家中1時間探しても見つからない…。「メガネはどこへいった」
思い出せず頭の中が真っ白になりかけたとき、台所にいた妻が言いました。
「あなた、メガネ、冷蔵庫で冷やしてどうするの?」
「えっ?」頭の中は空っぽ…思考がフリーズしました。
「まずいかもね~」と言いながら、妻は冷えた眼鏡を渡してくれました。
友人と話していたり、テレビのニュースや特集で「認知症」という言葉を聞くと、体がピクッとなりませんか?「自分は大丈夫だろうか」「もし家族がなったら…」そんな不安は小さいうちに消してしまいましょう。
認知症は誰にでも起こりうる身近な病気ですが、大切なのは過度に恐れず、正しく理解して早く気づくことです。早期に発見し、適切な治療を始めれば、その後の生活を大きく変えられます。
この記事では、ご自身やご家族の「最近、ちょっと気になる変化」をチェックできるリストをご用意しました。まずは気軽にセルフチェックをして、早期受診や今後の備えについて少し考えてみませんか?
認知症の初期サイン:日常生活の変化に気づく
認知症の始まりは、単なる「物忘れ」だけではありません。以下に挙げる9つの変化に、心当たりがないかチェックしてみましょう。
【認知症のサイン チェックリスト】
□ 1. 同じことを何度も聞いたり、言ったりする
ついさっき話した内容を忘れ、同じ質問を繰り返す。体験そのものを忘れるのは、認知症のサインかもしれません。
□ 2. 「あれ」「それ」が増え、物の名前が出てこない
会話の中で、知っているはずの物の名前がすっと出てこなくなった。
□ 3. 置き忘れやしまい忘れが増えた
鍵や財布など、大切な物をどこに置いたか忘れてしまう。しまい込んだ場所がわからなくなることが増えた。
□ 4. 時間や場所の感覚が曖昧になる
今日の日付や曜日がわからなくなったり、慣れているはずの場所で道に迷ったりすることがある。
□ 5. 今までできていた料理や家事が難しくなった
料理の手順がわからなくなったり、家電の操作に戸惑ったりと、段取りよく物事を進めるのが難しくなった。
□ 6. 新しいことを覚えるのが苦手になった
新しい趣味や習い事を始めても、なかなか覚えられない。
□ 7. 意欲がなくなり、閉じこもりがちになった
以前は楽しんでいた趣味に関心がなくなったり、外出するのが億劫になったりする。
□ 8. 怒りっぽくなったり、感情の起伏が激しくなった
ささいなことでイライラしたり、急に不安になったりと、以前より感情のコントロールが難しくなったと感じる。
□ 9. 判断力や理解力が低下したと感じる
買い物の計算が苦手になったり、会話のスピードについていけず、内容が理解しづらくなったりする。
いかがでしたか?当てはまる項目が複数あっても、「認知症だ」と自己判断する必要はありません。大切なのは、まず専門医に相談することです。
知っておきたい、認知症の主な種類
認知症にはいくつかのタイプがあり、代表的なものに「アルツハイマー型」と「血管性」があります。
- アルツハイマー型認知症: 脳に特殊なたんぱく質がたまることで発症します。物忘れから始まることが多く、ゆっくりと進行するのが特徴です。
- 血管性認知症: 脳梗塞や脳出血など、脳の血管のトラブルが原因で起こります。症状の出方に波があり、「できること」と「できないこと」がまだらに現れることがあります。
このように種類によって症状の出方も少し異なりますが、いずれも早期の対応が鍵となります。
早期治療の4つのメリット:より良い生活のために
「早くわかっても、治らないなら…」と思うかもしれません。しかし、早期に治療や対策を始めることには、大きなメリットがあります。
- 進行を穏やかにできる: 早期に治療を始めれば、進行を緩やかにし、穏やかな状態をより長く保つことにつながります。近年では、進行そのものを抑制する新薬も登場しています。
- 生活の質を維持する: ご自身の能力を活かせる時間が長くなり、趣味や社会参加をこれまで通り楽しめます。
- 家族と話し合う時間が持てる: 本人と家族が病気を共に理解し、今後の生活について話し合う余裕が生まれます。
- 利用できる医療・介護サービスが増える: 早い段階から、様々なサポートやサービスを計画的に利用できます。
まとめ:ひとりで悩まず、まずは相談を
今回のチェックリストは、あくまでご自身の状態に気づくための「きっかけ」です。結果にかかわらず、少しでも気になれば、ぜひ専門家へ相談してください。
どこに相談すればいいかわからない場合は、まずはいつも診てもらっている「かかりつけ医」に話してみましょう。また、お住まいの地域にある「地域包括支援センター」では、無料で専門的な相談に乗ってくれます。
認知症は、決して特別な病気ではありません。早く気づいて対策を始めれば、これからの人生をより豊かに、安心して過ごせます。その第一歩として、まずは気軽に相談のドアをノックしてみてください。“`
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