「自分のルーツである日本で生活してみたい」「日本の文化に触れ、国際的な経験を積みたい」そう願う日系四世のあなたへ。日本との絆を深め、新たな可能性を広げるための「日系四世ビザ(在留資格)」について、最新情報を交えながら、分かりやすく解説します。
かつては「少し複雑そう…」「自分にもチャンスがあるのかな?」と感じていたかもしれません。しかし、2023年12月に行われた制度改正により、日系四世の皆さんにとって、日本への道がより身近で、将来性のあるものへと大きく変わりました。
この記事を読めば、日系四世ビザの全体像から、申請の具体的なステップ、そして日本での生活やキャリア、さらには「定住者」という新たな可能性まで、あなたの知りたい情報がきっと見つかるはずです。さあ、日本への扉を開く準備を始めましょう。
日系四世ビザとは? あなたと日本を繋ぐ「架け橋」となる制度
日系四世ビザは、日本人の血を引く第四世代の皆さんが、日本の文化や社会への理解を深め、日本と海外の日系社会との「架け橋人材」として活躍することを目的とした特別な在留資格です。 2018年に創設され、経済的な活動だけでなく、文化的な相互理解や友好関係の構築に貢献する人材が期待されています。
このビザは、法的には「特定活動」というカテゴリーに分類され、法務大臣が個々の外国人に対して特に活動を指定して与えるものです。 これにより、日系四世の皆さんを受け入れるための柔軟な条件設定や、時代に合わせた制度の見直し(2023年の大幅改正が良い例です)が可能となっています。
知っておきたいポイント:年間受入枠
このプログラムには、年間4,000人という受入数の上限があります。 そのため、申請のタイミングによっては上限に達し、在留資格認定証明書(COE)がすぐに交付されない可能性も考慮し、計画的な準備が大切です。
【重要】最新情報をチェック!
一部で「新規募集が停止されている」という古い情報を見かけるかもしれませんが、日系四世受入れ制度は現在も運用されており、2023年12月28日には内容が大幅に拡充されています。 必ず法務省や出入国在留管理庁の公式サイトで最新情報を確認しましょう。
あなたも対象? 日系四世ビザ申請の主な条件
「もしかして私も?」と思ったあなたへ。日系四世ビザを申請するための主な条件をチェックしてみましょう。
1. 「日系四世」であること
まず、あなたの曾祖父母(ひいおじいさん・ひいおばあさん)が日本人であったことが基本です。 具体的には、日本国籍を持っていた曾祖父母から数えて4代目にあたる方が対象となります。 国籍は問いません。
2. 年齢:18歳以上35歳以下
申請時の年齢が満18歳以上35歳以下である必要があります。 以前は30歳まででしたが、2023年の改正で35歳まで引き上げられました。
ただし、31歳から35歳で申請する方は、入国時点で日本語能力試験(JLPT)N3相当以上の日本語能力が必要です。 これは、年齢が高い方がよりスムーズに日本社会に適応するための配慮と言えるでしょう。
3. 日本語能力:段階的にステップアップ
日本語能力は、入国時と日本での滞在期間に応じて、段階的に求められます。
- 日本に入国するとき
- 18歳~30歳の方: 日本語能力試験(JLPT)N5相当以上が目安です。 (N4相当を別の方法で証明することも可能な場合があります)
- 31歳~35歳の方: 日本語能力試験(JLPT)N3相当以上が必要です。
- 日本での滞在を更新するとき
- 通算1年を超えて滞在する場合: JLPT N4相当以上(まだN4レベルに達していない場合)。
- 通算3年を超えて滞在する場合: JLPT N3相当以上(まだN3レベルに達していない場合)。
日本語能力を証明できる試験には、JLPTの他にJ.TEST実用日本語検定や日本語NAT-TESTなどがあります。
表1:日本語能力要件の目安(日本語能力試験JLPT相当レベル)
対象ステージ | 年齢区分 | 必要なJLPTレベル |
---|---|---|
初期入国 | 18歳~30歳 | N5以上(またはN4相当を「その他の方法」で証明) |
初期入国 | 31歳~35歳 | N3以上 |
在留期間更新(通算1年超) | 全年齢 | N4以上(まだN4レベルに達していない場合) |
在留期間更新(通算3年超) | 全年齢 | N3以上(まだN3レベルに達していない場合) |
「定住者」への資格変更(5年滞在後) | 全年齢 | N2以上(またはBJTビジネス日本語能力テスト400点以上) |
4. 生活を維持する経済力
日本で生活していくための十分な経済力が必要です。預貯金のほか、日本で働くことによる収入見込みも含まれます。 帰国するための旅費が準備できていることも求められます。
5. 健康であること・医療保険への加入
心身ともに健康であることが求められ、健康診断書の提出が必要です。 また、万が一の病気や怪我に備えて、日本の公的医療保険(国民健康保険など)に加入するか、それをカバーできる民間の医療保険に入っていることが必須です。
6. 素行が善良であること
母国や過去に住んでいた国で犯罪歴がないなど、素行が善良であることが求められます。 無犯罪証明書などの提出が必要です。
7. 「日系四世受入れサポーター」がいること
日本での生活や手続きを無償でサポートしてくれる「日系四世受入れサポーター」(個人または団体)の存在が不可欠です。 特に最初の3年間はこのサポーターによる支援が義務付けられています。
8. 家族の帯同は原則不可(当初)
このビザで滞在する間は、原則として配偶者や子供を一緒に連れてくることはできません。 ただし、後で説明する「定住者」の資格を取得すれば、家族を呼び寄せることが可能になります。
9. 過去の滞在に関する制限
過去にこの日系四世ビザで、日本に通算5年間滞在していないことが条件です。
あなたの日本での生活を力強くサポート!「日系四世受入れサポーター」制度
「日本での生活、一人では不安…」そう感じる方もご安心ください。日系四世ビザの大きな特徴の一つが、この「サポーター制度」です。
サポーターの役割とは?
サポーターは、皆さんが日本で安心して文化学習や生活を送れるように、無償で様々なサポートを提供してくれます。
主な役割は以下の通りです。
- 渡日前の手続き支援: あなたの代理人として、日本の出入国在留管理局で在留資格認定証明書(COE)の申請を行います。
- 来日後のサポート:
- 定期的な連絡と生活状況の確認(文化学習の進み具合や仕事の状況など)。
- 在留期間を更新する際の報告書作成サポート。
- 日本の文化や日本語学習、日常生活、医療に関する情報提供やアドバイス(例えば、日本語教室の案内や、困った時の相談窓口の紹介など)。
- 支援が難しくなった場合や、入管からの問い合わせへの対応。
サポーターは、あなたが日本を離れるまで、または支援が困難になるまでサポートを続けてくれます。 金銭的な保証人になるわけではなく、生活費や家賃を負担する義務はありません。
どんな人がサポーターになれるの?
- 個人サポーター: 日本に住む日本人や、特定の在留資格を持つ外国人(永住者、定住者など)がなれます。 一人のサポーターが同時に支援できる日系四世は原則3人まで(2023年の改正で2人から緩和)。 日系四世の方を雇用する会社の社長などもサポーターになることが可能です。
- 団体サポーター: 国際交流や地域社会への奉仕を目的とする非営利法人(公益財団法人や商工会議所など)が対象です。 2023年の改正で、団体が支援できる人数の制限はなくなりました。
【注目ポイント】サポーター要件の緩和(2023年12月改正)
日系四世の方がこの制度で日本に通算3年を超えて滞在した場合、サポーターによる支援は必須ではなくなります(本人が希望し、サポーターが同意すれば無償での支援継続は可能です)。 これは、日本での生活に慣れ、一定の自立が認められた証とも言えるでしょう。
サポーターはどうやって見つけるの?
日本に個人的な知り合いがいない場合でも、公益財団法人海外日系人協会(JADESAS)が、来日を希望する日系四世の方とサポーターとのマッチングを支援(橋渡し)してくれます。
日本への扉を開くステップ:COE申請からビザ取得までの流れ
「私も条件に合いそう!具体的にどうすればいいの?」という方のために、申請の大まかな流れをご説明します。
- サポーターを見つける: まず、日本国内であなたのサポーターとなってくれる個人または団体を見つけ、支援の合意を得ます。
- 必要書類を準備し、サポーターへ送付: あなた自身が、後述するような必要書類を集め、日本のサポーターに送ります。
- サポーターがCOEを申請: サポーターがあなたの代理人として、日本の地方出入国在留管理局に「在留資格認定証明書(COE)」の交付を申請します。
- COEが交付され、あなたへ送付: 審査が通るとCOEがサポーターに交付され、サポーターはそれを海外にいるあなたへ送ります。
- 日本大使館・総領事館でビザを申請: あなたは受け取ったCOEを持って、自国の日本国大使館または総領事館で日系四世ビザ(特定活動)を申請します。
「在留資格認定証明書(COE)」とは?
COEは、あなたが日本の在留資格の条件に合っていることを、日本の法務省(出入国在留管理庁)が事前に証明するものです。ビザをスムーズに取得するために非常に重要な書類です。
COE申請に必要な主な書類(あなたが準備するもの)
以下は、COE申請のためにあなたがサポーターに送る主な書類です。
- あなたが日系四世であることを証明する書類:
- 曾祖父母(日本人)の戸籍謄本や除籍謄本。
- 曾祖父母、祖父母、両親、そしてあなたの出生証明書や婚姻証明書(あなたの国の役所が発行したもの)。
- その他、家系を証明するための書類。
- 年齢を証明する書類: パスポートやIDカードのコピーなど。
- 生活費や帰国費用を準備できることを証明する書類: 預金残高証明書や、仕事が決まっている場合は雇用予定証明書など。
- 健康であることを証明する書類: 健康診断書。
- 素行が善良であることを証明する書類: 犯罪経歴証明書(無犯罪証明書)。
- 医療保険加入に関する申告書。
- 年齢に応じた日本語能力を証明する書類: JLPTの合格証明書など。
- その他: 入国目的や日本での活動計画を説明する申告書など。
これらの書類集め、特に家系を遡って証明するものは時間と手間がかかることがあります。早めに準備を始めることが大切です。
COE申請場所と審査期間、有効期間
- 申請場所:サポーターが、あなたの居住予定地またはサポーターの住所地を管轄する日本の地方出入国在留管理局に申請します。
- 審査期間:通常1ヶ月から3ヶ月程度とされていますが、日系四世ビザは年間受入枠があるため、状況により変動する可能性があります。
- 有効期間:COEが発行されたら、通常3ヶ月以内に日本に入国する必要があります。
手数料について
日本国内でのCOE交付申請自体に手数料はかかりません。 ただし、あなたの国でビザを申請・取得する際には、日本国大使館・総領事館へ手数料が必要です(一次有効ビザで約3,000円相当が一般的)。
サポーターがCOE申請のために立て替えた郵便代などの実費は、あなたがサポーターに支払うことができます。
日本での活動と暮らし:文化を学び、生活を築く
日系四世ビザで日本に滞在する間、どのような活動ができて、どんな暮らしになるのでしょうか。
どんな活動ができるの?
このビザの主な目的は、日本の文化や一般的な生活様式を理解するための活動をすることです。 そして、これらの文化学習活動や生活費をまかなうために、働くことも認められています。 仕事内容に特定の制限は明記されていませんが、あくまで主目的は文化などの習得にあることを忘れないようにしましょう。
滞在できる期間と更新
最初に許可される滞在期間は、6ヶ月または1年です(入国後1年目は原則6ヶ月とされることもあります)。
このビザは更新が可能で、「特定活動(日系四世)」として日本にいられる期間は、合計で最長5年間です。
滞在期間を更新するためには、引き続き素行が善良であること、安定した生活を送れること、そして日本語能力が向上していることを示す必要があります(前述の表1参照)。
国民健康保険への加入は義務
日本に住む以上、国民健康保険への加入が義務付けられています。 保険料をきちんと納めることは、滞在期間の更新にも影響する大切なポイントです。
【未来への大きな一歩】5年後の「定住者」への道が開かれました!
2023年12月の制度改正で、日系四世の皆さんにとって最も大きな希望となる変更がありました。それは、「特定活動(日系四世)」として5年間日本に滞在し、一定の条件を満たせば、「定住者」という在留資格への変更申請が可能になったことです。
これは、単に滞在期間が延びるということ以上の意味を持ちます。「定住者」になると、より安定的で多くの権利が認められるようになり、日本での生活の可能性が大きく広がります。
「定住者」になるための主な条件
- 「特定活動(日系四世)」の資格で、継続して5年間日本に滞在したこと。
- より高度な日本語能力:
- 日本語能力試験(JLPT)でN2以上、または
- BJTビジネス日本語能力テストで400点以上。
- その他、安定した生活を送れること、税金や社会保険料をきちんと納めていることなども考慮されると考えられます。
「定住者」になると、こんないいことが!
- 仕事の制限が原則なくなる: より自由に職業を選べるようになります。
- 家族を呼び寄せられる: 配偶者や子供と一緒に日本で暮らせるようになります。
- より長期の滞在が可能に: 通常1年、3年、または5年といった長い期間の滞在が許可され、更新も可能です。
- 永住許可へのステップにも: 将来的に「永住者」の資格を目指す上での基盤となることもあります(ただし、永住許可には別途さらに厳しい条件があります)。
表2:日系四世ビザ(特定活動)と「定住者」資格の主な違い
特徴 | 日系四世(特定活動) | 定住者 |
---|---|---|
最大在留期間 | 通算5年 | 制限なし(更新可能) |
仕事の制限 | 文化学習のための活動費をまかなう目的での就労可 | 原則なし |
家族と一緒に住めるか | 不可 | 可能 |
必要な日本語能力(維持/取得) | 入国時N5/N3、1年超N4、3年超N3 | N2以上(またはBJT 400点以上) |
サポーター | 必須(3年超滞在後は本人の希望により任意) | 不要 |
より長期的な日本滞在への道 | 5年滞在後、一定条件で「定住者」への変更申請が可能に | 将来的には「永住者」を目指す際のステップになり得る |
この「定住者」への道が開かれたことは、日本との繋がりをより深く、永続的なものにしたいと考える日系四世の皆さんにとって、計り知れないほど大きな意味を持つでしょう。
夢を実現するために大切にしたいこと
最後に、日系四世として日本での生活を成功させ、充実したものにするために、心に留めておいてほしい大切なポイントをいくつかお伝えします。
- 信頼できる、熱意あるサポーターを見つけましょう: サポーターは、あなたの日本での生活の恩人とも言える存在です。海外日系人協会(JADESAS)のような公的機関のサポートも活用しましょう。
- 日本語の勉強は積極的に、そして継続的に: 日本語能力は、入国から「定住者」資格の取得まで、常に求められる重要な鍵です。 日本での生活をより豊かにするためにも、楽しみながら学び続けましょう。
- 書類の準備は念入りに、早めに: 特に家系を証明する書類は複雑な場合があります。 余裕をもって準備を進めましょう。
- お金の計画はしっかりと: 生活費や保険料など、日本での生活にかかる費用を事前に理解しておくことが大切です。
- 長期的な視点を持って:「定住者」への道も視野に: 5年後の可能性を見据え、日々の日本語学習や社会への適応を心がけましょう。
- 常に最新の公式情報を確認する習慣を: 在留資格に関する制度は変わることがあります。法務省や出入国在留管理庁、日本の大使館・総領事館のウェブサイトで、常に最新情報をチェックしてください。
結論:あなたの日本への物語を、今ここから始めよう
日系四世受入れ制度は、あなたのルーツである日本との絆を再発見し、文化や社会への理解を深めながら、国際的な「架け橋」として成長できる素晴らしいチャンスです。2023年12月の制度改正は、年齢の幅を広げ、サポーターのあり方を柔軟にし、そして何よりも「定住者」への道を開くことで、この制度の魅力を飛躍的に高めました。
もちろん、日本語の習得や書類の準備など、あなた自身が乗り越えるべきハードルもあります。しかし、その先には、日本での新しい生活、新しい出会い、そして新しい未来が待っています。
この記事が、日系四世ビザに関心を持つあなたの背中を少しでも押すことができたなら、これ以上の喜びはありません。さあ、情報収集を続け、信頼できるサポーターを探し、日本への第一歩を踏み出してみませんか? あなたの日本での新しい物語が、素晴らしいものになることを心から応援しています。
参照URLリスト
- 日系4世ビザ – 新宿にある外国人のビザ・帰化申請の相談オフィス (https://visa-consultation.jp/specified-activities/fourth-generation-Japanese.html)
- 日系4世(架け橋人材)受け入れ制度の見直しについて | 在ブラジル日本国大使館 (https://www.br.emb-japan.go.jp/itpr_ja/11_000001_00806.html)
- 特定活動ビザ – 新宿にある外国人のビザ・帰化申請の相談オフィス (https://visa-consultation.jp/specified-activities/)
- 在留資格「特定活動」 | 出入国在留管理庁 (https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/designatedactivities.html)
- (元記事では言及されているが、最新情報ではないため本文では注意喚起として使用)
- 日系四世の更なる受入制度 | 出入国在留管理庁 (https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/nyuukokukanri07_00166.html)
- www.moj.go.jp (https://www.moj.go.jp/isa/content/001409109.pdf)
- www.moj.go.jp (https://www.moj.go.jp/isa/content/001409111.pdf)
- 【日系四世】日系人・日本人の子孫が日本に定住することは可能? (https://kekkonvisa-nextstep.com/teiju/nikkei4sei/)
- kokunai2 – 日系四世受入れサポーター – 公益財団法人 海外日系人協会 (https://jadesas.or.jp/jp/kokunai2/)
- 在留資格認定証明書交付申請 | 出入国在留管理庁 – 法務省 (https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/16-1.html)
- 【2024年最新版】在留資格認定証明書(COE)交付申請から入国までの流れと押さえるべきポイント (https://linku-s.com/media/zairyushikakunintei/)
- 係る費用 |短期滞在ビザ申請サポート (https://tanki.kekkon-visa.net/t_hiyou.html)
- ビザ手数料|外務省 – Ministry of Foreign Affairs of Japan (https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/visa/tetsuzuki/tesuryou.html)
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