MENU

日本における義務的出入国送迎サービスに関する報告書

目次

1. はじめに

日本への国際的な人の移動において、空港や港湾における出入国時の送迎サービスは、円滑な入国手続きと社会生活への移行を支援する上で重要な役割を果たします。本報告書では、日本全国の空港および港湾における出入国手続き時の送迎サービスのうち、特に法的義務として定められているものに焦点を当て、その対象者、提供機関、具体的なサービス内容、利用条件などを詳細に分析します。また、義務ではないものの利用可能な送迎サービスについても概観し、日本における出入国時の送迎サービスの全体像を明らかにすることを目的とします。

2. 義務的出入国送迎サービスの法的枠組み

日本における出入国管理に関する主要な法律は、出入国管理及び難民認定法(以下、入管法)です 1。この法律は、外国人の入国および出国に関する手続きや、日本に在留する外国人の地位などを定めています。入管法に基づき、特定の外国人に対しては、出入国時の送迎を含む生活支援が義務付けられています。

特に注目すべきは、入管法に定められた「特定技能」の在留資格で入国する外国人に対する支援です 2。この制度は、日本国内の人手不足が深刻な特定産業分野において、一定の技能を有する外国人の就労を促進するものであり、これらの外国人に対しては、入国から出国に至るまで、様々な支援措置を講じることが受け入れ機関に義務付けられています 7

入管法そのものには、高齢者、障がい者、未成年者に対する義務的な送迎サービスに関する直接的な規定は見当たりません 10。しかしながら、これらの vulnerable な立場にある人々に対しては、空港や航空会社などが、それぞれの規程や方針に基づいてサポートを提供している状況が確認できます 13

3. 特定技能外国人に対する義務的出入国送迎サービス

3.1. 受け入れ機関および登録支援機関の義務

特定技能外国人を受け入れる企業や団体(特定技能所属機関)は、これらの外国人が円滑に日本での生活を開始し、安定して就労できるよう、様々な支援を行う義務があります 3。この義務的支援は、特定技能所属機関自身が行うか、または法務大臣の登録を受けた登録支援機関に委託して行う必要があります 3。出入国時の送迎は、この義務的支援の重要な項目の一つとして位置づけられています 3

3.2. 義務的支援の範囲

特定技能外国人に対する義務的な送迎支援は、入国時と出国時でその範囲が異なります 2

  • 入国時: 特定技能外国人が入国手続きを行う空港または港において出迎えを行い、その後、当該外国人の就労場所または住居まで送迎することが義務付けられています 9
  • 出国時: 特定技能外国人を就労場所または住居から出発する空港または港まで送り届け、さらに保安検査場まで同行し、入場することを確認する必要があります 3。この保安検査場までの見送りは、外国人が確実に出国したことを確認し、不法残留を防ぐための重要な措置とされています 3

3.3. 計画、連絡、実行に関する具体的な要件

義務的な送迎サービスを提供するにあたっては、事前の計画立案と情報提供が不可欠です 2

  • 利用する空港や港を事前に確認し、送迎計画を立てる必要があります 2
  • 送迎可能な空港や港の情報、具体的な待ち合わせ場所などを事前に外国人に案内し、出迎え時の混乱を防ぐことが重要です 2
  • 入国当日の遅延や災害などの不測の事態に備え、外国人と確実に連絡を取る手段や緊急連絡先を確保しておく必要があります 2
  • 出国時の送迎においては、外国人が既に住居を退去している場合もあるため、その時点での滞在先を把握し、スムーズに合流できるよう努める必要があります 2
  • 空港では、到着予定時刻の30分前には待機し、入国手続きや移動手段の手配をサポートすることが求められます 3
  • 本人確認のための資料や多言語対応の案内表示を準備し、天候や交通状況も事前に確認しておくことが望ましいです 3
  • 手荷物の運搬補助や移動の案内など、きめ細やかな配慮を通じて、外国人の不安を軽減することも重要です 3

3.4. 送迎費用の負担

特定技能外国人の出入国時の送迎にかかる費用は、原則として受け入れ機関が負担しなければなりません 2。空港や港から就労場所または住居までの交通費を外国人に負担させることは、法令で禁じられています 3

3.5. 義務的支援の対象とならない場合

特定技能外国人が一時的な休暇で母国に帰省する場合の送迎は、義務的支援の対象外となります 2。また、技能実習2号などから特定技能1号へ在留資格を変更した外国人が既に日本国内に在留している場合も、入国時の送迎は義務的支援の対象とはなりません 7。ただし、これらの場合でも、任意的支援として送迎を提供したり、交通手段や緊急連絡先を事前に案内したりすることが推奨されています 2

3.6. 送迎手段

送迎の手段としては、社用車やタクシーなどの車両の利用に加えて、電車やバスなどの公共交通機関も活用できます 3。ただし、安全性と確実性を重視した方法を選ぶ必要があります 3。登録支援機関が車両を用いて送迎を行う場合は、原則として道路運送法上の必要な許可を受けている必要があります 5

4. 高齢者、障がい者、未成年者に対する出入国サポート

入管法に基づく義務的な送迎サービスは、主に特定技能外国人を対象としていますが、高齢者、障がい者、未成年者に対しても、空港や航空会社などが様々なサポートを提供しています。

4.1. 高齢者および障がい者

高齢者や障がいのある乗客に対して、航空会社や空港は以下のようなサポートを提供しています 13:

  • 空港内での車椅子貸し出しや介助サービス 13
  • 出発ゲートや到着ロビーまでの案内 13
  • 搭乗および降機時のサポート 14
  • 機内用車椅子の提供 14
  • 視覚障がい者や聴覚障がい者へのサポート 15
  • 特別な配慮が必要な場合の相談窓口 13

空港によっては、電動カートの貸し出し 23、情報提供のためのインフォメーションフォン 23、コミュニケーション支援ボード 23、多目的トイレ 22などの設備も整備されています。

4.2. 未成年者

単独で旅行する未成年者に対しては、航空会社が「Unaccompanied Minor(UM)」または「ANAジュニアパイロット」のようなサポートプログラムを提供しています 17。これらのサービスには以下が含まれます:

  • 年齢に応じた利用制限(通常5歳または6歳以上) 17
  • 空港でのチェックインから搭乗ゲートまでの付き添い、機内での見守り、到着ロビーでの保護者への引き渡し 25
  • 保護者による渡航同意書の提出 18
  • サービスによっては追加料金が発生する場合もあります 26
  • 国際線の場合、出生証明書などの追加書類が必要となることがあります 37

これらのサポートは、航空会社が未成年者の安全かつ快適な旅行を支援するために提供するものであり、入管法に基づく義務とは異なります。

5. 義務ではないものの利用可能な出入国時の送迎サービス

義務的な送迎サービスの対象とならない場合や、より個別的なサポートを希望する場合には、以下のような非義務的な送迎サービスを利用できる可能性があります。

  • 介護タクシー: 高齢者や障がいのある方の移動をサポートする専門のタクシーで、空港送迎サービスを提供している事業者もあります 41。介護資格を持つ乗務員が付き添い、介助を行うことも可能です 42
  • 福祉有償運送: NPO法人や社会福祉法人などが運営する、会員制の送迎サービスで、高齢者や障がい者などを対象としています 41
  • 空港リムジンバス: 一部のリムジンバスには、車椅子での乗車が可能な車両が用意されており、障がいのある方も利用できます 44
  • 民間の送迎サービス: 個人のニーズに合わせて、様々な民間の送迎サービス事業者が空港や港からの送迎を提供しています 43
  • ボランティア団体: 地域によっては、外国人住民や高齢者などを支援するボランティア団体が、必要に応じて送迎などのサポートを行っている場合があります 45

これらのサービスは、利用者の費用負担が必要となる場合がほとんどですが、個々の状況やニーズに合わせて柔軟なサポートを受けることができます。

6. 結論

日本における義務的出入国送迎サービスは、主に特定技能の在留資格で入国する外国人に対して、受け入れ機関または登録支援機関に課せられた法的義務です。これは、外国人が日本での生活を円滑に開始し、安定して就労するための重要な支援策として位置づけられています。

一方、高齢者、障がい者、未成年者に対しては、入管法に基づく義務的な送迎サービスは明確には規定されていませんが、空港や航空会社がそれぞれの規程に基づいて様々なサポートを提供しています。これらのサポートは、移動の際の利便性や安全性を高めることを目的としています。

さらに、義務の対象とならない場合や、より個別的なサポートを希望する場合には、介護タクシー、福祉有償運送、民間の送迎サービスなど、多様な非義務的な送迎サービスが利用可能です。

日本への国際的な人の移動においては、法的義務としての送迎サービスと、様々な主体が提供するサポートサービスの両方を理解し、適切に活用することが、スムーズな出入国手続きと日本社会への適応を促進する上で重要と言えるでしょう。

付表

表1: 特定技能外国人に対する義務的送迎義務の概要

段階 義務 責任主体 関連スニペット
入国時 入国手続きを行う空港または港での出迎え、就労場所または住居までの送迎 特定技能所属機関または登録支援機関 9
出国時 就労場所または住居から出発空港または港までの送迎、保安検査場までの同行 特定技能所属機関または登録支援機関 3

表2: 日本の空港における高齢者・障がい者向けサポートサービス(例)

サービス内容 提供主体 詳細/条件 関連スニペット
車椅子介助/貸し出し 航空会社 (ANA, JALなど), 空港 (羽田, 成田など) 事前予約が必要な場合あり、ターミナル全域で利用可能 13
空港内案内 航空会社, 空港 出発ゲートや到着ロビーまでの案内 13
搭乗・降機サポート 航空会社 14
機内用車椅子 航空会社 一部の小型機材を除く 14
視覚・聴覚サポート 航空会社, 空港 コミュニケーション支援ボード、筆談ボードなど 15

表3: 日本の航空会社における単独渡航未成年者向けサービス(例)

航空会社 対象年齢 必須/任意 主な特徴 同意書必要 関連スニペット
ANA 5歳~12歳 必須 空港での付き添い、機内での見守り、到着ロビーでの引き渡し、ANAジュニアパイロットホルダー 必要 18
JAL 6歳~7歳 (必須), 8歳~11歳 (任意) 必須/任意 空港での付き添い、機内での見守り、到着ロビーでの引き渡し 必要 29

引用文献

  1. Immigration Control and Refugee Recognition Act – English – Japanese Law Translation, 4月 1, 2025にアクセス、 https://www.japaneselawtranslation.go.jp/en/laws/view/1934/en
  2. 特定技能の出入国する際の送迎とは?義務的支援や注意点を詳しく …, 4月 1, 2025にアクセス、
  3. 特定技能外国人の送迎対応とは?送迎時の注意点も解説 – スタッフ満足, 4月 1, 2025にアクセス、
  4. 特定技能外国人が出入国をする空港への送迎の交通費は、誰が負担する?, 4月 1, 2025にアクセス、
  5. 1号特定技能外国人支援に関する運用要領 – 法務省, 4月 1, 2025にアクセス、 https://www.moj.go.jp/isa/content/930004553.pdf
  6. 特定技能制度の概要について 令和6年9月4日, 4月 1, 2025にアクセス、 https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/fiber/pdf/240904-1.pdf
  7. 特定技能外国人の受け入れに必要な義務的支援と実施方法や要件を紹介, 4月 1, 2025にアクセス、
  8. 特定技能外国人の送迎対応は必須?出入国する際の注意点について | スタッフ満足ブログ, 4月 1, 2025にアクセス、
  9. 特定技能外国人の義務的支援とは?任意的支援との違いも解説, 4月 1, 2025にアクセス、
  10. 出入国管理及び難民認定法 – e-Gov 法令検索, 4月 1, 2025にアクセス、 https://laws.e-gov.go.jp/document?lawid=326CO0000000319_20260615_505AC0000000063
  11. Regulation for Enforcement of the Immigration Control and Refugee Recognition Act – English – Japanese Law Translation, 4月 1, 2025にアクセス、 https://www.japaneselawtranslation.go.jp/en/laws/view/3625/en
  12. Immigration Control and Refugee Recognition Act, 4月 1, 2025にアクセス、 https://www.la.us.emb-japan.go.jp/pdf/ImmigrationControl_and_RefugeeRecognitionAct_Article%205.pdf
  13. ご高齢のお客様 [国際線] – ANA, 4月 1, 2025にアクセス、
  14. お体の不自由なお客様のサポート – エバー航空 – EVA Air, 4月 1, 2025にアクセス、
  15. お体の不自由なお客様 – ASIANA AIRLINES, 4月 1, 2025にアクセス、
  16. 歩行が不自由なお客さま – JAL, 4月 1, 2025にアクセス、
  17. 子ども(未成年)一人で飛行機(国際線)に乗れますか。サポートはありますか。, 4月 1, 2025にアクセス、
  18. ANAジュニアパイロット(お子様一人でご利用のお客様)[国際線], 4月 1, 2025にアクセス、
  19. 特定技能外国人への必要な支援|出入国する際の送迎 – amazyu, 4月 1, 2025にアクセス、
  20. おからだの不自由な方の相談デスク – ANA, 4月 1, 2025にアクセス、
  21. お手伝いが必要なお客様へのご案内 – ANA, 4月 1, 2025にアクセス、
  22. 歩行の不自由なお客さま | お手伝いが必要なお客さま | サービス案内 | 羽田空港旅客ターミナル – Haneda Airport, 4月 1, 2025にアクセス、
  23. ユニバーサルデザイン | 東京国際空港ターミナル株式会社, 4月 1, 2025にアクセス、
  24. お身体の不自由な方 – 鹿児島空港, 4月 1, 2025にアクセス、
  25. お子様のご留学も便利なアナカンサービスで安心&安全 | 株式会社エムティーシージャパン, 4月 1, 2025にアクセス、
  26. 同伴者のいない未成年エアラインサービス:料金、最低年齢 – LanguageCourse.Net, 4月 1, 2025にアクセス、
  27. 両親が同伴しないお子様のひとり旅 | カンタス航空 – Qantas, 4月 1, 2025にアクセス、
  28. 同伴者のいない未成年のお客様のご搭乗 | エティハド航空 – Etihad Airways, 4月 1, 2025にアクセス、
  29. お子さまだけでのご旅行(お手伝いを希望されるお客さま) – JAL, 4月 1, 2025にアクセス、
  30. お子様の一人旅【アナカンサービス】 – Life Journey Education, 4月 1, 2025にアクセス、
  31. 【国際線】子ども(未成年)一人で飛行機(国際線)に乗れますか。サポートはありますか。, 4月 1, 2025にアクセス、
  32. Children Traveling Alone (JAL Special Assistance), 4月 1, 2025にアクセス、
  33. ANA Junior Pilot (Unaccompanied minors) (International Flights), 4月 1, 2025にアクセス、
  34. Unaccompanied Minors – BAV – Japan – Bamboo Airways, 4月 1, 2025にアクセス、
  35. Guidance for Children Traveling on International Routes (Boarding Assistance) – JAL, 4月 1, 2025にアクセス、
  36. ANA Junior Pilot (Unaccompanied minors) [Japan Domestic Flights], 4月 1, 2025にアクセス、
  37. 未成年の渡航同意書に関する条件のある国 – エアトリ, 4月 1, 2025にアクセス、
  38. 未成年の渡航同意書に関する条件のある国 – JTB, 4月 1, 2025にアクセス、
  39. 未成年者の渡航手続きについて – ANA, 4月 1, 2025にアクセス、
  40. メキシコ発着便に保護者なしでご搭乗される18歳未満のお客様へ – ANA, 4月 1, 2025にアクセス、
  41. 自家用自動車を用いて、有償で高齢者や障害者の送迎を行うには?, 4月 1, 2025にアクセス、
  42. サポートタクシー|車椅子・通院・送迎など介護資格者によるサービス|日本交通EDS, 4月 1, 2025にアクセス、
  43. 介護タクシー・インバウンド業務)訪日外国人の成田空港から都内ホテルの定額送迎サービスを開始致しました。, 4月 1, 2025にアクセス、
  44. 障がいをお持ちのお客様へ – ご利用ガイド | リムジンバスの東京空港交通, 4月 1, 2025にアクセス、
  45. 外国人高齢者の支援に関する事例集, 4月 1, 2025にアクセス、
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次