この記事を書いているMonkichiは、
どうしようもなく十勝石が好きでして。
ある日のことです。
知人の家で、とんでもないものを見てしまいました。
そこに鎮座していたのは、一つの黒い石。
十勝石だ、と彼は言いました。
しかし、どうでしょう。
ザラザラした十勝石が、まるで生まれたての星のようにピカピカに輝いているのです。
私の間抜けな顔が、鏡のように映り込んでいました。
ダイヤモンドでも、ルビーでもない。
その辺に転がっていそうな石ころが、
これほどまでに人の心を奪うものか。
私は、すっかり参ってしまいました。
いてもたってもいられず、
自分でも磨いてみることにしたのです。
紙やすりを買ってきて、
来る日も来る日も、ただ無心にこする。
けれど、石はうんともすんとも言わない。
私の時間と労力だけが、ザラザラと虚しくすり減っていくだけ。
輝くどころか、その黒い塊は「お前に何がわかる」と、私をあざ笑っているかのようでした。
人に聞けば、皆こう言うのです。
「機械を使わなきゃ、無理だよ」と。
わかっています。そんなことは、百も承知なのです。
でも、それでは駄目なのです。
私は、この手で、この指で、この石ころを宝石にしたかった。
それ以外に、何の意味があるというのでしょう。
そこからが、本当の戦いの始まりでした。
試しては、ため息をつき、また試す。
まるで、気難しい誰かの心を、必死で解きほぐそうとするみたいに。
来る日も来る日も、石と二人きり。
孤独な、しかし不思議と充実した時間でした。
そして、二年です。
気づけば、二年という月日が流れていました。
私の手の中にある黒い石は、どうでしょう。
あの日の感動を、遥かに超える光を放っているではありませんか。
ああ、そうか。 磨けば磨くほど、この石の黒は、どこまでも深く、強くなるのか。
その漆黒の奥から、静かで力強いエネルギーが湧き出てくる。
まるで、雄大な十勝の大地そのものを、この掌で抱きしめているような感覚。
手作業だけで、ここまでたどり着けるのだ。
この途方もない喜びを、この静かな興奮を、
私だけのものにしておくのは、どうにも勿体ない。
高価な宝石だけが、人の心を豊かにするわけではないのです。
あ川で拾った十勝石だって、あなたの手で、世界で一つの宝物にできる。
この感動を、あなたにも、どうか。
私の二年にわたる試行錯誤の全てを、ここに記しました。
もし、あなたの心が少しでも動いたのなら。
下の記事で、私の物語の続きを覗いてみてください。
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