[9]
日本に3ヶ月以上いる外国人には、「在留カード」というカードが配られます。[16] このカードには、名前、誕生日、国籍、住所、持っている在留資格の種類、日本にいられる期間、仕事をしていいかどうか、などが書かれていて、身分証明書になります。日本にいる間は、いつも持っていなくちゃいけません。[16]
3.4 在留資格にはどんな種類があるの?(ざっくり紹介)
日本の在留資格は、法律で決められていて、2025年現在で約30種類あります。[13] 大きく分けて、日本でする「活動」にもとづく資格と、日本での「身分や立場」にもとづく資格があります。[9]
- 活動にもとづく資格(例):
- 仕事ができる資格: 教授、芸術家、宗教家、報道関係者、会社の経営者、お医者さん、研究者、先生、エンジニア、通訳、デザイナー、会社の転勤、介護士、芸能人、コックさん、特定の専門分野で働く人(特定技能)、技能実習生(→育成就労へ変わる)、育成就労(新しくできた)など。[9, 18] これらは、学歴や職歴、働く会社の条件など、細かいルールを満たす必要があります。[18]
- 基本的には仕事ができない資格: 文化活動(茶道とか)、短期滞在、留学、研修、家族滞在(働いている人や留学生の家族)など。[9] でも、留学や家族滞在の人は、特別な許可があればアルバイトはできます。[9]
- 特定活動: 上のどれにも当てはまらない特別な活動をする人のための資格。ワーキングホリデー、インターンシップ、研究活動、スポーツ選手、外交官の家で働く人、日本人と結婚した人の連れ子、卒業後に就職活動をする留学生など、本当に色々なケースがあります。[9] 仕事ができるかどうかは、認められた活動内容によります。
- 身分や立場にもとづく資格(例):
- 永住者、日本人の配偶者(夫や妻)・子供、永住者の配偶者・子供、定住者(日系人や難民など特別な理由がある人)など。[9]
- これらの資格を持っている人は、基本的にはどんな仕事も自由にできます。[9]
▼主な在留資格のカテゴリーと例▼
カテゴリー | 在留資格の例 | 主な活動・どんな人が当てはまる? | 仕事はできる? | 日本にいられる期間(例) |
---|---|---|---|---|
仕事をするための資格 | 技術・人文知識・国際業務 | エンジニア、通訳、デザイナー、先生、マーケターなど[17] | できる | 5年, 3年, 1年, 3ヶ月 |
特定技能 (1号・2号) | 介護、建設、農業などで専門的な仕事をする人[9] | できる | 1号:合計5年まで, 2号:更新OK | |
経営・管理 | 会社の社長さんや管理職[17] | できる | 5年, 3年, 1年, 3ヶ月 | |
高度専門職 (1号・2号) | すごく専門的な研究や仕事、経営をする人[17] | できる | 1号:5年, 2号:ずっと | |
主に仕事以外をする資格 | 留学 | 大学、専門学校、日本語学校の学生さん[9] | 基本ダメ (許可があればバイトOK) | 学校による (最長4年3ヶ月) |
家族滞在 | 働いている人や留学生の家族(配偶者や子供)[9] | 基本ダメ (許可があればバイトOK) | 最長5年 | |
短期滞在 | 観光、短期の商談、親戚訪問など[9] | ダメ | 90日, 30日, 15日 | |
身分や立場による資格 | 日本人の配偶者等 | 日本人の夫や妻、子供[17] | 自由にできる | 5年, 3年, 1年, 6ヶ月 |
永住者 | ずっと日本に住むことを認められた人[17] | 自由にできる | ずっと | |
定住者 | 日系人や難民など、特別な理由で住むことを認められた人[17] | 自由にできる | 5年, 3年, 1年, 6ヶ月など |
注:これは一部の例です。全ての在留資格や詳しい条件は入管のウェブサイト[23]などで確認してください。日本にいられる期間は、一人ひとり審査で決まります。
在留資格は、ビザと違って、日本国内での活動の「許可証」。どの在留資格を持っているかで、日本で何ができて、いつまでいられるかが決まります。だから、自分や受け入れる外国人が持っている(またはこれから取る)在留資格のルールをちゃんと理解して守ることが大切です。在留資格を変えたり、期間を延ばしたり(更新)する手続きは、日本国内の入管事務所で行います。[8]
ポイント: 在留資格は日本国内での「滞在許可証」。法務省(入管)が担当。種類によってできる活動や期間が決まっている。中長期でいる人は「在留カード」を持つ。
第4章 ビザと在留資格の決定的な違いはここ!
これまで見てきたように、「ビザ」と「在留資格」は、日本のルールでははっきり違う役割を持っています。この違いをしっかり頭に入れておくことが、手続きを間違えないために大切です。違いをまとめると、こうなります。
▼ビザ(査証)と在留資格の比較まとめ▼
ポイント | ビザ(査証) | 在留資格 |
---|---|---|
担当する役所 | 外務省(外国にある日本の大使館・総領事館)[2] | 法務省(日本国内の入管事務所)[2] |
主な役割・目的 | 日本に入るための「推薦状」、入国前のチェック [4] | 日本にいる間の「許可証」、活動のルール [1] |
手続きする場所 | 外国にある日本の大使館・総領事館 [2] | 日本国内の入管事務所(または空港・港)[3] |
手続きするタイミング | 日本に来る前 [3] | 日本に来た時、または来た後 [7] |
証明する形 | パスポートに貼られるシールやスタンプ [4] | 在留カード(長くいる人向け)[16] |
有効期間の意味 | この日までに「日本に入国する申請」をする必要がある [8] | この期間、日本に「滞在」して決められた活動をして良い [8] |
役割が終わる時 | 基本的には、日本に入国を許可された時 [8] | 日本から出る時、または期間が切れて更新しない時 |
言葉の使い方に注意!
何度も言うけど、普段の会話では「ビザ」という言葉が、在留資格のことも含めて広く使われがちです。[2] 例えば「就労ビザ取れた!」って言うけど、法律的に正確に言うと、「技術・人文知識・国際業務」とか「技能」みたいな「仕事ができる在留資格」のことなんですね。[2]
法律上の正しい言葉遣いは、
- 査証(さしょう)=ビザ (Visa) → 外務省が出す入国推薦
- 在留資格(ざいりゅうしかく)= Status of Residence → 法務省(入管)が決める滞在・活動の許可
となります。[2]
例えるなら、ビザは「家のドアをノックするための許可」、在留資格は「家の中に入って、その部屋で過ごすための許可」みたいな感じかな。
ポイント: ビザは外務省の「入国推薦状」、在留資格は法務省(入管)の「滞在許可証」。目的も手続き場所もタイミングも全然違う!
第5章 つながる手続き:COE→ビザ→在留資格の流れ
日本で働いたり、留学したり、家族と住んだりするために長く日本に来る場合、ビザを申請する前に「在留資格認定証明書(ざいりゅうしかくにんていしょうめいしょ、略してCOE)」という書類を取るのが一般的です。このCOEが、日本国内での手続き(在留資格)と、外国での手続き(ビザ)をつなぐ、すごく大事な役割をしています。
5.1 在留資格認定証明書(COE)って何?
COEは、「この外国の人が日本でやろうとしている活動は、ちゃんと決められた在留資格のルールに合っていますよ」ということを、日本の法務大臣(実際には入管)が事前に証明してくれる書類のことです。[13]
これは、ビザを申請するより前に、日本国内の入管事務所で発行してもらいます。[13] COEがもらえたということは、入管が「この人は、申請している在留資格の条件をちゃんと満たしていそうだね」と先に判断してくれた、ということになります。
このCOEを外国の日本大使館などに見せると、ビザの発行がスムーズに進むという大きなメリットがあります。[4] なぜなら、大使館(外務省)は「日本の入管(法務省)がもう中身をチェックしてくれたんだな」と判断しやすくなるからです。
COEは、仕事や留学、家族と住むためなど、日本に長くいるつもりの場合に普通は必要になりますが、観光などの短い滞在ではいりません。[13]
5.2 手続きの一般的な流れ(長く滞在する場合)
日本に長くいるための手続きは、だいたいこんな感じで進みます。
- 【日本国内】COEをもらう申請をする:
- 本人か、日本にいる会社や学校、家族などが代理で、日本の入管事務所に「COEください」と申請します。[13] 専門家(行政書士や弁護士)にお願いすることもできます。[31]
- どんな書類が必要かは、取りたい在留資格の種類によって全然違います。[28] 仕事なら契約書や学歴証明、結婚なら結婚証明や生活費の証明などが必要です。[1]
- 審査には普通1ヶ月~3ヶ月くらいかかりますが、もっとかかることも。[19] オンラインで申請できる場合もあります。[22]
- 【日本国内→国外へ】COEが発行されて、本人に送られる:
- 審査に通ると、COEが発行されます。[27]
- 発行されたCOE(紙か、最近はメールで送れる電子データの場合も[29])を、外国にいる本人に送ります。[19]
- COEには有効期間があって、普通は発行されてから3ヶ月。この期間内に日本に入国しないといけません。[19]
- 【日本国外】ビザを申請する:
- 本人は、受け取ったCOEとパスポート、写真、申請書などを持って、自分の国の日本大使館・総領事館でビザを申請します。[13]
- COEがあれば、ビザの審査は普通1週間くらいで終わることが多いですが、時間がかかることもあります。[19]
- 【日本国外】ビザが発行される:
- 審査に通ると、ビザが発行されて、パスポートにシールやスタンプが貼られます。[20]
- 【日本へ】日本に入国して、入国審査を受ける:
- COEの有効期間内に日本へ行きます。[29]
- 空港や港で、パスポート、ビザ、COEを見せて、入国審査を受けます。[19] 「外国人入国記録(EDカード)」という紙も書きます。[29]
- 【日本国内】在留資格が与えられ、在留カードをもらう:
- 入国審査官がOKを出したら、COEに対応した在留資格と日本にいられる期間が決まって、パスポートに入国許可のスタンプが押されます。
- 長く日本にいる人には、原則、その場で「在留カード」が渡されます(大きな空港の場合)。[19] それ以外の場所だと、後で住所を届け出たら郵送で送られてきます。[20]
- この時点で、ビザの役割は実質的に終わり[8]、これからは在留資格と在留カードが日本での生活の証明になります。
こんな風に、COEは、日本国内での審査(在留資格がOKか)の結果を、外国での手続き(ビザ発行)にスムーズにつなげる「橋渡し役」をしています。国内で先にしっかりチェックして、その結果をもとに外国で推薦状(ビザ)を出す、という効率的な仕組みなんですね。だから、長く日本にいたい場合、まずCOEを取ることが最初の大きなステップになるんです。
ポイント: 長く日本にいるには、①日本でCOE申請 → ②COEを外国へ送る → ③外国でビザ申請 → ④ビザをもらう → ⑤日本に入国 → ⑥在留資格と在留カードをもらう、という流れが一般的。COEは国内と国外の手続きをつなぐ大事な書類。
第6章 2025年のルール変更:知っておきたいこと
日本の入国のルールは、社会の状況に合わせて時々変わります。特に2025年前後には、いくつか大事な変更があったので、知っておきましょう。
6.1 会社を作る人のためのルール変更(スタートアップビザ)(2025年1月~)
日本で会社を作りたい外国人にとって、手続きが少し楽になりました。[33]
- 長く準備できるかも: 会社を作る準備期間として日本にいられる期間が、最長2年になる可能性が出てきました。[33]
- オフィスがなくてもOKに: 最初から立派な事務所がなくても、大学の研究室やシェアオフィスなどで準備を進めやすくなりました。[33]
- お金の条件も少しゆるく: 会社を作るための大きなお金(資本金500万円以上)や、人を雇うという条件が、準備期間中は免除されることになりました。[33]
- 全国どこでも: 今までは一部の地域だけだったこの制度が、日本全国で使えるようになりました。[33]
目的: これは、外国のすごい技術を持った人たちに、もっと日本で会社を作ってもらって、日本の経済を元気にするためです。[33] 最初のハードルを下げることで、挑戦しやすくするんですね。
注意点: あくまで準備期間のルール緩和なので、会社が軌道に乗って、長く日本で経営を続けるためには、最終的にはちゃんとした事務所を用意したり、会社の規模を大きくしたりする必要があります。銀行口座を開いたり、事務所を借りたりするのが難しい、という問題は、まだ残っているかもしれません。[33]
6.2 「特定技能」で働く人のルール変更(2025年4月~)
人手不足の分野で働く「特定技能」の外国人を受け入れる会社のルールも変わりました。[34]
- 報告が年に1回に: 会社が役所に提出する定期的な報告書(外国人の働きぶりなど)が、今までの年4回から年1回にまとまりました。[34, 35]
- 問題があった時の報告ルール変更: 何か問題が起きた時に報告するルールが、新しく追加されたり、はっきりしたりしました。例えば、働き始めて1ヶ月以上仕事がない時や、税金や社会保険料を払っていない時など、すぐに報告が必要なケースが増えました。[34]
- 地域との協力: 会社は、外国人が住んでいる地域の日本語教室や防災訓練などに協力するように求められるようになりました。[34]
- 初めて受け入れる会社の書類追加: 初めて特定技能の外国人を受け入れる会社は、会社の情報を証明する書類を追加で出す必要ができました(一部例外あり)。[35]
- オンライン面談OKに: 外国人との定期的な面談が、本人が良ければオンラインでもできるようになりました。[35]
目的: 会社の事務作業を少し楽にしつつ、何か問題があった時はすぐに把握できるようにしたり、外国人が地域に溶け込めるようにサポートしたり、ちゃんとルールを守って受け入れる体制を作るため、と考えられます。
6.3 「育成就労」っていう新しい資格ができた(2024年~順次)
今までの「技能実習」という制度に代わって、「育成就労(いくせいしゅうろう)」という新しい在留資格ができました。[9]
目的: 外国の人を3年間くらいかけて育てて、専門的な仕事ができるレベル(特定技能1号)になってもらうのが主な目的です。[24] 今までの技能実習制度には色々な問題があったので、これからはちゃんと人を育てて、働く人を守ることをもっと大事にする、という考え方です。
特徴(これから): 特定技能へのステップアップがしやすくなったり、同じ分野の仕事なら、会社を変える(転職する)ことが、今までより少し自由にできるようになる可能性があります。[24] 働く人の権利がより守られるようになることが期待されています。詳しいルールはこれから決まっていきます。
6.4 手続きのお金が変わった(2025年4月~)
在留資格を変えたり、期間を延ばしたり、永住許可をもらったり、COEをもらったりする時の、入管に払う手数料が変わりました。[36]
オンライン申請の手数料: 特に、インターネットでオンライン申請した場合の手数料が新しく設定されました。[36] これは、手続きを便利にするための動きで、窓口で申請するより安くなる可能性があります。
注意点: 2025年4月1日以降の申請から新しい手数料なので、申請する時は必ず最新の金額を入管のウェブサイトなどで確認しましょう。[36]
6.5 マイナンバーカードと在留カードが一緒になる?(時期は未定)
在留カードの代わりに、マイナンバーカードを使えるようにするための法律ができました。[24]
目的: 外国の人も、持つカードが1枚で済むようになって便利になり、役所の手続きも楽になることを目指しています。[25]
現状: 法律はできましたが、いつから実際に使えるようになるかは、まだ決まっていません。
6.6 永住許可が厳しくなるかも?(まだ話し合い中)
ずっと日本に住める「永住許可(えいじゅうきょか)」をもらうためのルールや、もらった後のルールを、もう少し厳しくしようという話し合いが進んでいます。[24]
背景: 永住許可をもらった外国人の中には、税金や社会保険料をちゃんと払っていなかったり、住所変更などの届け出をしていなかったりする人がいる、という問題があるようです。[38]
検討内容: 税金などを払わなかったり、ルールを守らなかったりした場合に、永住許可を取り消せるようにしよう、という方向で考えられています。[24]
注意点: これはまだ決定ではありませんが、永住許可を取りたい人や、もう持っている人にとっては、大事な動きです。ちゃんとルールを守ることが、ますます重要になりそうです。
【2025年の変更点のまとめ】
最近のルール変更を見ると、 একদিকে(いっぽうで)は、会社を作りたい人(スタートアップビザ)のように、日本に来てほしい外国人を呼び込みやすくする動きがあります。でも、他方(たほう)では、特定技能の報告ルール強化や永住許可の議論のように、すでに日本にいる外国人の管理をしっかりしよう、ルールを守ってもらおう、という動きもあります。「育成就労」は、働き手確保と人育て・保護の両方を狙った新しい試みです。手数料変更やカード一体化は、手続きを便利にする流れですね。
こんな風にルールが変わっていくので、外国人本人も、受け入れる会社や学校も、常に最新の情報をチェックして、ちゃんと対応していくことが、ますます大切になっています。
ポイント: 2025年前後はルール変更が多い!会社を作るのが楽になったり、特定技能の報告が変わったり、新しい「育成就労」ができたり。手数料やカードも変わるかも。永住許可は厳しくなる方向?最新情報をチェックすることが大事!
第7章 まとめ:2025年、日本のルールを理解してスムーズな滞在を!
この記事では、日本の入国や滞在に関する「ビザ(査証)」と「在留資格」の違いについて、2025年の最新情報も交えながら説明してきました。
もう一度、大事な違いをまとめると…
- ビザ(査証): 外務省が外国で出す「入国推薦状」。これだけでは入国や滞在は保証されない。
- 在留資格: 法務省(入管)が日本国内で管理する「滞在許可証」。日本での活動や期間を決めるルール。
長く日本にいる場合は、多くの場合、まず日本で「在留資格認定証明書(COE)」をもらい、それを持って外国で「ビザ」を申請し、日本に来て「在留資格」をもらう、という流れになります。COEは国内と国外の手続きをつなぐ大事な役割をしています。
特に2025年は、スタートアップビザの緩和、特定技能のルール変更、育成就労の開始、手数料改定、マイナンバーカードと在留カードの一体化準備など、たくさんの変化があります。これらは、外国の人材をもっと呼び込みたい気持ちと、国内の管理をしっかりしたい気持ち、両方の表れと言えそうです。
これから日本に来たり、日本で生活したり、あるいは外国の人を受け入れたりすることを考えているなら、以下の点を心に留めておきましょう。
- 正しい情報をゲット!: ルールはよく変わるので、外務省や入管の公式ウェブサイトなどで、常に最新の正しい情報を確認することが一番大事です。[5]
- 困ったら専門家に相談: 手続きは複雑なことが多いので、分からないことや心配なことがあれば、行政書士や弁護士といった専門家に相談するのも良い方法です。[22]
- ルールはしっかり守る!: 決められた活動以外のこと(特に許可のない仕事)をしたり、税金などを払わなかったり、届け出を忘れたりすると、後で大変なことになる可能性があります。ルールを守ることがとても大切です。[38]
「ビザ」と「在留資格」の違いをちゃんと理解して、2025年の最新ルールも頭に入れた上で、正しい手続きを進めることが、日本でのスムーズで安心な生活や活動への第一歩になります。
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