大阪・関西万博の「ユスリカ」をやっつけろ!みんなが笑顔になるための大作戦レポート
1. はじめに:このレポートで伝えたいこと
このレポートは、2025年に開かれる大阪・関西万博で、みんなを困らせるかもしれない「ユスリカ」という小さな虫の対策についてまとめたものです。特に「シオユスリカ」という種類のユスリカが問題になっています。夢洲(ゆめしま)という海の上につくられた島が会場なので、そこでユスリカがどうして増えるのか、どうすればみんなが気持ちよく万博を楽しめるようになるのか、そのための作戦を考えました。
ユスリカが増えやすい場所(例えば、水辺の広場や、水がよどんだところ)や、ユスリカが好む環境(例えば、栄養たっぷりの水、ピカピカ光るライト)、そして今やっている対策だけでは足りないことなどが分かってきました。
そこで、これからの作戦の中心は、できるだけ薬を使わずに、環境を整えたり、ユスリカの天敵になる生き物の力を借りたりする方法です。薬を使うのは、本当に困ったときだけにしようと考えています。これからもずっとユスリカに悩まされないように、しっかり見張りを続けて、状況に合わせて作戦を変えていくこと、そして色々な組織と協力していくことが大切だと考えています。
2. 大阪・関西万博とユスリカ問題:なんで困っているの?
2.1. 万博の会場「夢洲」ってどんなところ?
2025年の大阪・関西万博は、夢洲という大阪湾に浮かぶ人工の島で開かれます。ここはちょっと特別な場所で、「ウォーターワールド」みたいに大きな池や水路がたくさんあるかもしれません。人工の島なので、もしかしたらユスリカを食べてくれるカエルやトンボみたいな生き物がまだ少ないかもしれません。万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」で、地球にやさしいことも大切にしているので、虫の対策も環境に気を使った方法じゃないといけません。
2.2. ユスリカがいると、どうして迷惑なの?
ユスリカは蚊と違って血は吸いません。でも、特に夕方になると、ものすごい数で集まって「蚊柱(かばしら)」という虫の柱を作ることがあります。これが外で遊んだりするのをジャマしたり、建物の壁を汚したりして、万博に来たお客さんをすごくイヤな気持ちにさせてしまうんです。ニュースでも「万博会場でユスリカがいっぱいで気持ち悪い!」という声が上がっていると報道されていて、すぐに対策しないといけない問題だと分かります。ユスリカがたくさんいると、それを食べるクモも増えてしまって、見た目も悪くなってしまいます。
2.3. 特に問題なのは「シオユスリカ」!
万博会場でたくさん見つかっているのは、「シオユスリカ」という種類のユスリカです。このユスリカは、しょっぱい水、つまり海水にも強いのが特徴です。夢洲は海の近くだし、「ウォータープラザ」みたいな場所では海水を使っているので、シオユスリカにとってはとても暮らしやすいんです。シオユスリカは、真水と海水が混ざるような場所で卵を産んで増えます。一番多く発生するのは5月から6月ごろで、これは万博が開かれている時期と重なってしまいます。
夢洲は海のすぐそばにあって、しかも人工的に作られた島です。「ウォータープラザ」のように海水を使う施設があることも、シオユスリカがたくさん発生する大きな原因になっていると考えられます。だから、普通の真水にいるユスリカをやっつける方法だけでは、あまり効果がないかもしれません。夢洲は海水のすぐそばにある人工の島で、ウォータープラザでは海水が使われています。シオユスリカはしょっぱい水が好きなので、そういう場所で元気に育ちます。つまり、万博会場そのものが、シオユスリカにとって最高の住みかで、ライバルも少ない場所になっているのです。だから、対策はしょっぱい水や、しょっぱさが少し混じった水でも効くものでないといけません。
3. 夢洲のユスリカってどんな生き物?
3.1. ユスリカの一生と、増えやすい時期
ユスリカの一生は、卵→幼虫→蛹(さなぎ)→成虫という順番で変わっていきます。卵は水の中に産み付けられます。種類によっては、1つの卵の塊に3000個も卵が入っていることもあります(セスジユスリカは約500個)。卵はよく、プルプルしたゼリーみたいな塊になっています。幼虫は、みんなが「アカムシ」とか「ブラッドワーム」って呼んでいるもので、水の中の泥や、水に沈んだ物、植物にくっついて育ちます。泥の中のカスや小さな藻(も)を食べて大きくなります。さなぎになるときは、自分で作った管(くだ)の中で変化して、その後、水面まで泳いでいって、大人のユスリカ(成虫)になります。大人のユスリカは、たった1日から5日くらいしか生きられず、その間に仲間を見つけて卵を産みます。
ユスリカが増えるためには、泥やゴミがたくさんあって栄養たっぷりな水が必要です。特に、水の底の酸素が少ない場所が大好きです。水があまり動かない場所や、流れがゆっくりな場所を選びます。特にシオユスリカは、しょっぱい水や、しょっぱさが少し混じった水がないと生きていけません。
季節でいうと、1年のうちに何回も卵から大人になることを繰り返します(種類によっては、春から冬の間に7回も8回も!)。シオユスリカがたくさん大人になるのは、5月から6月ごろです。だいたいのユスリカは、春の終わりごろから秋の初めごろに大人になります。
3.2. ユスリカが増えちゃう環境って?
水のきれいさ(水質)は、ユスリカが増えるのにすごく関係しています。水の中にゴミや栄養がたくさんあったり(例えば、畑の肥料が流れ込んだり。でも、夢洲みたいな新しい島では、島を作るときに使った材料が原因でなければ、あまりないかもしれません)、水の底の泥に酸素が少なかったりすると、ユスリカはどんどん増えます。「ウォータープラザ」みたいな人工の池や水辺は、ちゃんとお手入れしないと、そういうユスリカが好きな環境になりやすいんです。
大人のユスリカは、光、特にピカピカ光る水銀灯や蛍光灯の光(紫外線という種類の光が入っているもの)が大好きで、強く引き寄せられます。これは、夜も明るい万博みたいなイベントでは、とても大きな問題になります。
大人のユスリカは、特に光の近くにある低い木や、テラスの床、建物の壁などで休みます。万博の大きな屋根(大屋根リング)は、もうすでにユスリカが集まる場所として知られています。
ユスリカは生まれてから大人になるまでが短くて、何回も世代を繰り返すので、ちょっと対策をサボると、あっという間に数が増えてしまいます。大人のユスリカの寿命は短いので、卵や幼虫のうちにやっつけないと、大人をやっつけても一時的にしか効果がありません。夏だと、卵から大人になるまで2~3週間しかかからないこともあって、どんどん新しい大人が生まれてきます。大人の寿命は1日~5日くらいです。だから、大人をやっつけても、幼虫がいる場所をちゃんときれいにしないと、次から次へと新しい大人が出てきて、少し数が減るだけです。だから、やっぱり幼虫のうちにしっかり対策することが一番大事なんです。
万博会場にあるもの自体(明るい照明、大きな池や水辺、大きな屋根みたいな建物)が、何もしないと、ユスリカにとって最高の住みかになってしまうんです。お客さんを集めるために作られた「ウォータープラザ」は、しょっぱい水が好きなシオユスリカがたくさん発生する一番の原因だと強く疑われています。ユスリカは光が好きで、万博ではたくさんの照明を使います。ユスリカは水の中で育ち、万博にはウォータープラザみたいな大きな水辺がたくさんあります。会場で見つかっているシオユスリカはしょっぱい水に強く、ウォータープラザでは海水が使われています。つまり、万博のつくりが、ユスリカが生まれる場所と、大人が集まってくる場所の両方を提供してしまっていて、それが問題に直接つながっているんです。
夢洲のシオユスリカをやっつけるためのポイントまとめ
- ユスリカの一生: 卵 → 幼虫(水の中) → さなぎ(水の中) → 成虫(空を飛ぶ)
- それぞれの期間(だいたい):
- 卵:数日から1週間くらい
- 幼虫:2週間から7週間くらい(水の温度で変わる)
- さなぎ:3日くらい
- 成虫:1日から5日くらい
- 好きな住みか:
- 夢洲では特に:ウォータープラザの底の泥、しょっぱい水や少ししょっぱい水がよどんでいる場所
- どこでも共通:ゴミや栄養がたくさんあって、水の底に酸素が少ないところ
- 主な食べ物: しょっぱい水の中にいる、泥やゴミのカス、小さな藻(も)
- しょっぱさへの強さ: とても強い。海水の中でも増えることができる。
- 何に引き寄せられる?:
- 光:白い光が一番好きで、赤い光はあまり好きじゃない。光の強さが大事。紫外線という種類の光が入っていると、特に強く引き寄せられる。
- いつ一番活発?:
- 大阪あたりでは:シオユスリカは5月から6月ごろに一番たくさん大人になる。
- だいたい夕方から夜にかけて活動する。
この情報は、ユスリカをやっつけるためにとても大事なポイントをまとめたものです。これをよく見て作戦を立てれば、もっと効果的にユスリカを減らせるはずです。例えば、いつ一番たくさん大人になるかを知っていれば、もし薬をまくならそのタイミングをねらったり、みんなに注意を呼びかける時期を決めたりするのに役立ちます。光に引き寄せられることを知っていれば、照明のつけ方を変えることができます。幼虫がどこにいるか分かれば、そこをきれいにする作戦を立てられます。ユスリカをやっつけるには、ユスリカの生活やクセをよく知ることが基本です。シオユスリカが一番の敵で、その一生や住みか、好きなものが分かっているので、これらを一つにまとめておけば、計画を立てる人が、ユスリカの弱点に合わせて作戦を考えやすくなります。
4. 今どうなってる? 夢洲のユスリカ発生場所と今の対策
4.1. ユスリカがたくさんいるのはどこ?
- 「ウォータープラザ」: ここがシオユスリカの一番の発生場所だと強く疑われています。広さはサッカー場4つ分くらい(約3ヘクタール)もあって、海水を使っています。水の流れが悪かったり、ちゃんとろ過されていなかったりして、幼虫にとって最高の、水がよどんで栄養たっぷりな場所になっているんじゃないかと心配されています。
- ほかの人工の池や水辺: 万博会場には、「ウォーターワールド」とか、ほかの池、噴水、飾り用の水辺などがあるかもしれません。こういう場所も、水がよどんでいないか、ゴミがたまっていないか、ユスリカの幼虫がいないか、よく調べる必要があります。一時的に水をためる場所や、食べ物のゴミをきれいにして再利用した水を使う場所でも、ちゃんとお手入れしないとユスリカの発生場所になってしまいます。
- 排水の設備: 道のわきにある溝(みぞ)や、雨水を流すための溝、その他、水がたまりやすい場所も、ユスリカが卵を産むかもしれません。環境のことを考えた計画書には、下水を流す出口のような設備についても書かれていて、これらもちゃんとしていないとユスリカが増える原因になるかもしれません。
- 一時的な水たまり: 雨が降った後にできる水たまり、特に工事中の場所や、水はけの悪い植え込みのあたりは、ユスリカが増えるのを手伝ってしまうかもしれません。万博の運営団体は、大きな屋根(大屋根リング)の上にできた水たまりも発生場所になっているかもしれないと指摘しています。
- 植え込みや花壇: 水をやりすぎたり、植え込みの土が水を持ちすぎたりすると、ユスリカの発生場所ができてしまうことがあります。万博の運営団体は、大きな屋根の植え込みに、虫が大人になるのを邪魔する薬をまいたと報告しています。
4.2. 今やっているユスリカ対策は?
- 公式の計画: 万博の運営団体は、「会場をきれいにするための基本計画」と「会場をきれいにするための実行計画」というのを作っています。これらの計画には、ネズミや、人に害を与える虫(ユスリカもこれに含まれるかもしれません)をやっつけることも書かれていて、大阪市とも協力して進めることになっています。ちゃんと見張りをしたり、点検したりする仕組みも計画されています。
- 「ユスリカ等対策本部」: 5月26日に万博の運営団体がつくりました。このチームは、専門家と一緒に、どこでユスリカが発生しているのかを調べて、効果があって環境にもやさしい対策を考えています。
- 今やっている対策: 虫が大人になるのを邪魔する薬や、幼虫をやっつける薬をまいています(例えば、大きな屋根の水たまりや植え込み)。虫が育つのを抑える薬や、虫が嫌がる薬もまいています。お掃除や消毒も手伝っています。
- 会社との協力: 大阪府の吉村知事は、虫よけスプレーなどで有名なアース製薬に「助けて!」とお願いしました。フマキラーという会社も、現地を見て対策を考えると言っています。アース製薬は、もうすでに対策のための製品を送っています。これらの会社は、専門的な知識や製品を提供してくれるでしょう。
最初のころの「会場をきれいにする計画」では、一般的なイヤな虫の対策は考えていたけれど、特定の水辺でシオユスリカがこんなに大問題になることは、あまり予想できていなかったようです。今、専門の対策チームができたということは、ユスリカ問題が思ったより大変で、特別な対応が必要だということを示しています。最初の計画では「人に害を与える虫」としか書かれていませんでしたが、今の問題は、ウォータープラザみたいな大きな施設で、人を刺さないけれど塩水に強いシオユスリカがものすごくたくさん発生している、ということです。万博の運営団体は、問題が大きくなってから、特別な対策チームを作って、有名な殺虫剤の会社に助けを求めざるを得ませんでした。これは、最初の計画では、夢洲が人工の島で海の近くにあるという特別な環境が引き起こす、このユスリカ問題を甘く見ていたのかもしれない、ということを意味しています。
今の対策は、主に薬(虫が大人になるのを邪魔する薬、幼虫をやっつける薬)に頼っていて、ちょっと問題が起きてから対応しているように見えます。これらの薬はすぐに効くので必要ですが、専門家が言うように、ウォータープラザや他の発生場所の環境そのものを良くするような、もっと長持ちして地球にもやさしい解決方法が必要です。今報告されている対策は、虫の成長を邪魔する薬や幼虫をやっつける薬をまくことです。専門家は、ウォータープラザの水があまり流れていないことなどが本当の原因だと指摘しています。ユスリカが住みやすい本当の原因(水がよどんでいる、ゴミが多いなど)を直さずに薬をまくだけでは、またすぐにユスリカが出てきて、ずっと薬をまき続けないといけなくなります。だから、もっとユスリカが増えにくい環境を作ることを優先する作戦に変える必要があります。
夢洲は人工の島なので、自然への影響をできるだけ少なくするために選ばれましたが、ある意味、何もないところに新しい生き物の世界ができたようなものです。これは、最初はシオユスリカを食べる敵が少なくて、ユスリカにとって良い条件がそろうと、あっという間に数が増えてしまう可能性があることを意味しています(ある人は、この地域にはシオユスリカと競争する生き物や敵がいないことも原因の一つだと言っています)。夢洲は人工の島で、人工的に作られた水辺は、特に生き物のバランスが崩れていたり、魚がいなかったりすると、ユスリカが爆発的に増えることがあります。問題になっているシオユスリカはどんどん増えていて、ある専門家は、ウォータープラザに競争相手や敵がいないことも原因の一つだと考えています。これは、夢洲が「新しい」場所だということも関係していて、ユスリカを食べる魚を入れるなどして、生き物のバランスを整えることが、長い目で見た目標になるかもしれないことを示しています。
5. ユスリカをやっつけるための「総合的有害生物管理(IPM)」大作戦!
5.1. 大切な考え方
まず、ユスリカが増えにくいように予防すること、そして薬を使わない方法を優先することが大切です。薬を使うのは、本当に最後の手段として、できるだけねらった虫だけに効いて、周りの環境への影響が少ない方法を選びます。これが「総合的有害生物管理(IPM)」という考え方で、万博が目指す「地球にやさしい」という目標にも合っています。
5.2. 環境を整えて、ユスリカのすみかをなくそう!(これが基本!)
5.2.1. 水辺のお手入れ(ウォータープラザや他の池などで、すごく大事!)
- 空気を送って水を動かす: ウォータープラザや、水があまり動かない池などに、空気をたくさん送り込む機械(例えば、ブクブクと泡を出すパイプや、とても小さな泡を出す技術)を入れます。こうすると、特に水の底の酸素が増えて、水がよどむのを減らせます。ユスリカの幼虫は酸素が少ない場所が好きなので、住みにくくなります。逆に、ユスリカを食べる魚などにとっては良い環境になります。ある場所では、この方法でユスリカの幼虫が10分の1に減ったという報告もあります。
- 栄養を減らす: 夢洲は人工の島ですが、ゴミなどで水が汚れないように気をつけないといけません。もし食べ物のゴミをきれいにして水を再利用するなら、ユスリカの幼虫のエサになる栄養をしっかり取り除く必要があります。植え込みなどから肥料が流れ出ないように管理します。
- 水を抜いて干す(もしできれば): 万博がお休みのときや冬の間に(もし水辺の施設でそれができて、問題ないなら)、水を全部抜いて底の泥を太陽にさらすと、冬を越そうとしている幼虫をやっつけることができます。ウォータープラザみたいにいつも海水がある場所では難しいかもしれませんが、小さな真水の池ならできるかもしれません。
- お掃除: 人工の池の底にたまった泥やゴミを、定期的に取り除きます。
5.2.2. よどんだ水をなくして、水はけを良くする
会場の中に、気づかないうちに水がよどんでいる場所(特に大きな屋根の上の水たまり、詰まった排水溝、工事現場の周りなど)がないか、すみずみまで調べて、なくします。どこも水がスムーズに流れるようにします。
5.2.3. 植物のお手入れ
池の周りや中に植物がありすぎると、ユスリカの隠れ家になったり、枯れて水の中の栄養になったりするので、余計なものは取り除きます。水面に風が当たるのをジャマする植物も取り除きます。風が吹くと水面が波立って、ユスリカが増えにくくなる効果があります。
5.3. モノや機械を使った対策
5.3.1. 光をうまく使う作戦
- 紫外線を減らす: 今使っている照明に、紫外線をカットするフィルターをつけたり、虫があまり寄ってこないLEDライトに変えたりします。
- 光をさえぎったり、向きを変えたりする: 池やユスリカが休む場所に余計な光がもれないように、照明をおおったり、必要な場所だけに下向きに光が当たるようにしたりします。
- おとりの光: お客さんがいる場所から離れた、人がいないところに、わざとすごく明るい白い光(ユスリカが大好きでとてもよく集まる)をつけて、ユスリカをそっちへおびき寄せます。ただし、これでおびき寄せた場所にまた別の問題が起きないように、よく計画する必要があります。
- 光をつける時間を考える: ユスリカが一番活発な時間(夕方から夜)や、ものすごくたくさん発生している場所では、必要ない照明は暗くしたり消したりします。
5.3.2. 捕まえるワナ
- 光で誘うワナ・電気でバチッとやる機械: 大人のユスリカをたくさんやっつけることができます。でも、ワナ1つだけでは、広い範囲のユスリカを全部減らすのは難しく、虫でワナが詰まってしまうこともあります。だから、これをメインの作戦にするのではなく、特別な問題がある建物の中や、半分閉じたような場所で使うのが良いでしょう。ワナに使う光の色も大事で、シオユスリカには、黄色や赤色よりも、白や紫色の光の方が効くかもしれません。
- ネバネバのワナ: 大人のユスリカがどれくらいいるか調べたり、種類を確かめたりするのに使えます。
5.4. 生き物の力を借りる作戦
5.4.1. ユスリカの敵を増やしたり、連れてきたりする
- 魚: ユスリカの幼虫を食べる、水の底にすむ魚(ナマズ、コイ、ブルーギルなど)を放すと、真水の場所では効果があることがあります。ウォータープラザみたいな塩水や、少し塩が混じった水の場所では、どんな魚が良いか、効果があるか、環境に悪影響がないか、よく調べる必要があります。ウォータープラザは塩水なので、真水に比べて選べる魚の種類がとても少なくなります。大阪湾にもともと住んでいる魚か、もし逃げ出しても問題を起こさない魚で、塩水にも強くて(少し塩が混じった水でも大丈夫な)、ユスリカの幼虫を食べてくれる魚を、注意深く選ぶことが一番大切です。魚はユスリカの幼虫の敵として知られていますが、ウォータープラザは塩水です。よく言われるユスリカを食べる魚の多くは真水の魚です。だから、シオユスリカの幼虫を食べてくれて、ウォータープラザの環境でも生きていけて、もし大阪湾に逃げても問題を起こさないような、塩水に強い魚を見つけるために、特別な調査が必要です。
- 役に立つ虫: トンボの幼虫(ヤゴ)みたいに、他の虫を食べる虫を守ったり、増やしたりします。
- コウモリとツバメ: 大人のユスリカを食べる敵です。もし万博会場で、コウモリやツバメが住みやすい環境を作れるなら(そしてそれが問題ないなら)、少しずつですが長い目で見てユスリカを減らす助けになるかもしれません。
5.4.2. 微生物の殺虫剤を使う
- バチルス・チューリンゲンシス・イスラエレンシス (B.t.i.): これは、ユスリカの幼虫が食べると効果がある、生き物から作られた幼虫用の薬です。
- 効き目と量: 普通、ユスリカには(特に水の中にゴミが多いと)蚊よりもたくさんの量(10倍くらい)が必要で、広い場所で使うとお金がかかるかもしれません。でも、効き目があったという研究もあります。水の底にいるユスリカの幼虫には、幼虫が食べる場所に沈んでいくように、粒状のものがより効果的です。
- 環境への安全性: いろいろな虫に効いてしまう化学的な農薬と比べると、ねらった虫以外には比較的安全だと考えられていますが、広い場所でたくさん使う場合は、やっぱり環境への影響をよく調べる必要があります。
5.5. 化学的な薬による対策(幼虫用と大人用)– よーく考えて使う
5.5.1. 虫の成長を邪魔する薬(IGR)
メトプレン(商品名:アルトシッド®など)、ジフルベンズロン(商品名:デミリン®など)、ピリプロキシフェン(商品名:スミラブ®など)といった薬は、幼虫が大人になるのを邪魔したり、皮をぬぐときに死なせたりします。
- 効き目: とてもよく効くことがあります(例えば、90%以上、大人のユスリカが出てこなくなることも。日本の研究ではデミリンとピリプロキシフェンが良い結果を出しています)。メトプレンは、流れる水の中で泥にくっついて、ユスリカを減らすのに良い効果を見せました。
- 環境への優しさ: 昔からある、神経に直接作用する殺虫剤よりは、特定の虫だけに効くことが多いですが、他のねらっていない水の中の小さな生き物、特にエビやカニの仲間に影響することがあります。メトプレンは、たくさん使うと、一部の水の中の生き物に悪い影響が出ました。ピリプロキシフェンは、日本の野外でのテストで、長い間効果が続きました。
- 薬が効きにくくなること(抵抗性): 昔からの殺虫剤ほど多くはありませんが、長い間、広い範囲で使い続けると、理論的には薬が効きにくくなるユスリカが出てくる可能性はあります。
5.5.2. 大人のユスリカをやっつける薬の、慎重な使い方
広い場所に霧のようにまいたり(ULVコールドエアロゾルジェネレーターという機械を使います)、壁などに薬が残るようにまいたり(動力噴霧機という機械を使います)すると、大人のユスリカが薬に触れたり、薬がついた場所にとまったりしたときに死にます。
- 殺虫剤の種類: ピレスロイド系というグループの薬(ラムダ-シハロトリン、デルタメトリンなど)や、アメリカの環境を守る役所(EPA)が「これは大丈夫」としている植物から採った油(ローズマリー、ペパーミント、ニンニク、ヒバの油など)が使えます。薬を使うときは、必ず説明書をよく読んで、ユスリカに使うことが認められているか、デリケートな場所や水の近くで使っても大丈夫かを確認します。
- 限界: 新しいユスリカが次々と大人になったり、どこかから飛んできたりするので、効果は一時的です。海岸の近くや水の上で使うと、水が汚れたり、ねらっていない生き物に影響が出たりする危険があるので、役所の許可が必要になることもあります。
- どこにまくか: ユスリカがよく休んでいる場所(建物の近くの草むら、家の外壁、特に明かりがついている場所など)にまきます。
5.5.3. 有機リン系の殺虫剤(例:テメホス/アベイト®)
昔はよく使われていましたが、ねらっていない水の中の生き物にも広く毒性があり、薬が効きにくくなっている可能性もあります。使えるのは、保健所など、特別な役所に限られていることが多いです。万博は地球にやさしいことを目指していて、もっと安全な薬もあるので、これらは本当に最後の手段として、もし使うとしてもごくわずかにするべきです。日本のシオユスリカは、もうすでにいくつかの有機リン系の殺虫剤に強くなっているという報告もあります。
5.5.4. 殺虫剤が効きにくくなる問題にどう対応するか
薬の効き方が違う種類の薬を使ったり、そもそも薬を使わない方法を優先したりすることが、薬が効きにくくなるのを防ぐカギです。日本のユスリカが有機リン系の殺虫剤に強くなったという報告があることは、注意が必要で、色々な作戦を組み合わせる必要があることを教えてくれています。
5.6. 新しい技術はどうなの?
- 超音波の機械: ある製品は、超音波を使って、ハエなど色々な虫を追い払うと宣伝しています。でも、広い屋外で、超音波がユスリカに本当に効果があるという科学的な証拠は、ちゃんとした研究ではあまり見つかっていません。ほとんどは、「使ってみたら良かった」という個人の話か、作っている会社の宣伝です。超音波の機械は、イヤな虫を追い払うために売られていて、薬を使わない良い方法に見えるかもしれませんが、万博のような広い屋外でユスリカに効くかどうかは、今の科学の知識からすると、かなり疑わしいです。お金を使うなら、効果がはっきりしている方法を優先するべきです。資料を見ると、超音波の機械は売られていて、ハエに効くと宣伝されているようですが、広い屋外でユスリカに特に効果があったという、しっかりした科学的な研究は見当たりません。主な仕組みは振動だとされていますが、これが広い場所で、たくさん動き回るユスリカの群れを効果的に止める方法はよく分かりません。だから、この方法は万博のような大きな問題には効果がない可能性が高く、他のことにお金や力を使うべきでしょう。
6. 大阪・関西万博のための、ユスリカとことん対策プログラム案!
6.1. いつ、何をするか計画
- 万博が始まる前(今すぐ~開会式の数ヶ月前まで):
- 会場全体で、ユスリカの幼虫がどこにいるか詳しく調べる。特にウォータープラザや他の池では、水質(栄養分、水の中の酸素、ゴミの量など)をしっかり検査する。
- ユスリカが増えにくい環境にするための大きな工事をする:ウォータープラザに空気を送って水を動かす機械をつけたり、水はけを良くしたり、いつも水がよどんでいる場所をなくしたりする。
- 照明の工夫をする(紫外線をカットしたり、LEDに変えたり、光がもれないようにしたり)。
- 環境を良くするだけでは、万博が始まるまでにユスリカを減らせない場合は、特にたくさん発生している場所に、幼虫をやっつける薬(ピリプロキシフェンやメトプレンみたいな虫の成長を邪魔する薬、またはB.t.i.)をまく。ピリプロキシフェンは、3ヶ月くらい効果が続くかもしれない。
- もし魚の力を借りるなら、どんな魚が良いか事前に調べて選んで、放しておく。
- 万博の期間中(お客さんが来ている間):
- ユスリカの幼虫と大人がどれくらいいるか、ずっと見張りを続ける。
- 環境を良くする活動を続ける:池などを定期的にお掃除したり、新しく水がよどんでいる場所ができたらすぐに対応したりする。
- 見張りの結果、ユスリカが増えすぎた場所では、幼虫をやっつける薬をまく。
- 「これ以上増えたら薬を使う」という厳しいルールと安全ルールを守って、ねらった場所にだけ大人のユスリカをやっつける薬をまく(例えば、大きな屋根に薬が残るようにまいたり、お客さんの迷惑になるくらいひどく大発生した場所にだけ霧のようにまいたりする)。夕方に作業することを重点的に行う。
- ワナや、おとりの光などの機械をちゃんと動かし続ける。
- ユスリカのことや、対策していることを、お客さんに知らせる。
- 万博が終わった後のこと:
- 今回の作戦がどれくらい効果があったか評価する。
- もし会場の施設(ウォータープラザなど)が残るなら、これからもずっと管理していくための計画を立てる。
6.2. しっかり見張るための仕組み
- 幼虫の見張り: ウォータープラザや他の池、ユスリカがいそうな場所で、定期的(例えば週に1回)に水をすくったり泥を取ったりして、幼虫がどれくらいいるか調べる。どんな種類のユスリカかも調べる。
- 大人の見張り: 特別な場所に光のワナやネバネバのワナをしかけて、大人のユスリカがいつ出てくるか、どんな種類がいるか、数が増えているか減っているかを監視する。ユスリカがよく休んでいる場所(大きな屋根など)も目で見て調べる。
- 「これくらい増えたら対策開始!」のルールを決める: どんな対策をするか決めるための、はっきりした基準(例えば、1回水をすくったときの幼虫の数、ワナ1つで1晩に捕まる大人の数、お客さんからの苦情の数など)を作る(例えば、「幼虫が泥1平方メートルに200匹いたら薬をまく」「幼虫が1000匹以上いたら迷惑レベル」という目安があるけど、これは万博の状況に合わせて調整する必要がある)。
6.3. 特に危ない場所への集中作戦
- ウォータープラザ: 水質(空気を送る、水を動かす、ろ過する)を徹底的に良くする。定期的に幼虫の数を調べる。魚の力を借りることも考える。必要なら、ねらった場所にだけ幼虫をやっつける薬をまく。
- 大きな屋根(大屋根リング): ユスリカがとまる場所に、大人のユスリカをやっつける薬を長持ちするようにまく。光を工夫する。水たまりができたらすぐに無くす。
- 食べ物や飲み物を売るエリア: きれいにすることを徹底する。もしできれば網戸などで虫が入らないようにする。ユスリカが食べ物を汚したり、食事をしている人のジャマをしたりしないように、その場所だけで大人のユスリカを捕まえたりやっつけたりする。
- 行列ができる場所や建物の出入り口: 光を工夫する。もし問題がひどい場合は、虫が嫌がる薬をまいたり、空気のカーテンを作ったりすることも考える。
6.4. 誰が何をするか:役割分担
万博の運営団体(全体のまとめ役、お金の準備、方針決め)、大阪市(ルールのチェック、手伝い、土地の管理など)、専門の会社(アース製薬、フマキラーなど – 薬の提供、作業のノウハウ)、環境を守る役所(アドバイス、ルールが守られているかのチェック)の役割をはっきり決める。万博の中に、誰に報告するかがはっきりした専門の虫対策チームを作って、「ユスリカ等対策本部」としっかり連絡を取り合う。
6.5. もし急に大発生したら?ピンチのときの対応
ユスリカが急にものすごく増えたときのために、すぐに動けるように、あらかじめ対応方法を決めておく。緊急で薬をまくための道具や材料(例えば、霧吹き機、使っても良いと認められた大人のユスリカ用殺虫剤)を準備しておく。もしそういう事態になったら、お客さんやスタッフにどうやって知らせるかも計画しておく。
本当にしっかりした対策プログラムは、問題が起きてから薬をまくだけじゃなくて、ちゃんと見張りをしたり、ユスリカが増えにくい環境を前もって作ったりするために、計画的に時間やお金を使うことが必要です。アース製薬やフマキラーみたいな会社に、その場その場でお願いするだけじゃなくて、ちゃんとした継続的な計画にしないといけません。「総合的有害生物管理(IPM)」という考え方は、予防と見張りを大切にしますが、今の万博の対応は、起きてしまった問題に対して、後から対応しているように見えます。万博の期間中ずっとうまく管理するためには、ユスリカの発生源を減らすこと、水をきれいに管理すること、定期的に見張りをすることを、計画的に、そして予防的に行うように変えることが絶対に必要です。そのためには、専用のお金や人手、そしてただ緊急でお願いするだけじゃなくて、万博の毎日の仕事の中に組み込むことが必要です。
みんなにどう思われるか、そしてどう伝えるかは、ものすごく大事です。ユスリカは迷惑だけど、健康に害はないこと(血は吸わない)、そして環境にやさしい方法で対策していることをはっきり伝えることで、お客さんの期待や心配をうまくコントロールできます。お客さんからはもう「気持ち悪い」などの苦情が出ています。ユスリカは血を吸いません。このことと、対策についてみんなに知ってもらうことで、イヤな気持ちを減らすことができます。環境への配慮を大切にした対策プログラムについて、隠さずに情報を公開することは、信頼につながります。
大阪万博のためのユスリカ見張り&対策スタート基準プラン(案)
このプランは、ユスリカ対策をちゃんと実行するための「見張り」の部分を具体的にするものです。いつ、どんな対策をするかが、その場の思いつきじゃなくて、どれくらいユスリカがいるかというデータに基づいて、タイミングよく行われるように、はっきりとした「GOサイン」を出すための基準を作ります。これは、特に薬を使う場合に、ムダな薬の使用を減らしたり、必要以上に対策しすぎたりしないようにするのに役立ちます。効果的なユスリカ対策には、見張りと、行動を起こすための基準が必要です。これがないと、対策がバラバラになったり、遅すぎたり、やりすぎたりするかもしれません。このプランは、一般的なやり方を、万博のチームが実際に使える道具に変えるもので、特定の場所で、特定の数が見つかったら、あらかじめ決めておいた特定の対応をする、というように結びつけます。これで、いつも同じ基準で、データに基づいて判断ができるようになります。
- 見張りの方法(例):
- 幼虫すくい取り(専用の道具などを使う)
- 大人のユスリカ用ライトトラップ(特別な機械、特定の光を使う)
- ユスリカが休む場所を目で見てチェック
- お客さんからの苦情を記録・追跡
- どこを見張るか(例): ウォータープラザ、排水路、大きな屋根の周り、パビリオンの近く、お客さんがよく通る道、建物の壁、植え込み、会場全体
- どれくらいの頻度で見張るか(例): 週に1~2回、毎日、そのつど
- 何を調べるか(例):
- 1平方メートルあたりの幼虫の数、シオユスリカの幼虫の割合
- ワナ1個で1晩に捕まるシオユスリカの大人の数
- 虫の群れのすごさ点数(1~5点)、休んでいる大人の数
- 確認された苦情の数/日
- 対策スタートの基準(例:状況に合わせて変える必要あり):
- 幼虫が1平方メートルに500匹
- 大人のユスリカがワナ1個で1晩に100匹
- 虫の群れのすごさ点数が3点以上
- 確認された苦情が1日に5件
- おすすめ対策(例:順番にやっていく):
- その場所の掃除を強化する
- 発生している場所にB.t.i.やIGR(虫の成長を邪魔する薬)をまく
- ワナを増やす
- 周りの草木に薬が残るようにまく(バリアを作る)
- その場所だけに霧のように薬をまく(最後の手段)
- ユスリカが休む場所に薬が残るようにまく
- 苦情があった場所を重点的に調べる、上の基準に合わせて対策する
- 誰が責任を持つか(例): 万博ユスリカ対策チーム、頼んだ専門業者チーム、万博運営本部
7. 環境、みんなの健康、そしてルールを守ること
7.1. ねらっていない生き物への影響をできるだけ少なくして、色々な生き物が暮らせるようにする作戦
ねらっていない生き物への影響が一番少ない方法(環境を整える、モノや機械を使う、B.t.i.みたいに特定の生き物にだけ効く生物農薬など)を優先します。もし化学的な薬を使うなら、一番毒が弱くて、一番ねらった虫だけに効くもの(例えば、広い範囲の神経に効く薬より、虫の成長を邪魔する薬(IGR))を選びます。薬が関係ない池や川に飛んでいったり、流れ込んだり、役に立つ虫にかかったりしないように、薬の使い方のルールをしっかり守ります。もし夢洲やその近くに、特別に守らないといけない生き物がいる場所(夢洲の水辺には、珍しい生き物もいるという話もあるけど、これは万博会場のすぐ外の広い地域のことを指すかもしれない)があれば、その周りには薬が届かないように、少し離れた場所(緩衝地帯)を作ることを考えます。万博の「会場をきれいにするための実行計画」には、よその国から入ってきた生き物や、病気を運ぶかもしれない虫に気をつけないといけない、とすでに書かれています。ユスリカ対策が、他の環境問題をひどくしないように気をつけます。
7.2. 対策作業をするときの、お客さんと作業する人の安全を守る
農薬をまく作業をする人はみんな、ちゃんとした保護メガネやマスク、手袋など(PPE)を使います。薬をまく作業(特に霧のようにまいたり、スプレーしたりするとき)は、お客さんが一番少ない時間帯(例えば、夜中や朝早く)に行います。薬をまいた後、一時的に入れなくなる場所がある場合は、分かりやすい看板を出したり、情報を伝えたりします。イヤな虫をやっつけるための製品はすべて、ルールに従って、ちゃんと保管し、扱い、そして捨てます。
7.3. 国や地域の、環境や健康に関するルールを守る
農薬の使い方、水のきれいさ、環境保護に関する日本の法律や、大阪府や大阪市の決まりを全部守ります(建物の衛生に関する法律などを守ることが書かれています)。環境省や地域の保健所に相談して、指示をもらったり、許可をもらったりします。
7.4. みんなにどう伝えるか
ユスリカがどういう状況か、どんな対策をしているかについて、隠さずに情報を伝えます。ユスリカは迷惑だけど、普通は体に害はないこと(血は吸わないこと)をお客さんに知ってもらいます。今やっている、環境にやさしい「総合的有害生物管理(IPM)」というやり方をアピールします。
夢洲が人工の島で、大阪湾に近いということは、万博会場の中でユスリカ対策をするとしても、そのやり方が周りの海の生き物たちにどんな影響を与えるか、よーく考えないといけない、ということです。農薬が流れ出たり飛んでいったりすることや、ウォータープラザの水質が変わることだけでも、もっと広い範囲に影響が出るかもしれません。夢洲は大阪湾にあり、農薬はねらっていない生き物にも影響を与えることがあります。万博会場から出た水は、最終的には大阪湾につながります。だから、どんな化学的な薬を使う作戦や、水の管理をする作戦も、万博会場のすぐ内側だけでなく、大阪湾の海の生き物たちに将来どんな影響が出る可能性があるか、考えなければなりません。そのためには、薬をまくことや水を排出することを、厳しく管理する必要があります。
万博は世界中から注目されるので、虫の対策のやり方も厳しく見られます。科学的で、環境にやさしい「総合的有害生物管理(IPM)」というプログラムをちゃんとやって、それをはっきり伝えることは、みんなからの信頼を得て、万博の国際的な評判を保つために絶対に必要です。万博は世界的なイベントで、環境問題への関心は世界中で高いです。虫の対策、特に化学的な薬を使うことは、議論を呼ぶことがあります。だから、管理がずさんだったり、薬に頼りすぎたりするやり方は、悪い評判につながって、万博のイメージを傷つけるかもしれません。「地球にやさしい」ことを大切にした、よく伝わる透明な対策プログラムは、万博の評判にとってプラスになります。
8. まとめと、これからの作戦のポイント
2025年の大阪・関西万博で、特にシオユスリカなどのユスリカをうまく管理するためには、全体を考えた、そして状況に合わせて変えていける「総合的有害生物管理(IPM)」プログラムが絶対に必要だということを、もう一度強く言います。
優先順 実行可能なリスト
- ウォータープラザの環境を良くすることを一番に!: 水質を良くして、ユスリカの幼虫が住みにくくなるように、空気を送る機械や水を動かす機械、そしてできれば水をきれいにするフィルターなどをすぐに取り付けて、一番良い状態にする。これが一番大事な、長く続く効果のある対策です。
- 見張りのプログラムをもっとしっかりしたものにする: すべての対策は、この見張りの結果に基づいて行われるように、会場全体でユスリカの幼虫と大人をしっかり監視するシステムを作り、「これくらい増えたら対策開始!」というはっきりした基準を作る。
- 順番にIPM作戦を進める: 万博が始まる前に、ユスリカが増えにくい環境を作る対策や、モノや機械を使った対策を計画的に行う。万博の期間中は、見張りの結果に基づいて、生き物の力を借りる作戦や、化学的な薬を使う作戦の準備をしておく。
- 光をうまく使う作戦: 会場全体で、紫外線を減らすこと、LEDライトに変えること、光がもれないようにすることを積極的に進め、おとりの光も検討する。
- 幼虫をやっつける薬は慎重に使う: 見張りの結果に基づいて、特にたくさん発生している場所にねらって使う。そのときは、虫の成長を邪魔する薬(IGR)(例えば、ピリプロキシフェン、メトプレン)や、B.t.i.を中心に考え、水の底にいる幼虫や塩水でも効く薬を優先する。
- 大人のユスリカをやっつける薬の使用はできるだけ少なく: 大人のユスリカをやっつける薬(例えば、ピレスロイド系の薬を壁などに残るようにまく)は、お客さんが多い場所で、部分的にひどく大発生した場合の、本当に最後の手段としてだけ使い、安全と環境のルールを厳しく守る。
- 塩水に強い、生き物の力を借りる方法を探して試す: ウォータープラザの塩水環境でも使える、安全で効果が確認された、ユスリカを食べる魚や他の生き物の力を借りる方法が本当にできるか調べる。
- 関係するところや業者との連携を強くする: 「ユスリカ等対策本部」の活動体制を強化し、万博の運営団体、大阪市、そして協力してくれる虫対策の会社の間で、誰が何をするか、責任の範囲、そしてスムーズな連絡方法をはっきり決める。
- 積極的な広報計画を作る: ユスリカの性質や、どんな対策をしているかをお客さんに知らせて、安全であることと環境への責任をアピールする。
ユスリカの状況は変わるかもしれないので、長い目で見て、状況に合わせて変えていける管理のやり方が大切です。プログラムは柔軟にして、見張りのデータや新しい情報に基づいて、効果をずっと評価し、作戦を調整していく必要があります。対策本部の会議を定期的に開くことが絶対に必要です。
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